- Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167679804
感想・レビュー・書評
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神戸連続児童殺傷事件においての犯人酒鬼薔薇聖斗の少年Aの矯正の過程。これは今まで私が読んだ本で一番面白かった。まだ学生の頃にこのニュースが広がってずっと興味深いものがあり、少年の生い立ちや事件を起こした理由などが気になっていました。この本で全てが理解できました。矯正の過程もよく分かりました。そして完全に酒鬼薔薇聖斗が消えたことにおいては私もすごく嬉しかった。やはり周りのサポートってすっごく大事なんですよね。少年の両親の手記この子を生んで…も読んでみたいと思っています。
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この間少年Aの両親の本を読んだので、この本を見つけて読んでみました
更生に関わられた全ての方の大変さと努力と愛情を感じ、表面しか知らなかった事件のその後の事実を知りました。
仕事だからといってできる範囲を超えていると思いました
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単行本発行時に購入を見送ったんだよね。なんとなく食指が
動かなかった。
神戸連続児童殺傷事件の犯人である酒鬼薔薇聖斗関連の
書籍は、なるべく目を通すようにしてたのに。
なので、リサイクル書店で購入した文庫版で読んでみたの
だけれど、これってちゃんと取材してるのか?いや、して
ないよね。酒鬼薔薇聖斗、少年Aについてはかなりの箝口令
が出ていたんじゃありませんでしたっけ?
著者は東京少年鑑別所の元法務教官。でも、法務官として
勤務したのは2年くらいではなかたっか。ご自分が知っている
少年鑑別所での更生プログラムを想像で膨らませて、そこに
少年Aを当てはめたようにしか受け取れなかった。
大体、2500日の全記録が解説も含めて250ページ足らずで
語れるはずはないと思うんだが…。
「あとがき」で高い志を持って法務教官になったと書いて
いるのに、その高い志は僅か2年で捨て去ってしまったらしい。
世間の注目を集めた事件関連の書籍なのだから、憶測と想像
だけで書いてはいけないと思うの。それは「ノンフィクション」
ではなく、フィクションなのよ。
フィクションと呼びたくないのであれば、エッセイとして
欲しいわ。
以前、この著者がテレビに出ていたのを見たが、少年事件に
関してもなんのデータも持ってないようだったしな。
またタイトル詐欺に引っかかってしまったよ。_| ̄|○ -
神戸連続児童殺傷事件の酒鬼薔薇聖斗こと少年Aの医療少年院を中心とした「矯正」の過程を追う。元少年鑑別所法務教官の草薙厚子さんによるレポート。
文庫版あとがきにて「出院までの情報はほとんど開示されていない」と書かれていますが、著者の経歴から矯正教育課程について相当の知識があるうえで、実際に関わっていた職員の方への取材などを行うことによってここまで詳細なレポートになったのかなと思います。
私はこの後に世に出た少年A本人による手記「絶歌」をこのレポートよりも先に読んでいたのですが、このレポートで述べられた「矯正教育を経て少年Aは退院に相当する寛解状態にまできている」という判断と、「絶歌をあの内容で被害者遺族に許可を得ずに世に出した」という行動は直接は繋がらないものに思えます。
どちらもできるだけ偏見を持たないように努めて読んだ結果、矯正教育は社会に出るまでは概ね良い方向へと進んでいったのかなとは感じました。しかし社会に出て世間の目に直接触れながら、罪についてもさらに向き合えるようになっていった結果、少年Aは耐えきれずまた自分の中に閉じこもってしまったし、その頃には矯正教育課程ほどのサポートもなかったという事態になり、そこから絶歌の出版の話へと繋がったのかなと思いました。 -
少年Aは、母親に対して、愛されたいという思いと憎しみのアンビバレントな感情を抱いていたようだ。
少年Aは、性的サディズムを抱いていた事は、確かなようだ。
この本を通して、日本の少年院では非常に高度な更生プログラムがなされている事を知った。
自分の残酷性に全く無頓着であった少年Aが、多くの関係者、スタッフの努力により、最後には、被害者に一生掛けて償いたいとなるまで、更生できたのは、ある意味、奇跡的であると思う。
しかしながら、何ら反省せずに更生に失敗した場合に比べて、ベストな結果であったが、国家プロジェクトで、犯罪を犯した少年Aに、多くの優秀なスタッフが関わり、手厚い更生プログラムが行われたのは、被害者の事を思うと、また、一国民としても複雑な思いを抱く。 -
あの有名な酒鬼薔薇聖斗を更生させようと奮闘した少年院の人たちの話です。かなり主観が入っているので実際はどうか分かりませんが、奮闘した感は伝わりました。著者自身が少年院で勤めていたけれど、ハラスメントを受け退職してジャーナリストになったという経歴があるので、ちょっと偏った見方がある感は否めません。でも、彼が性的サディストだったとは知りませんでした。
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内容は思った通りのもの。
読んでいる間、文章に違和感というか匂いのようなものが有り気になっていた。
あとがきを見てその疑問も氷解。
この作者、ちょっと変わった人で施設の人とトラブったりしている。
書かなければいいのにその下りも怨嗟で書いてしまう辺り耐性がない。
解説が有田議員という所も面白い。
どうせならそっち方面に突き抜けて書いてもらったほうが個人的には面白かった。 -
ノンフィクション作家による、少年Aの記録。
わたしは日本の更生プログラムに関して何の知識もないのに、勝手にただ入って年月がたち出てくる、と思っていた。それというの、再犯率は高いわけだし塀の中なら税金で食っていけるでしょ、と思っていたから。
でも、塀の中で周りも本人もどんなに頑張って更生しようとしたとしても、塀の外に出てから最低限の環境を与えられないと、それを継続するのは難しいよね、とこの本を読んで思った。
『絶歌』からの流れで読んだこの本。間に『Aではない君と』を読んでしまったがために、フィクションとノンフィクションの差があいまいになってしまったことを悔やんでいる。
良くも悪くも普通過ぎて、特別になりたかったのだろうか。まさに中二病。
『絶歌』を呼んだときのAの一人称のイメージは「僕」だったのに対し、この本では手記に「俺」と書かれていたとある。そこだけでも成長がわかるような気がする。
「少年Aとは全く別人格の存在へと育った」わけではないと思う。
ある時期に承認欲求を満たされないと、小動物をいじめる可能性がある、とあるがそういうことができる人格でよかったね、と思う。それができない人間は自分を傷つけるあるいは発散する場がなくそのほうがつらいのではないか。もちろん、小動物側からすれば、んなことしるか!って感じだろうけど。
矯正中の種明かしをされるのはどんな気分なんだろうか。こういう風にするために、こうやって誘導したんです、うまくいったでしょ?っていうのは、私ならむかつく。
Aが羨ましい。若いうちに残虐なカタチで人を殺せば、真剣に向き合ってくれる大人に出会えるのか。と思ってしまうのは失礼だよね。でもそう思ってしまう。
一般的な反抗期等のこともかかれており、私自身も適切な時期にちゃんとSOSを出していたのだな、と過去の自分を振り返る。それは完全に無視されただけでなく、「理解できない」という目で見られて終わったが。 -
この本で語られる「酒鬼薔薇聖斗」こと少年Aの矯正に関わった人々の熱意と労苦の数々には頭の下がる思いだ。だけど、この著者の「〜なのは間違いない」という表現が頻出するのには参った。僕はこういう断定をさも根拠があるかのように(実際は根拠が明示されてるわけでもないのに)語る人の話は基本信用しない。長井秀和か。
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世間からの憎悪の的となった事件の加害者が、少年であったために、矯正を試みることになったプロフェッショナルたちの姿が生々しく描かれています。
著者も、かつて同じ職場で志を持って働いていたからこそ、そこで現実に立ち向かう姿を本音でとらえることができたのではないかと感じます。
一方で、それを苦々しく思う人々の存在も描かれています。いかに生きるか、いかに信じるか、そして、いかに罰するかについて、考えることができるでしょう。