還るべき場所 (文春文庫)

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著者 : 笹本稜平
  • 文藝春秋 (2011年6月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (623ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167684037

還るべき場所 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「春を背負って」が面白かったので作者の書いた山岳小説をもっと読んでみたいと思って読んだ。
    それなりにボリュームのある作品で半分ほど読み進めたところで一旦ストップしてしまいましたが、後半は登山以外にも様々な要素がストーリーに織り込まれていて緊張感を維持しながら一気に読むことが出来た。

    明らかに人生の折り返し地点を折り返してしまった自分に、登場人物の神津の語る言葉の一つ一つが心に沁みた。何というか生きる事へのメッセージがストレートにガツンとくる作品です。

  • かなり面白かったです。

    パートナーの死や人生と山を重ねて…というテーマは山岳小説としてはありふれているし、さらにはザイルの切断、もまたしかり(でもってマイ・ベストに入ってる小説「神々の山嶺」とも重なっている…)し、なぜ星5つ?

    と考えると、この一冊の場合、それはやっぱり、構成と伏線の複々線化とキャラクターの厚み、と結論付けておこう。商業登山と先鋭クライミング、山の世界とビジネスの世界、過去と現在、さらには登場人物の思惑とトラウマ、それぞれの危機がアタックの日に向けて輻輳していき…

    と同時に、

    本当にこんな人物と出会え、このような人生観を語られたい、語られちゃったら生死の境をも超えてしまえるような気もする…と、心理を書き込んでいくのも忘れない、と

    紙上でカタルシスを味わえる、つまり正しく冒険活劇なのでした。

    ヤマと山ヤの物語、というテーマに私は興味があって、つまりはヒトを通して見るからヤマが面白い、という視点の持ち方をしている人には楽しめるストーリーなのではないだろか、と思います。

    ちなみに山域が大切な人には…舞台がK2なのもちょっといいかも。

  • 久しぶりに山岳小説を堪能した。かつて、若い頃登山を多少体験した身にとっては、その当時を思い出す時間となった(もちろん、こちらは初歩的な尾根歩き専門だったが)。
    書き出しは、K2登頂付近で事故のため愛するパートナーを失った主人公が、失意の4年後、山仲間からの公募登山の誘いに、再び山を目指すストレートな山岳小説の様相である。しかし、公募登山の応募者に企業家とその秘書が加わることによって、単なる山行ドラマではなく、重層的な、いわば「生きるとは何か」を問いかける小説となっている。重低音のように再三繰り返される企業家の言葉「人間は夢を食って生きる動物だ。夢を見る力を失った人生は地獄だ。夢はこの世界の不条理を忘れさせてくれる。夢はこの世界が生きるに値するものだと信じさせてくれる・・・」。
    題名の『還るべき場所』が最後に大きな意味を持ってくる。主人公が苦悩する事故の謎が、最後に解明することによって、さわやかな読後感となっている。
    この本を紹介してくれた、KOROPPYさんに感謝(笑)

  • ドキドキハラハラしながら一気読みしてしまいました。
    山に興味がなくても、山に登ってる人はなおさら楽しめる一冊だと思う。
    8000m超えの高所で繰り広げられる人間ドラマ。
    神津の言葉がどれも深いい〜。
    K2遠くから眺めるだけでいいからいつか行ってみたいな。

  • 児玉清さんが、帯でコメントしていたので思わず購入。K2の未踏の東壁アタックでパートナーを喪い、4年間山から遠のく主人公...というところから始まる。あぁ、お決まりの山岳物語だなと思いきや、おもしろい!
    山岳ツアーの会社を設立した山仲間の友人からブロードピークへの公募登山ツアーの手伝いを頼まれる。
    そこに参加した、還暦を過ぎた実業家。その秘書。
    それぞれの思いが、8千mの山肌で絡み合い、深みを増す。主人公を含め登場人物のキャラクターがしっかり描かれていて思わず感情移入。
    とにかく場所が場所だけにヒヤヒヤドキドキ。それに空気は薄いし寒いし、危険だし。アルパインスタイル?オーバーハング??ぐったり疲れたけれど満足。
    山岳、登山用語を調べながら、山の稜線の名前がでてくるたびに、これも調べながら楽しんで読み終わりました。

  • 25歳の時に高校生の時から一緒に山にチャレンジしていた4人組が最難関のK2の東壁ルートからの初登頂にチャレンジする。しかし途中雪崩に合い愛する聖美を失い、4年間祥平は生きた屍的な生活を送っていた。大学を中退しツアー会社を設立し細々とやっている亮太からツアーガイドの依頼を受ける。チャレンジするのはヒマラヤのK2の隣にあるブロードピークであり、亮太はツアー成功の後K2チャレンジを祥平に打診してくる。そのツアーに医療機器メーカーの会長興津とその秘書が申し込んでくる。話は翔太を中心に、亮太、興津、その秘書の人生観、山への思い入れ等々が入り組んで展開されていく。山岳小説として山のさわりをやりつつあるみとしては非常に面白い。

  • おそらく登ることは一生無いだろうが、この小説を読んで、K2の山体を自分の目で見たくなりました。山が好きな人間たちの、魂の喪失と再生の物語。なんで山に登るのか、いのちとは、人生とは。

  • よかった。ブロードピークとかK2とか、怖いから登りたくはないけれども、氷河トレッキングツアーくらいなら行ってみたいと思ってしまう。思わずツアーを調べてしまった。1ヶ月くらいあればいけるな、、チャンスがあったら絶対行こう!

  • 「夢を見る力を失った人生は地獄だ。夢はこの世界の不条理を忘れさせてくれる。夢はこの世界が生きるに値するものだと信じさせてくれる。そうやって自分を騙しおおせて死んでいけたら、それで本望だと私は思っている」
    その言葉を聞いた時、思いがけないショックを受けたのを翔平は覚えている。それはこの世界に絶望した人間の言葉だった。人が絶望から立ち上がろうとする時、荒唐無稽だろうと無謀だろうと、夢と呼べるような何かが必要だと神津は言いたかったのだろう。

  • 終わり方がすっきりしなかった。

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還るべき場所 (文春文庫)の作品紹介

世界第2の高峰、ヒマラヤのK2。未踏ルートに挑んでいた翔平は登頂寸前の思わぬ事故でパートナーの聖美を失ってしまう。事故から4年、失意の日々を送っていた翔平は、アマチュア登山ツアーのガイドとして再びヒマラヤに向き合うことになる。パーティに次々起こる困難、交錯する参加者の思い。傑作山岳小説、待望の文庫化。

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