- Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167693039
作品紹介・あらすじ
妻の浮気が先か、それとも僕の失職が原因か?ともあれ僕は、会社を辞め離婚した。顔面至上主義のプレイボーイ津田と、別れてもなお連絡が来る元妻、そして新しい恋人…。錯綜する人間関係と、男と女の行き違いを絶妙な距離感で描く長嶋有初の長篇。斬新な構成と思わず書きとめたくなる名言満載の野心作。
感想・レビュー・書評
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文庫。借りて読んでる。
わっ、サイン本だ!
以前、単行本で読んだ時にはスルスルと読み飛ばした小さなたいしたことない(と思われた)ことがなるほど面白い。
他の長嶋文学とリンクさせて(勝手に?!)楽しんでしまう。
この文庫の持ち主は五回は読んでるそうです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
女の人は足を開くの、嫌じゃないのかな、
とか考えながらするセックスの描写が何より記憶に残ったのは、
平然と、日常のような顔をして、
いつでもわたしたちはわざとらしくて、
記号を積み重ねて生きていることを、
まざまざと思い起こさせられたからだ。 -
読み始めた時と読み終わった時の気持ちが一定だった。
時間軸が一気に遡ったり、ゆるやかに進行したりしながら、男女は結婚、離婚を経て変わっていく。
そのなかで、男2人の関係性は変わらない。
夫婦の話と男の友情が2本平行に進んでいく。
タランティーノ監督を意識した時間軸の使い方、見せ方はあっちこっち頭をめぐらす必要なく、シンプルに読めた。
人間の結びつきが、あー、あるあるという感じ。
特に男性は『これは俺だ』と共感するらしい。
行き届いた人間観察が、この作者の好きなところだと改めて思う。 -
なべてこの世はラブとジョブ
今回もぐっとくる文章がたくさんで、好きな本です
長嶋さんの小説は、大げさでないからすきです
僕、友人、元奥、友人のセックスフレンド、友人の元彼女、弟子、と、一見すると複雑に思える人間関係でも、皆が皆こざっぱりしていて、不思議な関係でおもしろい
個人的にいまのところ、結婚とか意味わからないのですが、考えるようになったら、思い出すだろうな、と思いました -
妻に浮気され離婚したゲームデザイナーの七郎は、9月のはじめに津田の同僚の大輔の結婚式に呼ばれる。結婚式後にキャバクラで津田のお気に入りのサオリと同僚のゲームマニアの娘に気に入られる。ゲーム制作から離れた七郎は、気に入っていた過去の会社と妻への愛着から離れられないが…。
長嶋有のぼんやりした話で、9月からの日々と津田と妻との思い出とを交錯しつつ語る長編。津田のパラレルで平行に進む女性関係を描きつつ、七郎の妻や津田、サオリとの交わりかけては交わらない人間関係など、ダブル、トリプルミーニングのタイトルに繋がっていく。
数年前なら「掴みどころがないぼんやりした作品」とレビューしていただろうが、さすがに慣れてきたな。むしろ平行にどこにも収束しない話は、リアリティを感じる不思議な感覚である。
ぼんやりした七郎、ドライで全くこだわりのない女性陣、ボケというか全方向に全力で誰の意見も聞いていない津田など、取り立ててものすごいでもないキャラクターもうまく使い分けられているため、混乱も少ない。
ストーリーの起伏の弱さは素人向けではない部分も多い作品ではある。芥川賞的な作品なので、流れをそのまま素直に読むべき作品である。 -
初めて読んだ長嶋有さんの長編。
感想難しいなぁ…というのが読後最初に思ったこと。面白さを楽しむ系統ではないし、ハラハラドキドキもしないし、ときめく系統でもないし、謎解きもないし。
言葉や登場人物の台詞が印象に残る系統、とでも言えばいいのか。
主人公の失職と妻の浮気がきっかけで(どちらが先か?という問いもあり)離婚した主人公夫婦。だけど離婚後も元妻から毎日連絡が来て、2人は頻繁に会っている。
昔からの友人の津田はプレイボーイで、日々女の子を取っ替え引っ替えしているところが逆に厭世的に見える。主人公はプレイボーイではないものの、時々若い女の子と一夜を共にしたりする。
主人公と津田の会話が俗っぽくて、実際男同士だとこういう会話もするのだろうな、とリアルに感じる。俗っぽいけれど、哲学を感じる部分もあったりして。
人間関係ってすべてがすっぱりと割り切れるわけではなくて、主人公と元妻のように形としては別れているけれどなんとなく関係が続いていたり、そこに思いが残りながらも他の女性と肉体関係を持ったりもする。そういうところが何だか全部リアルに感じた。
時系列が行ったり来たりして多少混乱するところも狙いなのかなと考えたりした。
タイトルの意味が、時系列とか人間関係とか、様々な意味で「平行」なのかと。
色んな小説を読んできたけど、読後好きなのか嫌いなのかも判別しづらく、後を引くようなそれでいてすぐ忘れてしまうような…とにかく初めて読む感覚の物語だったので、とりあえずそういう意味でとても印象に残った。 -
結婚が文化で云々という言葉には納得できなかったが、面白い。