あの道この道 (文春文庫 よ 23-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167679361

感想・レビュー・書評

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  • 同年同日、片や富豪に片や貧家に生まれた二人の少女が取り違えられるという、今となってはテンプレートで王道の物語りですが、今を生きる作家さんには中々書こうと思っても書けない奥ゆかしい時代がかった言葉遣いと文体・キャラ作り、さすが元祖・吉屋信子です。人間の性質を決めるのは血なのか環境なのか、二人の少女のみを考えると血統が勝るような周りの対応ですが、貧しい生まれでも宗吉はいい子だよ?千鶴子だって最終的にはいい子だし。それを議論する物語じゃないから楽しめればいいかw

  • 大正~昭和に活躍した吉屋信子の少女小説。 「取り替えられて富豪の娘となった千鶴子、 漁師の娘として育つしのぶ、 二人を待ち受ける運命とは?」(あらすじ)と一見大仰なメロドラマ。 なのに昔の美しい言葉使いも丁寧な文章も心地よくて、すっかりハマって しまいました。最後は大円団と分かっていても途中止められません。

  • 昭和9年から10年(1934-35)にかけて「少女倶楽部」に連載された少女小説。
    大正や昭和の少女小説に弱い私。
    この作品もその定番通り、貧しいながらも心清く成長した少女しのぶと、裕福な家庭でわがまま放題に育った千鶴子とが不思議な運命に翻弄されながらも結局ハッピーエンド、という物語である。
    おいおい、しのぶとやらはどこまで純真なんだよ、と突っ込みながらも楽しんで読んだ。
    現在フジの昼ドラになっていると聞いて、今日試しに見てみたのだが、原作ほとんど無視の展開であった。

  • まさに王道な感じ。
    あらまあまたそんな展開にというのが、吉屋信子作だから許せる。
    しのぶや宗吉が愛らしくて仕方がないです。

    ・・・と原作に感動したところでかの有名な昼ドラになっていたと知り、えっ・・・どうみえても原作レイp・・・
    原作ではあってもかけ離れた設定を思い出したので、同じものとは思わず胸にしまっておこうと思います。余韻を返せ。

  • 同じ日に生まれた富豪の大丸家の赤子と貧しい漁師の赤子。足に火傷を負わせお礼が貰えなくなると思い、大丸家に戻された赤子は漁師の子。取り替えられて令嬢になった我儘で高慢な千鶴子、母や弟を支えて生きる可憐なしのぶ。しのぶの母が大丸家に事実を告げた事により本人達には伏せられしのぶは千鶴子の学友として大丸家に迎えられる。冷たく当たる千鶴子。そして同じ漁村には亡き父の意志を継ぎ温泉堀りに賭ける少年新太郎。それぞれが歩んできたあの道この道、運命が違っていても、やがては真心の道へと通じる1本道になる。最後は安心の大団円。

  • 生後まもなくの2人の赤ちゃんが入れ替わってしまうというお話。
    1人はお金持ちのお嬢様、1人は貧乏人の漁師の娘。
    運命のいたずらはとても切ない。
    最後はすべて丸くおさまるカタチのオチなのだが、
    素直に「良かったねー」と思える自分と、
    あまりにもハッピーエンドすぎに拍子抜けした自分がいる。
    東海テレビのドロドロ昼ドラ『冬の輪舞』の原作だが、
    断然原作の方がいいですっ!!!(笑)

  • 貧乏人の家で清楚に育ったお金持ちの娘。取り換えられてわがままに育てられた貧乏人の娘。貧乏人のコほがかわいそうだよ・・・。なんて思ってしまうま。

  • 信子先生の書かれる少女小説は、わたしにとってのバイブルのようなもの。千鶴子を見て自分を顧み、しのぶを見て憧れるこの頃です。

  • 吉屋信子先生を語らずして、乙女を語ることは出来ません。大正・昭和初期の乙女に絶大な人気を誇り、近年もさまざまな形で復刻されています。この作品は『冬の輪舞』のタイトルで今年ドラマ化され、文庫で手軽に読めるようになりました。
     同じ日に生まれた2人の乳飲み子が、運命のいたずらで入れ替わる。漁村で育ったしのぶ(本当はお嬢様)は美しく心優しい女子だけれど、お金持ちの娘千鶴子(本当は貧乏な家の子)はわがままで根性悪。少女になった二人は再開、とうとう真実が明らかに…。
     どこかで聞いたような話?と思う人も多いでしょうけれど、それは吉屋先生の作品がその後の少女小説や少女マンガの原点と言うべき物だからなのです。原作はドラマのようにドロドロしていない清らかなお話なので、小さいお嬢さんたちにも安心しておすすめすることができます。大正乙女になりきって、手に汗握り、二人の運命を見守ってください。

  • 文春文庫 よ-23-1

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著者プロフィール

1896年、新潟市生まれ。52年「鬼火」で女流文学賞、67年菊池寛賞を受賞。『花物語』『安宅家の人々』『徳川の夫人たち』『女人平家』『自伝的女流文壇史』など、幅広いジャンルで活躍した。著書多数。73年逝去。

「2023年 『返らぬ日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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