- Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167706029
感想・レビュー・書評
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さくっと読める岩井志麻子ワールド
少し怖い、不気味な、普通の女たちの話。
【罰当たりの花園】
最小限の場面をイメージでき、さくさくと進む
オチの「解せぬ」の感覚は共感しやすい。
【恋愛詐欺師】
タイトルになってる短編
なかなかにエグい性格の主人公とシンプルにヤバい男。主役の捻じ曲がった性格には理由があるが、ありがちなモノで目新しくはない。そして、ある意味正しい結末を迎える。
スピーディーで、リズム良く読んでいくと一瞬混乱するが、シンプルなサイコホラー。
【夢見る終末】
始まりのセリフが色っぽい。
そして子供の世界が続いて、最後まで子供の世界。モブは装置だから、唯一、家庭をかえりみることもない、それなりに狡猾であろう父親が大人の世界。
【鳥の中の籠】
最後に切れはないものの、幻想的で絵面の良いお話。
【淫らな夏風邪】
物語の展開はよくわからないし、断片的。だけど、艶のある岩井節で、想像の余地があるから好きなだけあらゆる展開を想像できる。
【満ち足りた廃墟】
ザ・デカダン。
【溺れた姉の春】
意味深で情景は見えるのに伝えたい事があるのか、ないのかもわからないふんわりとした作品。
生なき物の死は身近にたくさんあるようにも思う。
【悦楽越南物語】
「あれ? これ、どこかで読んだ気がする」が第一印象。岩井作品でベトナム、女性作家、現地の男はワンセットになると、小説というよりエッセイとして読んでしまう。多少アレンジしているとしても、創作物という感触がなく、生々しい。
【酷薄な天国】
『気分だけは色男、心構えだけは美男』笑ってしまうけど、チクリとくる。そして、登場人物に似た人を重ねて苦笑いする。悦楽からの酷薄の流れもあって、フィクションとノンフィクションの狭間に取り残された気分になる。
【華やぐ末路】
淡々と進んでストンと落ちる。
最後の一文が無くても良いくらい、想像できる気はする。でも、最後の一文でやっとキリッとしまるのかも知れない。プツッと音を立てて小説の世界と遮断される終わり方は好き。
【兎を飼う部屋】
ホラー系ショートムービーのような作品。ゾッとするのでもなく、スンとするのでもなく「ああ、なるほど」と終わる。
【解説】
作品より著者に触れる内容で読了後の現実へ戻るための休憩所の感触。
全体的にハズレない「岩井志麻子」ワールド
テーマが「春」なのか、どの作品も春が舞台。掲載時期とはズレるから敢えて「春」なんだろうけど、実にじとっとした、陰鬱な春。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
エロイ。悪い。寝る前に少し読むのにちょうどよい短編集ですが 爽やかでは決してないです。女の醜い心の描写がゾゾっとするぐらい上手いです。
あとがきの鈴木おさむ氏の志麻子伝説が最高です。やらせるブス 韓国の男は腰の動きが鋭い
名言だらけです(笑) -
岩井志摩子の恋愛詐欺師を読みました。女性たちの暗い側面を描いた短編集でした。どろどろとした官能的な表現もあり、幻想的なホラーテイストのものもあり、ストーリーのどんでん返しもあって面白く読めました。表題作の恋愛詐欺師は、「あたしバカだからわかんな?い」を口癖に男たちを騙し続けるグラビアアイドルの物語でした。確かにどこかにいそうな女性の物語で、騙すほうも騙される男も仕方のない人たちとして描かれていました。虚無的なにおいのするところが、岩井志摩子らしいところです。
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短編集。
下腹の突き出たデリヘル嬢を糾弾する
自称幸せ主婦の腹の内等々
もうね、この人は、女をよく見てる!!
かなりシニカルに見てる。そこが好き。 -
「罰当たりの花園」が一番好きです。