- Amazon.co.jp ・本 (570ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167705732
感想・レビュー・書評
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1969年ダートン・ホール大学卒業の彼らの30年目の同窓会で、それぞれが語る1969年の出来事や、比較的最近の事件など青春時代の延長が同窓会の現在視点、回想の交互で語られていく物語。
なんていうか自業自得感満載なんだけど、これもこれで「夜の果て」なのかなと。
もともとは短編で、それを編みなおして改稿して長編にしたてたものらしい。
私は「リトル・ピープル」と「ノガーレス」が特に印象に残った。
訳者あとがきにもあったけど最近のアメリカの小説はとにかくうまいんだけど心に残るものがない。
そんな中でたしかにオブライエンのヘタウマな感じは心によくも悪くもひっかかりを残すかも。 -
面白いか面白くないかで言えば、大して面白くない。でも、読むのをやめたくはならなかった。
この作品を一言で言えば、「とっ散らかった群像劇」だと思う。あまり読みやすくなくて、まとまりが感じられない。でもつまらない!と切り捨てたいとも思わない、この感じは何だろう?とモヤモヤしながら読み終えて、訳者・村上春樹のあとがきを読んでみたら、村上氏がこの変な感覚をきちんと言葉にしてくれていた。
小説には、自分の想像を超える幅広い評価方法が存在することを学べた貴重な作品。 -
なんだろう、とても好きな読後感だった。私はこういう過ぎ去った日々とか、センチメンタリズムとかそういうものに滅法弱いみたい。50歳を過ぎた登場人物たちは大学の同窓会で輝かしかった日々と、その後の現実的な人生について思いを馳せる。そして馳せるだけじゃなくて実際に行動に移すところがいかにもアメリカっぽい。大学の時に思い描いていた人生を送っている人は誰もいなくて、病気や離婚や問題ばかり。だけどもう帰らない青春の日々の記憶を共有している間の彼らは幸せそう。ポーレットとディヴィッドが好き。
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自分と同世代の人々の話。ノスタルジーと今後、後悔と希望。誰しもが人生に抱える事柄を何人かのパターンで描いてる。しかし、みんなお盛んなこと。
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僕ら大人になったなら
大事なことを
忘れちまうらしいんだけど
そんなのはイヤさ
──とはスパルタローカルズ「ボウイ」の冒頭だけど、大人になってももし仮に
「大切なこと」を忘れ(られ)ずにいてしまったらどうなるのだろうか。
死に近づく肉体があって、叶わなかった夢があって、愛する人も自分も同じように老いる。
(ハッピー)エンドを目指し、(ハッピー)エンドを迎えた後に長く続く人生。
小説になるような人生の、エンドマークの後の時間。
「俺たちまだまだこれからだぜ!」みたいなことを、言えるか?果たして。どうなのか。
非常にしんどく、しかし楽しい読書だったです。
世界の全員に幸せはやって来ない。しかし!っていうね。。 -
ティムオブライエンは、「本当の戦争の話をしよう」をかつて読んでとても感動し、何度も読み返した。村上春樹氏が翻訳していることもあってか、とても素晴らしい作品だったと思う。この作品も、村上春樹氏が翻訳している。1969年卒業した人々の、31年後の同窓会の話。群像劇であり、特定の主人公がいるわけではない。
文章表現はさすが村上春樹。素晴らしい。群像劇なので誰がどういう31年を過ごしたのか記憶に留めなくてはならないという読者に努力を求めるもの。殆どが、こんなはずではなかった、という悔いと共に思い出を語り合うのだけれど、まだこれから、という希望も持っている。
自分と比べるとどうかなあ。やはり同じようにこんな人生ではないはずだったんだけどと悔やんでばかりいるような気がするし、少し未来に希望を持っているところもあるかもしれない。そういう意味では共感できたかもしれない。
村上春樹氏自身の小説よりも、翻訳の方が文章のキレが素晴らしいと思うのでこれからも翻訳中心に読んでいこうかなと思った。 -
20代の今に読めてよかった。登場人物と同じ50代だったら、くすぐったくて辛くて読みきれないと思う。夢や思想や好きな人や美や居場所を求めて求めて、最後には生々しさや痛々しさだけが残る「人生」のどうしようもなさ。そこから感じられるエネルギーを活字で楽しめた。
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同窓会とそれぞれが同窓会までひきづってきた過去、それを交互に描く。
アメリカ、それもフラワーチルドレン世代の友情や人間関係をしっくり理解することはできませんでしたが、悩む姿、悔恨などはある程度人生を生きてきた身なら多少は覚えのあることで、そこに共感できるものがありました。-
2021/06/06
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2021/06/06
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2021/06/06
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