- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167712020
作品紹介・あらすじ
母と二人で大切にしてきた幼い妹が、ある日突然、大人びた言動を取り始める。それには、信じられないような理由があった…(表題作)。昭和30〜40年代の大阪の下町を舞台に、当時子どもだった主人公が体験した不思議な出来事を、ノスタルジックな空気感で情感豊かに描いた全6篇。直木賞受賞の傑作短篇集。
感想・レビュー・書評
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朱川さんの作品を読むのは、「かたみ歌」に続き2冊目。
昭和30〜40年代の大阪の下町が舞台となっている。
私は関西人ではないのだけど、懐かしい雰囲気が全編通して漂っており、大阪弁が心地良く、するっと、その時代と場所に入り込めるのが不思議。
6編からなる短編集で、どれも死や霊、前世などを扱った、不思議でゾクッとする物語。
差別や偏見が、今よりずっと色濃く社会を支配している時代。
そんな世の中を生きる子供たちが主人公となっている。
“子供に差別心を植え付けるのは、いつも大人たちだ”
と朱川さんは書いている。
令和の現代も同じですね。
私が好きなのは…
4.“花まんま”
前世の記憶を持つ幼い妹が、その前世家族に会いに行くお話。
悲しいけれど、読後は温かい。
6.“凍蝶”
孤独な少年が霊園で若い女性と出会う。そのミワという女性は、いったい何者なのか?
そして、ちょっとコメディっぽくて、他とは印象が違うのは…
3.“摩訶不思議”
死んでも女好きなおっちゃんの話。
ホラー要素もあるけど、最後はほっこり?
と、結局どれも全部、良いのです。
解説は重松清さんで、朱川さんと同い年なんですね。
最後まで楽しめました! -
パルナスのCMソング。ゴム跳びという遊び。「じゃりン子チエ」が住んでいるような大阪のゴタゴタした町にいる、仕事もせずブラブラと陽気に昼間から遊んだり飲んだりしている“おっちゃん”。しかもそんなおっちゃんが結構な割合でいる、大阪のある下町。貧乏で開けっ広げで人情深い人たちがひしめき合って暮らしているのだが、そんな中にも生まれた家によっては生まれつき差別される人間もいる厳しい時代。
この本には6編の短編が収められているが、何れも昭和40年代、50年代に大阪の新世界界隈で子供時代を過ごした主人公がいる。
私は大阪ではないのだが、関西でその頃子供時代を送った。その頃のテレビ番組や遊び、それに子供が多く、大人も必死で働いていたあの時代の子供心に感じた“キツさ”。そんなものが今となってはノスタルジーを感じさせる。
この短編集に収められた主人公の子供達は、そんななかなか“キツい”町で、大人の事情を冷静に見つめている子や生まれながらに差別を受けているがそのことを受け入れ、自分なりに居場所を見つけようとしている子。その子たちと“霊”との関わりを描いた短編集である。
“霊”は怖いとは限らない。生前、差別され病弱であまり遊べなかった子供が、亡くなってから自由になった体で夜な夜な近所の屋根屋根を楽しそうに跳び歩く話。親戚の厄介者だったおっちゃんが歩道橋の階段から呆気なく死んでしまい、お葬式には三人の愛人が揃うまで、霊柩車にエンストを起こさせて火葬場に向かわせなかったという話。二十歳そこそこで亡くなった娘が生まれ変わった姿で元の家族に会いにいく話。何れも亡くなった人がこんなふうにメッセージを送ってくれたらいいのにと思える話だった。
ゾクゾクする話もあった。「送りん婆」という話は怖かった。死にそうでなかなか死ねない人を楽に死なせてあげる仕事。あの世に送り届けるために「人を殺す呪文」を耳元で唱える。その呪文は勿論門外不出だ。主人公の女の子は叔母である“送りん婆”に跡継ぎとして見込まれ、その叔母が亡くなるときにその呪文を書いた紙を託されたが、結局跡は継がなかった。その女の子や“送りん婆”が住んでいた大阪の繁華街の横丁が高速道路建設と共に無くなってしまったのと同時に、“送りん婆”という仕事も無くなってしまったという書き方にぞくぞくさせられると同時に哀しさも感じた。
癖になる味わいがあった。-
goya626さん
「甘い お菓子の お国のたより おとぎの国の ロシアの 夢のおそりが 運んでくれた パルナス パルナス モスクワ の味 ...goya626さん
「甘い お菓子の お国のたより おとぎの国の ロシアの 夢のおそりが 運んでくれた パルナス パルナス モスクワ の味 パルナス パルナス パルナース」
洋菓子やさんですよ。マロングラッセ憧れました。でも私の家の近くにパルナスのお店はなかったと思います。2021/12/12 -
Macomi55さん
「モスクワの味♬」おお、そういうCMありました。うーん、じゃあピロシキって、記憶にあるのは何だろう?Macomi55さん
「モスクワの味♬」おお、そういうCMありました。うーん、じゃあピロシキって、記憶にあるのは何だろう?2021/12/12 -
2021/12/12
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昭和40から50年代辺りの大阪下町が舞台。現世とあちらとの境目を描いたノスタルジア。直木賞作品ですが、ちょっとホラーテイスト。
「トカビの夜」在日朝鮮人への差別を子供心に後悔する少年。その懺悔の気持ちの表現が心に残る。そして、トカビ(幽霊)になった子供の恨みのない純真さに哀惜がある。
「妖精生物」魔法使いが作った生物を手に入れた少女。幸せを運ぶどころか。少女から大人になる危うい心情。
「摩訶不思議」遊び人のおじの葬式での出来事。コミカルで、遊び人は死んでも遊び人。
「花まんま」妹の前世の記憶を辿る兄妹。前世家族との悲しくて優しい“花まんま”
「送り婆」条件を満たす安楽死(今風に言えば)を操る言葉を受け継ぐ女性たち。婆が一度だけ掟を破った送り言葉が悲しい。
「凍蝶」部落差別を受ける少年と、弟の治療費を得るため身を売る女性の、儚い友情と別れ。
短編6作全て読後感が良く、それぞれの登場人物の影の部分に哀愁があり、短編ですが、読み応えがありました。-
あ! 読みたい!!
レビューを読んでいると、なんとなく「乙一」っぽさが感じる。
またもやアマゾンの「あとで買う」にポチ。あ! 読みたい!!
レビューを読んでいると、なんとなく「乙一」っぽさが感じる。
またもやアマゾンの「あとで買う」にポチ。2022/07/05 -
おびさん、こんにちは。
朱川作品、私も次はこれ読もうと思ってました!
直木賞だしね(^^)
「かたみ歌」よりホラーかしら?!おびさん、こんにちは。
朱川作品、私も次はこれ読もうと思ってました!
直木賞だしね(^^)
「かたみ歌」よりホラーかしら?!2022/07/06 -
土瓶さんあおいさん、こんばんは!
これ全編良かったですよ。
柔らかいホラー。
花まんまのまんまを、私は、思い違いしていて、そのままの意味だと...土瓶さんあおいさん、こんばんは!
これ全編良かったですよ。
柔らかいホラー。
花まんまのまんまを、私は、思い違いしていて、そのままの意味だと思って読んでて、あれよ?となりましたけど。ふふ。
あと、白い部屋で月の歌をが良いんです。
そのうち、再読します。2022/07/06
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ノスタルジックな雰囲気が漂う短編集。
昭和30~40年代の大阪の下町を舞台に、当時子どもだった主人公たちの不思議な体験が描かれる。
育った時代も地域も違うけど、私はこの感情を知っている。
子どもの頃を懐かしむ気持ち。それは、ほろ苦がったり、甘酸っぱかったり、いろんな感情が入り交じる。
そして、もう二度とあの頃には戻れないんだなぁっていう、切なさにも似た気持ち。
読むと、そういったものが絡みあい、大きなひとつの感情として蘇ってくる。
朱川さんの作品が記憶に残るのは、読んだときの感情が印象的だからではないか。
読むほどに味わいがあるのもそのせいかもしれない。
幽霊とか、生まれ変わりとか、不確かなものを通して人間の心を描く様が見事だった。
後味がよいのは「トカビの夜」「花まんま」「凍蝶」。
「妖精生物」はイヤミス、「摩訶不思議」「送りん婆」は変わり種かな。-
shukawabestです、こんばんは。
読んでもらえてファンとして嬉しいです。ただ、後味の良くないものもあるので、複雑な読後感になりますよ...shukawabestです、こんばんは。
読んでもらえてファンとして嬉しいです。ただ、後味の良くないものもあるので、複雑な読後感になりますよね。
朱川さんは僕の数年上なだけなので、彼が創る“子どもの世界”とファンタジーは、自身の実体験とも重なって、もうたまらないのですが、そこにホラーや悪趣味な朱川さんが顔を出してくるともう何がなんだか・・・。
懲りずに今後もご贔屓のほどを。2022/11/22 -
おはようございます(*^^*)
あおちゃん♪
こういう"不思議"はいつでも私達の周りに存在する…、ほんとにそうですね!だから懐かしい気持ち...おはようございます(*^^*)
あおちゃん♪
こういう"不思議"はいつでも私達の周りに存在する…、ほんとにそうですね!だから懐かしい気持ちになるのかぁ。
ふふっ「摩訶不思議」だけ趣向がちがいましたね。え?!修羅場…?!って思ったら意外な展開で、なんだか可笑しくて不思議なお話だったなぁ(◍>ᴗ<◍)
「花まんま」は泣く寸前でした。よかったなぁ~♪
shukawabestさん♪
後味がよくないというより、懐かしい気持ちの中に胸がキューってなるような、ひとつの感情に留まらずいろんな感情が混じりあったような、とても味わい深い作品でした!上手く表現できないのがもどかしい!!
朱川さんと同じ年代だと実体験と重なり、より共感するところも多いのでしょうね♪
色んな系統のお話を書かれていても、どの作品にもきちんと朱川さんらしさはありますよね。ふふっ悪趣味な朱川さんが顔を出してくるって言い方が、shukawabestさんの朱川さん愛を感じます(*´꒳`* )
素敵な本のご紹介ありがとうございました!!
朱川さんの作品、これからも楽しませてもらいますね♪2022/11/23 -
ひろさんのレビューとコメント見ているうちに、思わず、「摩訶不思議」、「花まんま」、「送りん婆」と読み返してました。やはり、懐かしく幸せな気分...ひろさんのレビューとコメント見ているうちに、思わず、「摩訶不思議」、「花まんま」、「送りん婆」と読み返してました。やはり、懐かしく幸せな気分になりますね。
昼間から、何しているのかわからないおっさんたちがうろうろしている風景、周りの大きな大人たちを見て、怪獣や狛犬を頭の中で連想している子ども。『お店屋さんごっこ』は、さすがに今の子どもたちはしていないだろうな・・・。そんなことを思いながら、午前中ゆったり過ごすことができました。
ありがとうございました。2022/11/23
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昭和30年あたりの大阪の下町を舞台に、
少し不思議な設定で人の生死を描いた作品。
数年大阪に住んでたので場所が割とわかるのが楽しかった
反面、先日母の余命宣告があったので、
生死に関する話を読むのは少しきつくもあった。
トカビの夜
凍蝶
の2作品が好き。
死が絡むので憂いのある作品が多かった。
いざ、近しい人の死を目の前にすると、そんなこと感じる余裕もないのだが…………… -
’21年9月1日、読了。朱川湊人さんの小説、3作目。
やられた…打ちのめされました。素晴らしい!今作も含め読んだ3冊、どれも素晴らしかった!僕の好みにバチッと合う作家さん、です。
6篇…どれも捨てがたいですが、僕は表題作「花まんま」と「凍蝶」が、大好きです!
特に、「花まんま」が…泣けた༎ຶ‿༎ຶ「花まんま」って、そういう意味、だったんですね!(考えりゃ、わかりそうですけど┐( ˘_˘)┌) 辛さも、幸せも、涙もろとも、両方、受け取りました。
「凍蝶」も…主人公の男の子の辛さ、苦しさに、顔を歪めて読みましたが…美しい出会いと、哀しい別れに、涙しながら…ラストに満足!
朱川さんに、ハマりそう…でも、こういうのを連続して読むと、心が(・o・;) -
2回りほど世代は違うし、大阪に住んだ経験も無いが各作品に漂う懐かしいノスタルジックな雰囲気や少し不思議な出来事、昭和の排他的な差別意識や猥雑な空気感の中で生きる子供達の気持ちに心を動かされた。
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表題作 花まんまが1番好きかな、、
なんかちょっと不思議なお話 というか、、
全編魅力的でした。
スゴイ!!
学ぶこと、チャレンジすること。
年齢に関係なく、忘れちゃいけない。
って分かってるん...
スゴイ!!
学ぶこと、チャレンジすること。
年齢に関係なく、忘れちゃいけない。
って分かってるんだけど、色んなものに手を付けては、放置するワタシ…
まっちゃん尊敬します!!
ファイト┏(^0^)┛
おぉ~!二学期は鮫学校!!こっちまでワクワクしちゃうなぁ♪
うんうん、乙一さんも涼しくなりたい夏に読みたい作家さんですよね!
「...
おぉ~!二学期は鮫学校!!こっちまでワクワクしちゃうなぁ♪
うんうん、乙一さんも涼しくなりたい夏に読みたい作家さんですよね!
「花まんま」は購入して読もうと思っていたけど、なかなか本屋さんに行く機会が得られず…まだ先になりそうです。図書館で借りちゃおうかなぁ。
まつ
おぉー!TOEIC!!なにか思い立つことがあったのかな。カッコイイなぁ。応援してるよ~p(´∇`)q
aoi-soraさん
「ツナグ」は僕も好きです。映画館も行き、原作も2回読みましたが今やうる覚えで、嵐の叫びだけが記憶...
aoi-soraさん
「ツナグ」は僕も好きです。映画館も行き、原作も2回読みましたが今やうる覚えで、嵐の叫びだけが記憶に。再読したらまた感動に浸れると思います。佐藤正午さんの「月の満ち欠け」初めて知りました。少し先になりますが読んでみます。
ひろさん
朱川さんのアピールありがとうございます。嬉しいです。ここ4、5冊、ひろさんの本棚に、好きな本や気になる本、会社の人に薦められた本、レビューで惹かれた本並んでますが、まずは砥上裕將さん追いかけますね。
松子さん
初めまして。9月のTOEIC頑張ってくださいね。僕も何かしら頑張らねば。
松子さんの本棚の中の「生きるぼくら」、映画しか観ていませんが、「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」、「舟を編む」大好きです。
試験が終わられたら、よろしくお願いします。