イン・ザ・プール (文春文庫 お 38-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167711016

感想・レビュー・書評

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  • なんなんでしょう、この変なおもしろさ。
    伊良部総合病院地下にある神経科、そこにいる色白で太った精神科医・伊良部一郎。悩みを抱えた患者さんにどんな治療をするのかと思ったら、とにかく注射。注射シーンを鼻息荒く見つめる伊良部医師。気持ち悪いし言ってることはわけわからないし、ろくな治療なんてしてない。なのになぜだか患者は彼に話を聞いてもらうために通う。そして、いつの間にか治ってる(治ってない人もいたかな?)。どういうこと?と納得がいかないんですが、そこがこの作品の不思議なおもしろさなのかもしれません。

  • 奥田先生の本、初読み!
    短編集。普通の人いません。登場人物全て変人。
    精神科医は確かに変わり物多いですが、ここまでぶっ飛んでる先生は、もはや架空でしかない。
    そんな先生の診察も怪しげながら、患者に寄り添い病気を治してしまうところは、驚きと最後にはハッピーにしてしまうところ好感持てる。
    読み易さ抜群で、ちょっと息抜きしたい時、笑いたい時に読むのオススメかと思います。

  • 色んな精神疾患で訪ねてくる患者をさらにぶっ飛んだ医者がのらりくらりと治していく話(笑)

    一見、テキトーなことを言って患者を困らせている伊良部先生だけど、後になって振り返ってみると、意外と理にかなった治療方針だったりして優秀な人なのかも?と、思わされる。

    先生にかかると、悩むのがバカらしくなるから不思議(笑)

  • 誰しもが持つ人間の深層心理を抉り、過剰は身を滅ぼすという寓話。
    と言うと怖くきこえるが、そこは主人公である神経科医の伊良部によってハートフルに治療?される。
    きっとこういう人は本当にいて苦しんでる人もいると思うが、コンパニオンとフレンズの話はイライラが止まらなかった。けど癖になるイライラ笑。もっとこいっ!みたいな。十分突き抜けた患者さんだったけど。

    好きなものもほどほどに。
    言いたいことはちゃんと言う。
    自意識過剰は身を滅ぼす。
    身の丈にあった行動を。
    起こってもいないことに不安にならない。

    お勉強になりました。

  • コメンテーターといった本を読むために、シリーズ第一弾のこちらの作品を図書館にて拝借。さあ読むぞと手に取ったその日にスイスイ読破。

    それぞれの患者を診る先生の人柄や言動が面白おかしくて、私も彼に掛かりたくなるくらい好きになっちゃった。小さな悩みに囚われた際にまた手に取って読みたくなる、そんな一冊だと思います。第二弾である空中ブランコも絶対読みます!!!

  • 凄くサクッと読めて凄くサクッと読めて面白いです。
    伊良部先生のキャラが最高です。
    初刊行が20年前との事で、現代社会のように精神疾患が認知されていない社会だったと記憶しています。
    これを題材にしたのは著者の先見の明ということか!
    5つのショート作品ですが、最後は自身による気付きが疾患の改善に繋がっているのも注目しました。
    やはり人との繋がり関わりが重要なのだと改めて思わされました。
    痛快にサラッと書かれていますが、実はとても奥が深いような・・・
    シリーズ全てを読んでみたいと思わされました。

  • 読友さんの感想から図書館直行!神経科の伊良部医師(イメージはブラマヨ・小杉)を訪ねる患者はストレス障害、陰茎強直症、ストーカー被害女性(自己愛)、スマホ依存症、強迫神経症など。伊良部医師はまずブドウ糖注射。その際、看護師は太もも・胸のチラ見せの大サービス!問題:伊良部医師は本物か?やぶ医者か?回答:本物の医者ではないか。理由:ブドウ糖注射はプラセボ効果を利用した治療で、ハチャメチャな会話は患者への自己表出を促すことで病気の原因を探索・理解させているのでは?もし天然なら逆に凄い!読友さんに感謝!

    • なおなおさん
      ポプラ並木さん、お久しぶりです。
      私もつい先程読み終えました!面白かったです。
      ブラマヨの小杉!思いつかなかった…いいですね〜イメージにぴっ...
      ポプラ並木さん、お久しぶりです。
      私もつい先程読み終えました!面白かったです。
      ブラマヨの小杉!思いつかなかった…いいですね〜イメージにぴったり!
      私は若い時の西田敏行さんって書いちゃった。
      2023/11/01
    • ポプラ並木さん
      なおなおさん、ご無沙汰しています!!
      今日まで茨城県に出張でして、お返事遅れました。
      このシリーズは、空中ブランコー町長選挙ーコメンテー...
      なおなおさん、ご無沙汰しています!!
      今日まで茨城県に出張でして、お返事遅れました。
      このシリーズは、空中ブランコー町長選挙ーコメンテーターです。
      コメンテーターはまだ未読です。
      伊良部さんはブラマヨの小杉で決まり!西田さんより怪しい感じがいいね。
      次作も読んでね~
      2023/11/02
    • なおなおさん
      ポプラ並木さん、お帰りなさい。
      伊良部はブラマヨ小杉で決まりね!笑
      もちろんこのシリーズは読みますよ〜。
      ポプラ並木さん、お帰りなさい。
      伊良部はブラマヨ小杉で決まりね!笑
      もちろんこのシリーズは読みますよ〜。
      2023/11/02
  • 直木賞受賞したシリーズの本だったので買った一冊。
    直木賞は第二弾の本なのか

    神経科にくる患者の話

    主人公の医者
    適当なのか真剣なのかわからない

    結果みないい方向に

    でもどの話もなんの捻りもなく、この医者が解決に導いたって言うより、自分で解決したって感じかする。

    特別この小説にハマるって事はないが、次の本も読んでみようかなって思える小説でした。

  • 強迫神経症、妄想癖、携帯依存症
    など。
    そうなってしまった
    根本的な、思考の癖とか。弱さとか。
    見栄。
    伊良部ならではの荒療治で
    本人に気づかせる。

    鎧を纏うことは
    本来の自分を自分でも見失うことなんだな。
    自分らしくって
    難しいけど、
    なるべく、そのまんまで、比較対象は人ではなく
    できることを
    着実に。そんな歩き方をしていきたいな。

  • 前から気になっていた作品。フォロワー様のレビューを拝見して益々気になっていた所にチャンスが。

    空き時間に読む本を持ってくるのを忘れてしまい、なら図書館に行くかとふらりと向かうと、とある本棚、目の前にインザプール!
    これは読めとの神の啓司だと早速手に取りました。

    初っ端から飛ばしている精神科医の伊良部に始終笑いながら気持ち良く読了しました。
    久々に楽しい気分で読書を終える事が出来て大満足!

    患者と一緒になって毎日水泳をしてみたり、持っていなかったのに携帯依存症の患者とメル友になる為に携帯を買って毎日メールしたり(挙句にすぐ飽きる)、美人患者とお近付きになる為にエステに通ったり…。
    1番笑ったのは最後のエピソード。強迫観念に悩まされている患者を巻き込んで、気に入らない隣の病院に嫌がらせをする伊良部。
    患者のジャーナリストは自分の事で大変なのに、最大の嫌がらせを終えた伊良部の尻拭いの為に奔走する羽目に。
    看護婦のマユミちゃんまでこれでもかと言う位に彼に追い打ちをかける所なんかは、荒療治を通り越していて、逆に気持ち良くなってきます。

    これが計算された行動ならば伊良部は実は名医なのではと思うのですが、多分違うんでしょうね。

    最初は患者も伊良部に腹を立てているのに、気付けば彼を心の拠り所にしていく心情の変化の持って行き方と言いますか、表現が上手いなあ…と感心しておりましたら、奥田さんて『模倣犯』を書いた方だったんですね。
    初読みでしたので知りませんでした。

    伊良部みたいに皆が軽やかに生きて行けたら、精神科医自体が必要無くなるのかも知れないな、と思う反面、こんな人間ばかりだと社会が成り立たないかもと思いもしつつ。
    けれど、周りに気を使いすぎて疲れてる方が多い気がするので、少し伊良部のような図々しさは持っていても良いのかも知れませんね。
    私もすっかり伊良部に巻き込まれ、最後はなんだか心が軽くなった不思議な読書体験でした。

    他のシリーズも機会を見て読みたいと思います。
    にしてもこのジャケットの赤ちゃんは何故?と疑問だったのですが、もしかすると患者さんの開放された心を表してるのかなあ。
    全員治ってる所が凄いんですよね。

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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