よろづ春夏冬中 (文春文庫 な 44-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 142
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  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167717469

感想・レビュー・書評

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  • どの短編も男と男の恋愛が素地になっている。「あづなひ」という言葉がでる『花のもとにて』がよかった。見つめ返してくる一枚の絵のような、または他人の夢に忍び込んでしまったような、静かで甘美な作品群。

    「ボーイズラブ」という言葉があるが、『日本書紀』の昔から、男と男の恋愛の空想に耽けることがある。しかしこの短編集はどれも閨房を覗き見するようなやましさはなく、神話中の神々の戯れのごとく抽象的でノーブル。さらに恋愛の始まりが黄泉の国への入口でもある物語が目立った。エロスとタナトス。

    • りまのさん
      リンネさん
      ご自分だけのことばをもつ、センスの良い文章を、書かれるのですね。
      リンネさんの、レビュー、好きです。 りまの
      リンネさん
      ご自分だけのことばをもつ、センスの良い文章を、書かれるのですね。
      リンネさんの、レビュー、好きです。 りまの
      2021/02/03
  • 表紙とタイトルが素敵。

    長野さんの作品はとてもきれいな言葉、単語が使われているという印象があります。
    一方で「少年アリス」等、独特な世界感に入り込むのに時間がかかり読みにくかったようなイメージだったのですが、「よろづ春夏冬中」は短編で現代風のお話ということもあり、おもしろく読みやすかったです。

    どのお話も不思議な雰囲気で、きつねにつままれたような感じになります。
    男性同士の恋愛がベースのお話が多かったですが、お話によっては思わずきゅんとしてしまいます…
    「海辺の休日」「花のもとにて」「アパートの鍵」が特に好きです。

    魂や夢がからんでいるお話は少し怖くて、?となることも多かったです。
    「雨師」のその後のお話「あめふらし」も読んでみたいし、これを機に昔の長野作品にも再挑戦したいと思います。

  • 生と死、異界や時間も混ざり合う不思議な世界でした。
    BL色は強いけど、少年や青年の造形は変わらず長野作品です。
    蓋付きの御飯茶碗が欲しくなったりしました。

  • 長野まゆみさんの作品の中でもかなり好きです。一つ一つのお話が面白い。長野まゆみさんの本を読んだことがない人にもおすすめしたい

  • ライトなBL短編集。
    やっぱり当たり前にありそうな話より、ちょっと不思議だったり不気味だったりする方が面白い。

    みんな一目惚れするの?徐々に好きになるんじゃないの?

    花のもとにて、は王道なかんじがいいな。
    好きな人の耳の型を取るっていうのが気持ち悪くていい。耳っていいよね。

    前よりも文章がシンプルになっていて、読みやすいような物足りないような。

  • 同性を好きになる男の人と、狐狸に化かされるような不思議がたくさん出てくる短編集。

    最初は、合わないかも・・・と感じたけど、読んでいるうちに「注文の多い料理店」とか「遠野物語」のように、ふわふわとした感覚を楽しみにするようになりました。

  • 少しはっとさせられたり、くすっと笑えたり、不思議だったり…ちょっとした「面白さ」が一編一編に詰まっていてすごく好き。本当に、どれも良かった。花のもとにてには少し涙腺を刺激された。

  • 突然のホモ展開にビビる

  • 14の短編集。
    冒頭から2話が世にも奇妙な物語的な展開なので、そういうくくりかと思えば、ごくふつうの日常を描いたものも何編かあった。

    どれも粒ぞろいである。
    短い話だからこそ続きが読みたくなる。
    とても意味深で、想像力の広がる話を書く人だなあとしみじみした。
    才気をひけらかすでない品と知性のある文章の上に、
    物語に風情があることは秀逸なタイトルからも察知される、
    『よろづ春夏冬<あきない>』。

  • 言葉から色気が匂い立ちます。読み終わった後はほわーっと顔が火照りました。

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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