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この作品に関連する談話室の質問
この作品からのみんなの引用
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人間、「自由であること」を突きつめれば、「孤独であること」にも耐えなくてはならない。
― 431ページ -
―幸福とは呼べぬ幸せも、あるのかもしれない。
―叶う恋ばかりが恋ではないように、みごと花と散ることもかなわず、ただ老いさらばえて枯れてゆくだけの人生にも、意味はあるのかもしれない。何か……こうしてまだ残されているなりの意味が。
― 426ページ -
充分じゃないか、と思ってみる。不実でろくでなしの男でも、慌しい逢瀬でしかなくても、こうして一人きりになったあと少しでも満たされるこの時間が本物なら、ほかに何が居るだろう?あの男を独り占めしようだなんて、考えたこともない。正直、そこまで強い執着も持っていない。互いに自立した二人が、人生の中でほんの少し寄り道して楽しむ、ささやかなもうひとつの人生……。
それくらいがちょうどいのだ、と美希は思った。
誰かと二人きりで向かい合うなんて、私には、重すぎる。
― 87ページ
みんなの感想・レビュー・書評
ある家族の物語。
戦争体験から解放されない父親。自分の居場所を、見つけられない長兄。兄妹で惹かれあってしまう二番目の兄と上の姉。うまく恋愛ができない末の妹。青春の悩みを抱えている高校生の孫。それぞれの場所から自分と家族を眺めた短編の連作。
最後の『名の木散る』の父親の章では、戦争を描いていないのに、戦争の哀しみが伝わってくる。
複雑な一家の、大人な、叶わない恋の物語。どの人も不幸なんだけどとても純粋に見えて、不思議と幸せを感じます。家族ってそういうものかな。読みやすい。表紙カバーのように綺麗な小説。
2012.5.13
登場人物:貢、暁、沙恵、美希4兄妹
兄妹それぞれの結ばれない恋愛模様を中心に描いた短編集。共感できる内容ばかりではないが、読んだあとはとても切なくなります。直木賞受賞作品です。
娘息子の世代から孫の代、更には祖父母の代まで遡り、各々の「禁断の愛」が綴られている。限りある人生の中で同じ舟に乗り合わせた家族。不可抗力に流されていく、救いようのない切なさや、やるせなさ、罪と後悔。暗い内容だけど、織り成される日本語が美しくて優しい。
少し大人な感じの本で
一章一章がずっしりしてました。
章ごとに視点が変わり、
物語の時間が流れてくのが
面白かったです。
第129回(2003年上半期)直木賞受賞作。水島家という特異な家族の六人の視点で描かれた6章構成の小説。不倫、近親相姦、性的虐待、いじめ、戦争慰安婦等重苦しいテーマをひと家族の一連のエピソードとしてまとめられているところがすごい。大人におすすめ。
<収録>
1 雪虫...次男、暁
2 子どもの神様...次女、美希
3 ひとりしずか...長女、沙恵
4 青葉闇...長男、貢
5 雲の澪...長男の娘、聡美
6 名の木散る...父、重之
ひとつの家族を中心に、それぞれの視点から書かれる短篇連作小説。それぞれに一筋縄では行かない思いを抱えていて、どうしようもない状況にありながら、なんとかその思いや懺悔ややり切れなさと向き合おうとする話。
世の中、うまくいかないことや、うまく伝えられないこと、やりきれないことは実際多いから、それを乗り越えようとする主人公たちには共感できる。
最後のお墓参りのシーンで、第一話の話の中心であった、次男の暁がでてきて、うまく物語が完結するところがもっとも印象的でした。
久しぶりに読みたくなって、再読。
村山さんの文章は本当に読みやすい。
前回読んだときは、最後の重之さんの話に
号泣した記憶があるが、今回は泣けなかった。
戦争で体験したことが、どんなに悲惨で苦しくて
想像を絶するものだったとしても、彼の暴力行為が
許される、というわけではないし。
”幸福とは呼べぬ幸せも、あるのかもしれない”
という、著者のあとがきが、きっと当時の村山さんの
心境だったんだろうな、なんて思った。
お話的には難しそうだが、是非実写化を望みます。
長女さえ役を誰がやるのか気になる。
どんなべっぴんさんなんだろ。
確かに作者は女性なので、女性目線の小説ではあるが。
こんなこと考えるのね、という風に思えばそれもまたよし。
戦争の段はインパクトはある。
第1章の話をひっぱらずにいったのが、なかなかの手法。
ひっぱっていたら、それこそ普通の恋愛小説になっていたかも。
ある家族の人物一人一人の物語が章ごとに展開されている。読むに連れて背景がわかってきて面白い。
物語は血が繋がっていないと思っていた兄妹の恋に始まり、最後は戦争小説さながらの父重之の回顧で締めくくられていた。それぞれの人生の一端が丁寧に描写され、のほほんと生きているようで誰しも悩みを抱えあれこれ考えているのかなと思い、私の周りの人もそうなのかもということに少し気づかされた。でも重之の戦争体験はそれらの物語を一気に吹き飛ばした。実際の戦争というものもそうなんだろう。最初は重之とそれ以外の章が結びつかないような気がしていたが、しばらく考えるとそれは現在に生きる私の平和ぼけなんだと思った。理不尽で人を人とも思わないような戦争の時代はついこの間のことでインターネットや携帯が普及した今と同じ線上にあるのだ、と。そして残念ながら今の時代も世界ではまだ同じ事が繰り返されている。重之の言葉で『どんな詫び状も、死者には届かない』というのは堪えたなあ。
幸福とは呼べぬ幸せもあるのかもしれない…禁断の恋、不倫、イジメ、戦争体験…人に打ち明けられぬ様々な思いを胸に生きる家族。それでも前を向いて生きていくところがいい。一気に読めた直木賞。
血のせいなのか、似たりよったりの問題を抱えた家族。
こんなにも辛い人生を歩んでいる家族なのに
同情する気がおきないために感動もカタルシスもなし。
しかし、上手く生きることができないけども強く生きている人物たちには拍手。
( ・_ゝ・)<類友家族の悩み暴露
第129回直木賞受賞
村山由佳の直木賞受賞作.
自分にとっては初めて読んだ村山作品.
文章の書き方や構成がうまくて,連作としてそれぞれの話が主人公を変えながらうまくつながっています.
ただ,個人的にはこういう薄暗い感じのストーリーとか,淡々とした話の展開が苦手で,あまりすっとは読んでいけなかった.
もっと人生経験積んだら,登場人物の気持ちとかをもっと理解して入り込めるのかも.
最初はいきなり、兄妹の「禁断」の愛から始まり、当たり前の様に不倫に堕ちる人達...暴力や裏切りも絡めたエロエロ小説なのかと思いきや、
死んでしまった母への想いや、丸くなっていく気丈だった父親....ひとつの家族一人一人が別々の物語として描かれていて、4人目位からは、作品の核心にどんどん迫って行きます。
大切な人や家族、親友への言葉にならない深くてせつない感情が湧き出るシーンが何度も出てきて涙をそそります。
時の流れと共に強くて鮮明に刻まれていく優しさと愛情や、小さく壊れやすい幸せの奥深さが伝わる作品でした。
直木賞受賞作。
舟は家族を意味しているのでしょうね。
星座のように、孤独なようでも繋がっている…
戦争帰りの父は傷跡を抱えて時に荒れ、長男とは距離がある。
長兄・貢とは年の離れた次男・暁は、子連れの家政婦から後妻となった継母になつきますが…
実の兄妹と知らずに愛し合ってしまった暁と沙恵、自分だけが一家をつなぐつもりでいた一見明るい末娘にとっても世界は壊れてしまう。
団塊の世代で堅実に暮らしながらも自分の居場所を探す長兄、いじめにあっていた相手にまた出くわしてしまうその娘・聡美、その孫娘を可愛がる祖父と、視点を変えながら描いていきます。
きちんと描写された手堅い出来映えです。
もがきながら生きていく切なさや、なかなか理解して貰えない内心のけなげさが、きらりと透明な光を放つようなのが、この作者らしい。
発表当時も読みましたが、2010年2月再読。

片思いもので、お勧めされていて手にとった。
家族のメンバーのそれぞれから語る現在と過去。
志津子さんのストーリーも読みたかったなー。
作者には今はまだ酷な要望かもしれないけれど。
なんとな...





