無理 下 (文春文庫 お 38-6)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167711061

作品紹介・あらすじ

真面目に働くことの馬鹿馬鹿しさを知り、自分の地位が脅かされることにおののき、信じていたものには裏切られ……。5人の男女が心の軋みに耐え切れなくなった時、それぞれの人生は猛スピードで崩壊してゆく。矛盾だらけのこの国を象徴するかのような地方都市・ゆめのを舞台に、どん詰まり社会の現実を見事に描き切った群像劇。

感想・レビュー・書評

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  • 大好きな奥田さん。

    読んだ気がするものの
    結末を思い出せず、
    とにかく最後まで読んだ。

    珍しく、なかなか展開が起こらずに
    日常が描かれていっていた。
    中盤過ぎて、加速し始めると、
    一気に乗っていくね。

    特に、ことが起こったときの
    スリリングな描写の仕方が、さすがですわ。
    圧倒的な筆致って感じ。

    ラストの玉突き事故のシーンも、圧巻。
    まさかここで集結するとは。

    「無理」ねえ。
    無理やりなんとかかんとかやり過ごしてきて、
    でも最後には無理がたたって、
    ってところでしょうか。

    引き返せるポイントなんかは
    誰にもあったんだろうけどね。
    無理に巻き込まれてしまったりね。

    こういう出来事も
    日常に潜んでいるのかもしれないなぁ。

  • 奥田英朗の描く群像劇はやはり面白い。

  • #どん詰まり社会の暗部をえぐる錐共感じゃないわたしのことだ

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    真面目に働くことの馬鹿馬鹿しさを知り、自分の地位が脅かされることにおののき、信じていたものには裏切られ…。5人の男女が心の軋みに耐え切れなくなった時、それぞれの人生は猛スピードで崩壊してゆく。矛盾だらけのこの国を象徴するかのような地方都市・ゆめのを舞台に、どん詰まり社会の現実を見事に描き切った群像劇。

    最後偶然が重なって1つになる・・・ごちゃごちゃで助かるべき人が残ったのか?意味がわかなくなった。う~んモヤモヤ

  • 際立った特徴もない地方都市ゆめのに暮らす男女5人。
    市役所職員、女子高校生、暴走族あがりのサラリーマン、信仰宗教にハマる万引きGメン、そして市議会議員。
    それぞれが、それぞれに絡み合いながら、ドンドン堕ちていく…。その様子は、まるでドキュメンタリーを見ているかの如く現実的で、さすが奥田英朗!面白い!
    誰もが地方都市に責任転嫁するが、全員が自分のことしか考えていない。

  • 小説家の凄みを感じた。冴えない地方都市を舞台にした閉塞感溢れる群像劇。これだけいろんな立場の人のいろんな生活ぶりや感覚、感情を、こんなにリアルに表現できるその視点はいったいどこからくるのか?登場人物があまりにリアルで、巻き起こる出来事も千差万別なのに、どれもがまるで自分が体験していることのように感じられてしまう。今更ながら、本物の小説家ってすごいんだな、と感じ入った。拐われた女子高生、拐った引きこもり、役所勤めの公務員、市会議員、詐欺紛いの訪問販売員、新興宗教にはまる保安係、彼らに訪れる終幕のカタストロフは、重力崩壊した天体がブラックホールに転移する時の様を見せつけられているようだった。
    最初から最後までまったく隙のない大傑作。
    自分で勝手に理想の女性に昇華させてしまったデートクラブの人妻に、そのキンキン声と内容のない会話と愛撫時の演技で、急速に冷めていくエピソードがなぜか印象深く残ったな。

  • スリルや興奮がもう少し味わえたら良かった。
    上巻を読み終わって、いよいよ面白くなるかな?!と期待していただけに、少し残念。
    登場人物それぞれの生活がころころと転がっていく感じは面白かった。

  • 徐々に何もかもがうまくいかなくなっていく、ゆめの市の人々。
    こういう人たちって、今の日本にはたくさんいるんだろう。
    そして、その結末とは…
    かなり気の重い話だったけど、目が話せないものがある。

    2018.8.17

  • 真面目に働くことの馬鹿馬鹿しさを知り、自分の地位が脅かされることにおののき、信じていたものには裏切られ…。5人の男女が心の軋みに耐え切れなくなった時、それぞれの人生は猛スピードで崩壊してゆく。矛盾だらけのこの国を象徴するかのような地方都市・ゆめのを舞台に、どん詰まり社会の現実を見事に描き切った群像劇。

  • 「ゆめの」と同じような何もない地方都市に住んでいる私には、あの鬱屈した風景に哀しいくらいの親近感があったのですが、下巻に入ってから状況は一変。
    さすがに誘拐や殺人とあれば、その親近感も吹っ飛びましたわな。
    徐々に破滅に向かう5人の物語。この結末をどう締めくくるのか非常に気になりましたけども、はっきりとした結末は無く。その先のそれぞれの姿は読者のご想像にお任せします的な終わり。でも確かにその後の5人の姿を想像すれば、はっきりと目の前にエンディングは浮かんでくる。当然ハッピーエンドでは無いものの。

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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