クワイエットルームにようこそ (文春文庫 ま 17-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (148ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167717384

作品紹介・あらすじ

恋人との大喧嘩の果て、薬の過剰摂取で精神病院の閉鎖病棟に担ぎ込まれた明日香。そこで拒食・過食・虚言・自傷など、事情を抱えた患者やナースと出会う。普通と特別、正常と異常…境界線をさ迷う明日香がたどり着いた場所はどこか?悲しくて笑うしかない、絶望から再生への14日間を描いた、第134回芥川賞候補作。

感想・レビュー・書評

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  • R4.3.1 読了。

     精神科病院の女性閉鎖病棟に大量服薬で運び込まれた明日香。その明日香の入院から退院までに出会った摂食障害の患者たち、看護師との交流などをどこかコミカルに描いた映画を先に見た。看護師江口役のりょうさんがすごくかっこよかったのを覚えています。あと、患者西野さん役が大竹しのぶさんだった。こちらも引き込まれるぐらいの演技力でした。
     この小説で映像では読み取れない主人公の心情が細かく表現されていて、主人公の悲しみや苦しみもよく分かった。
     最後まで急患のストレッチャーに乗せられていたのが知り合いかもって精神科らしい表現で終わっているところも良い演出でした。つくづく思い出に残る良い作品だと思います。
     解説の枡野浩一さんの文中の●●に何が入るのか気になりますね。

  • 薬の過剰摂取(オーバードーズ)により、精神病院の閉鎖病棟に入院させられた主人公・佐倉明日香の、二週間にわたる様子が描かれた物語。昏睡から覚醒する始めの場面から、少々引き気味な感じを受けたが、読み進めるにつれて様々な人が入院していることがわかる。患者自身も辛いだろうが、看護師さんは本当に大変だと思った(あまり良くは書かれていないけど…)。

  • 精神科の病院って、こんなんや

  • 読み返した。映画のインパクトとともに忘れられない。昔読んだ時とはまた違う、自分の人生との重なり方をした。

  • ■書名

    書名:クワイエットルームにようこそ
    著者:松尾 スズキ

    ■概要

    恋人との別れ話から、薬を過剰摂取してしまった明日香は、意識を
    失っているうちに精神病院の閉鎖病棟に強制入院させられてしまう。
    わたしは「正常」なの、それとも「異常」なの? 逃げ場のない閉
    鎖空間を舞台に、くりひろげられる葛藤の世界。冒頭の衝撃的なシ
    ーンに始まり、不運に不運を重ねていく明日香は、果たして絶望の
    淵に落ちてゆくのか。それとも……。

    文芸誌『文學界』2005年7月号に一挙掲載され、第134回芥川賞
    候補にもノミネートされた話題作!
    演出家、映画監督、俳優、作家と多ジャンルで刺激的な試みを続け
    る松尾スズキが贈る「絶望と再生の物語」。
    (From amazon)

    ■感想

    時間つぶしに購入し、読んだ作品です。
    題名は、何となく聞いたことあったんですけど、読むのは初めて
    でした。

    非常に短い物語で、軽いタッチで精神病棟での2週間の生活が描か
    れています。

    面白いし怖いのは、病院というのは精神病棟でなくても同じで、
    普通の人が「怒る」のと、入院患者が「怒る」のでは、大分見る目
    が違うという事です。
    これは、まぎれもない事実です。
    やはり、病人は、そこで働いている人間(看護師、医者など)には、
    下に見られますので、何か少しでもおかしなことをやらかすと、話
    も聴かずに勝手に悪者にされます。
    だから、看護師が患者に何かしらの悪さをしても、表に出てこない
    のが大半だと思います。(最近は、少しニュースにはなりますけど、
    あれも氷山の一角に過ぎないでしょうね。特に精神病棟なんて、
    看護師、医者の遣りたい放題でしょう。)

    この小説では、こういう場面を結構描いていて、病人の正当性に軍配
    が上がるようになっています。
    ある意味、勧善懲悪の小説です。
    自分は正常と思いながら、異常の中で暮らしていくストレスが、軽い
    タッチで分かりやすく描かれています。


    読みやすいので時間つぶしには持ってこいですが、それ以上のものは
    無いかもしれません。

  • 老人ホームのようなあの独特な臭いの中、表情のない患者がふら〜りふら〜りと歩き回り、でも時間がとまっているような閉鎖病棟。
    私には見えないものが見えたり聞こえたりする人も、同じ所をぐるぐる回ってる人も、私とたいして変わらない。私が閉鎖病棟に入院したとしてもそんなに驚くことではない。
    ...と実習中に感じたことを思い出した。

    正常(と本人は思っている)な主人公が、閉鎖病棟というある種特殊な場所にいる人々に会って、私はここにいる人間じゃないって退院したがる話。

    松尾スズキはこの本で何が伝えたかったのかなあ。

  • 自分語りとは、なんて信用ならないのか。
    思い込みや理想は事実を歪ませる。
    重い内容だが、口調が軽いのですごく読みやすい。

  • 映画を観た後で買って読んだものを数年ぶりに再読。ODならこういう入院の仕方はしないんじゃないかと思うけれどそこ以外は、ちょっとメンタルが弱った経験がある人が読めばグサグサ突き刺さって痛いのでは。
    126〜127ページ辺りの「冗談の国にいても罪悪感感じちゃうし、書きたいこと書ける環境まで手に入れたのに、実は書きたいこともないし……」というモノローグが私にとっては一番痛いポイント。つまらない国でつまらない生き方しかできないんだよなぁ私は、という。

  • 短いのであっという間に読めました。精神病棟という狭い世界だけで人間のすべてが表されていました。

  • (笑)
    読み始め、意味がわからなすぎて度肝を抜かされました。
    そして読み進めていくうちに、主人公?の女性のキャラクターに引き込まれました。
    考え方が面白すぎる(^◇^;)
    著者の松尾スズキさんという方は脚本家なのですね?そう言われると、舞台脚本的なお話だと思いました。
    意外性やおぉーと思わせる所を考えると評価4って感じですが、そこまでみんなにオススメする気にもなれないので一応3と評価致しました。

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著者プロフィール

作家・演出家・俳優

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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