ドナウよ、静かに流れよ (文春文庫 お 39-1)

著者 :
  • 文藝春秋
3.47
  • (47)
  • (67)
  • (133)
  • (17)
  • (8)
本棚登録 : 594
感想 : 80
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167715014

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • とっても悲しいお話。
    悲しくて、つらくて、泣けなかった。

  • ちょっと期待して読んでみたがまぁまぁだった。日実の素直な愛し方にはすごさを感じる。でも哀しい真実だ。

  • 19才の留学生と33歳の自称指揮者がドナウ川で入水自殺をした事件を作者がおったノンフィクション

  • レビューはブログにて。
    http://tempo.seesaa.net/article/117590884.html

  • ノンフィクション。つまり、「私」とは筆者の大崎であり、この心中事件と、それに関わる取材と出来事は事実である。
    ただ、本書は事実を並べた「記事」ではない。大崎のまなざしは、彼らの心の傍にある。
    解説の川本の「心の物語」という言葉が、まさにしっくりくる。

    日実を愛してくれる人はたくさんいた。
    けれど、千葉を愛してくれる人は、日実以外にはいなかった。
    だからこそ、日実は最後まで千葉の傍にいた。
    それは、無償の愛。
    自己犠牲の愛、彼らが最後に触れた、キリスト教的な愛だ。

    心中という行為を肯定するつもりも、美化するつもりもない。
    けれど、日実が千葉を愛したその心、その愛ただ一点において、何者にも否定され得ない、真実がある。

    本書の中で、日実の写真が(その章の)最後に載せられている。
    その写真を見たとき、自然に涙が零れた。

    http://preciousdays20xx.blog19.fc2.com/blog-entry-385.html


  • 真実というのは
    時には儚く悲しいものだと
    初めて感じた

  • ある日、喫茶店で目に止めた朝刊の小さな記事。「邦人男女、ドナウで心中 33歳指揮者と19歳女子大生 ウィーン」この記事は、曖昧で釈然としない。心に引っかかりを感じ、そして書く事を決めた大崎善生。調べていくと大崎さんが将棋連盟にいた頃に見かけた女性外国人棋士の娘だった。たくさんの人々の話と助けを得ながら、二人の足跡を追う。
    19歳の少女の生い立ち。そこには、父親の浮気・同級生の死などの出来事が・・・。
    大崎は、二人の足跡を求めウィーンに旅立つ。19歳の少女は、異国の地でどんな恋をして、何を思い、何を求め、そして追い詰められたのか・・・。
    悲劇的な愛の軌跡を辿るノンフィクションです。

    これは、文句なしで良い作品です。19歳の少女を追う事により、人生の大切さ、人の思いの大切さが伝わってくると思います。最後の方は、自然と目頭が熱くなりした心に残る作品は、こういう作品なんでしょう
    しゅうさんのお薦めの作品です。俺もお薦めしますよぜひ、読んでください読むときは、ハンカチの用意を忘れずに・・・

  • 日実の写真にドキッとしました。

  • 改めて読み返してみて思うのは、

    おんなのひとって強いのね、と。

    19歳の女子大生・・・・って私も19歳の大学生♀だけれども、

    この本のカミィちゃんは

    明らかに「女の子」ではなく
    ひとりの「女性」として
    ひとりの男性を守ったんだなー。

    このストーリーの中では明らかに、カミィちゃんは太陽で、サイコ気味の指揮者は月。
    私にはできないな!
    そしてそして、
    「こういうひとの守り方もあるのか」と思う。
    死をして、そのひとの人生を完結せしめて。。

  • 悲しい。
    とにかく悲しい。
    衝撃が走った。
    いやむしろ、どこからか悲しみがやってきて自分を覆い包んだといったところか。
    でも、一体何が悲しいのか。
    女の子の若さ?男を守っていこうとするその愛?それとも男の人生そのもの?
    または、自分が男と同一化できるから?おそらくその全てなのかな。
    でも、反発したくなる。
    なぜなら、それは真理でないから。
    でも、真理ってなんだ。
    さまざまな諸条件はあれ、彼女にはこういう風にしか出来なかったはず。
    彼女のだした人生の答えがこれ。
    でも、彼女はそれに満足してたわけではない。
    それは、彼女が最後に書いた文章。親へのうらみつらみからわかる。
    だから、反発したくなるのかな。
    やり方はまだいろいろあったはずじゃん!って。
    でも、彼女の眼前でそれがいえるかといったら、、、。
    誠実な人間ほどこういうことになる。
    彼女は若すぎたんだという点は一つ指摘できるが、それもいかんともしがたい。
    もう終わったことだし、、、。
    でも、悲しい。
    もう読んでから二週間以上たつのに未だに、、、。
    人間とは一体なんであるのか。
    なぜ、死に行く存在であるのに生きるのか。
    私たちはどこから来てどこへ行くのでしょう。
    このような問いが頭の中をぐるぐるととまらないのだ。
    彼女に聞いたらソリッドな答えは返ってきたのではないかな。
    賛同できるかどうかは別にして。
    この悲しみの気持ちどこから来るのだろう。
    辛いな、辛いね。

    話は戻って、彼女の人生は充実していたのかな、彼と会ってからの数ヶ月間。
    それとも、孤独である寂しさのみが行動原理だったとしてら、、、。
    やっぱり、結局は私たちが何者であるのか、という問いに収斂して行ってしまう。
    この自分の独善さ、浅はかさ。
    自責の念で胸がいっぱいです。
    はぁ、なぜかくも生きていくのはつらいのでしょう。
    わからないな。 

     

全80件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

1957年、札幌市生まれ。大学卒業後、日本将棋連盟に入り、「将棋世界」編集長などを務める。2000年、『聖の青春』で新潮学芸賞、翌年、『将棋の子』で講談社ノンフィクション賞を受賞。さらには、初めての小説作品となる『パイロットフィッシュ』で吉川英治文学新人賞を受賞。

「2019年 『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大崎善生の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
伊坂 幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×