月読 (文春文庫 お 45-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (515ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167717599

感想・レビュー・書評

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  • 人が死ぬときの、間際の感情が月標として出現し、それを読む月読がいる、パラレルワールドのお話。

    とある街の大地主の養女と、その同級生のあわい恋と出生の秘密。
    姪っ子を殺害された一匹狼タイプの刑事。
    ふたつが交わっていく…。

    ファンタジーな世界とミステリーが絡まって面白かったですが、
    最後はちょっと、えっってなりました。ちょっと腑に落ちない・・・
    あと、あえてファンタジー感なのか、固有名詞が読みにくくてね・・・

    続刊もまとめて購入しているので、そちらを楽しみにします。

  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    「月読」とは、死者の最期の思いを読みとる能力者。月読として生きる朔夜が、従妹を殺した犯人を追う刑事・河井と出会ったとき、さらに大きな事件が勃発して―。人は死の瞬間、何を思うのか。それを知ることに意味はあるのか。地方都市で鬱屈する若者たちの青春を描く、著者渾身の傑作ミステリー長篇。

    ファンタジー&ミステリー。死んだ人の最後の言葉を読む月読。ミステリー部分は深くなかったが人の最後の言葉って案外「空が青い」などの何気ない言葉なんだろうなぁ~としんみりした話であった。

  • せっかくファンタジー性に優れた舞台なのに、ストーリーに活かしきれていないのが惜しい。
    特に後半は登場人物の神秘性がどんどん薄れて、普通のメロドラマみたいになってしまった印象。期待が大き過ぎたかな?

  • ヒロインがめんどくさい。まあ、めんどうな美少女にウザ絡みされるのが、男子一生の夢みたいのが、健全な青少年なのかも知れないが。で、そちらの方に目を奪われがちだが、特殊設定ミステリとして完成度が高い。ある犯罪の動機が実にとんでもないのだな。

  • ハードボイルドではないハードボイルド感にグッと来ました。月導、ほんとうにあったらとても素敵です。

  • 死者の心を読解く「月読」が、殺人事件を解決に導くミステリー。

  • ちょっと想像していたのとは違いましたが、この世界観は好きかな…
    ただ、最後に探偵役が二人になったことは、余計だったのではないでしょうか
    それなりに伏線を施しているようですが、逆に作品の質を落とすことになったように感じました
    私だけかも知れませんが…

  • 月読、月導初めて聞いた言葉たちでしたが、とても素敵な響きでした。もっともっと知りたいな・・・

  • 私にとってはハズレなしの酒飲み書店員大賞受賞作。個人的には「このミス」より好みの作品が多い。これは2010年度に大賞受賞。

    人が死ぬとその近辺に現れる月導(つきしるべ)。それは死者の思いや記憶が形となったもの。月導を読み取る力を生まれながらに持っているのが月読(つくよみ)と呼ばれる者。とある町で起きた殺人事件を捜査する刑事、力を貸す月読、巻き込まれる男子高校生を巡る物語。

    多少苦しいオチだけど、幻想的な美しさも。もしも自分が死んだら、どんな月導が現れるのか。人間なんて最期に思うのは意外に単純なことなのかも。

  • 結構最後の方まで抱えている問題が全て解決するのか不安だったけど、最後の最後に全部回収していったから一安心。ひとつひとつが繋がるまでは、あっちこっちで事が起こっていて、何となくまとまりがないように感じていたので。。
    あらすじを読んだとき、もっと幻想的な、ぼんやりとした展開なのかなと思っていたから、普通のミステリー小説として楽しめたのは少し意外だった。あくまでも月読はエッセンスの1つで、でもなくてはならない存在。ほどよい距離感だったと思う。
    気になったのは、(これを言ってしまっては話が進まないからダメなのかもしれないけど、)河井は朔夜に何でも話してしまうなぁ、ということと、咲村が瀕死の状態なのにいろいろ教えてくれるなぁ、ということ。うーん、やっぱり身も蓋もないか。

  • 亡くなる人が残す月導とそれを読み取る月読という世界は面白かった。ミステリーとしてもまずまず。

  • 重厚長大なミステリーが読みたいなあという気分だったんだけど、ぴったりだった。
    色んな事件が絡み合っていて、伏線の回収も気持ちがいい。

  • 二度目ましての作家さん。
    月がタイトルにつくと、それだけで神秘的な感じだけど
    月導に月読がある独特の世界でのミステリ。
    まるで関係のない3人が、少しずつ繋がっていく過程も
    面白かったです。
    最後の方はちょっと戸惑ったけど(^◇^;)
    続編が出てるみたいなので、これも読んでみたい

  • この作者のことは知らずにタイトルに惹かれて購入。一気に読んだが、初めは登場人物が多く作者の世界像に慣れるのに手間取った。新人作家かと思ったらベテランの作家の方だったとあとがきで知り驚いた。登場人物にもう少し味わいがあると良いのにと思いつつ、月読の設定の面白さに続編の購入も考えてます。

  • 月導と月読が当然のように存在する以外は、ごく普通の、ひと昔前の日本が舞台。

    展開も早いしミステリーとしても面白かったけど、ちょっとメロドラマ感が…。

    ドロドロの人間関係と幻想的な月導や月読が少しミスマッチなような、でも事件の背景には月読が無理なく絡んでるから何とも…。

    構成はすごく良かったので、他の作品も読んでみたい。

  • この作家さん、好きかも。
    会話のテンポも好きだし、そうでない部分の想像・創造もいい。

  • 人が亡くなると何らかの形で現れる「月導」
    その意味を読み解く「月読」

    行方不明の父を探す月読の朔夜
    殺されたいとこの事件を単独で追う河井刑事
    出生の秘密に触れ戸惑う少年克己
    母を恨み叔父を愛する少女炯子

  • 登録番号:10934 分類番号:913.6オ

  • 興味深く、引き込まれていった。
    死者の最後の声を聞く月読(つくよみ)ってありがちな設定って思ったけど、予想外。色々な事件と月読の人生が交差し最後まで飽きない。

  • 死者の最後の思いを様々な形となって現す『月導』。
    その思いを読み取ることの出来る能力を持つ『月読』。
    とても素敵な世界観にあっという間に引き込まれました。
    青春小説のような輝きと、複雑な人間関係が交錯する群像劇、そして根本にあるのはミステリ。
    これらの要素が見事に絡み合い、このパラレルワールドへと誘います。
    とても良かったです。
    もしこの世界に『月導』『月読』が存在するならば、自分の死後、どんなものが形となって現れるんだろうか。
    続きも購入してあるので、読み始めます。

  • 書架でタイトルに惹かれて読む。

    基本的には現代の日本を舞台としたミステリー。
    だが、パラレルワールドとも言うべき、微妙に異なる世界。
    だか、その差異がかなり自然に表現されているので、変な(下手な?)刑事ものより現実的。

    その異分に心魅かれ、全体に漂う優しさに心暖まる一冊。

  • 死者が最期の思いを残す月導(つきしるべ)と、 それを読み解く月読(つくよみ)が存在する世界の話。
    月読として生きる青年と殺人事件を追う刑事、自分の進路に悩む高校生達、彼らの運命が重なり合うときに・・・
    平行世界を舞台とした長編ミステリー!!

  • うーん、ちょっと地味かなあ。文章が古臭い印象を受ける。登場人物のセリフの言い方が苦手。

  • 太田 忠司 『月読』
    (2005年1月・文藝春秋 / 2008年1月・文春文庫)

    「月読」とは、死者の最期の思いを読みとる能力者。
    月読として生きる朔夜が、従妹を殺した犯人を追う刑事・河井と出会ったとき、さらに大きな事件が勃発して――。
    人は死の瞬間、何を思うのか。それを知ることに意味はあるのか。
    地方都市で鬱屈する若者たちの青春を描く、著者渾身の傑作ミステリー長篇。(文庫版裏表紙より)

    人間が死んだ直後に必ず現れる不可解な現象「月導(つきしるべ)」
    その月導に触れることにより、亡くなった人が最期に思ったことを読み取る能力者「月読(つくよみ)」

    舞台となる世界と我々の住む世界との相違はたった二つの事柄――「月導」と「月読」の存在だ。

    科学技術の進歩に費やされるはずだった学者たちの才能がこれらの研究に著しく浪費された結果、我々の世界よりもこの作品の舞台となっている世界の科学技術は遅れてしまっている。
    それゆえ、携帯電話も薄型テレビもない「現代」が描かれている。

    もちろん、月導と月読の存在はこの物語にとって大きな役割を果たしている。
    だからといってSF的な色合いは決して強くなく、科学的な根拠に関しては何も語られない。
    読者はただその存在のみを自然に受け止めればよい。

    二つの殺人事件とそれを追う刑事、三人の若者と一人の月読。
    それぞれが背負う業と謎を絡めながら、物語は淡々と語られていく。
    しかし私がこの物語に魅かれたのはミステリとしての完成度や衝撃度ではなかった。

    この作品世界に生きる彼らすべてに幸福な結末が用意されているわけでは決してなかったが、
    それを静かに丁寧に描いた作者の優しい眼差しを感じたからだ。

    ある者は生きることに意味はないと言い、ある者は、自らの存在に意味を求める。
    生きた証を残したいと願う者がいれば、静かに見守ることで生きる意味を見出す者もいる。

    死の瞬間に人は何を思うのか?
    その答えが具現化される世界に生きる彼らは日々何を思って生きているのか?

    先端技術や情報が溢れかえる世界に生きる我々はその速い流れを泳ぎきるのに精一杯になっていて、この作品を通じて問いかけられるこれらの問いに対して何の答えも用意していない。

    85点(100点満点)。

  • ファンタジー的な設定が苦手で、初めは苦戦したがファンタジー色は強くなく、ミステリとして楽しめた。

    あらすじ:
    死者の残す月導(つきしるべ)を読み取る月読(つくよみ)。その人の一番心に残っているメッセージが時には花に、ガラスに、絵に、温度に--とにかくさまざまな形をとって表れる。
    婦女暴行事件、女子大生殺傷事件(勝手に命名)とさらなる殺人事件に放火事件。加えて過去の事件や別の事件がからまる事件づくし。残る月導と月読が事件に光を与えるのか――。

    良かった点は普段あまり推理はせずに本を読むのだが(例外はあるが)、この本では個々の事件がとてもわかりやすく描写されているため、整理しやすくて、探偵的な気分を味わえたことだ。今現在「○○という事件と、△△という事件と、××という事件があって」などと。これは太田氏の巧さだろう。きっとこれ別の作家先生が書いていたら、「難しいですよ」というミステリになってただろうな。それをそう思わせないのが太田氏の偉大さだ。逆に、それによって物足りなさは少し残ったのだが。
    面白いのが世界観。月読研究に莫大な資金が投入された結果、科学技術の進歩が大幅に遅れ、人類はまだ月に到達していないというのだ。そのほかにも家電なども全然充実していない。携帯電話だってない! これによって、現代推理小説のメカの役割を排除したのだと思うと、本筋にはかかわらないことだが「これから」を期待してしまうのだ。続編が実際にあるのだが(未読)、書くときに便利だろうな、と。
    またファンタジーというより幻想小説的な印象を抱いた。両者のボーダーは言及しないが、月読という「不思議な力」により解決はしないのがいい。ヒントにはなるが(ならない時もあるが)、決定打にはならないのが好感が持てた。個人的にファンタジーを敬遠する理由はここらへんにあるから。またどうして幻想小説的か、と思ったかというとなんとなく泉鏡花を思い出したからだ。うん、なんでだろう。
    納得できないのが動機と結末。
    なんていうか理解できない。いや、わかっているのだが、納得できないのだ。結末というか真相がわかって以後の処遇がどうにもぼかされているような気がしてちと不満。
    太田氏では今のところ「甘栗と金貨とエルム」が一番だ。

  • 続編を先に読んでいたが、やはりこの設定は好き。人が亡くなると月導があらわれる。
    いくつかの事件が複雑にからんで、他の事件の動機になったり手掛かりになったり。
    でもクライマックスで盛り上げておいて、双子でしたっていうオチ?はちょっと…。

  • 変わったミステリー 
    別世界の話みたい。でも普通のお話し。
    超能力者のヒーロー?

  • ネタばれあり

    月読-現れた月導を読む能力を持つ人。月読師として生計をたてる人間は昨今少なくなっているらしい。

    月導-人が死に際に強く想った事、気にしていたことがどこかに、何れかのかたちで現れる現象。発生する現象と死者との因果関係及び月導の法則性は解明されていない。

    従姉妹を殺した犯人を探す刑事。彼は殺された従姉妹の部屋の隣に住む一人の月読と知り合い、彼が探している養父の捜索に協力する。

    また、己が養子であることを知った高校生は自分の進路で喧嘩をする養父母に挟まれ、悩んでいた。


    全く接点のないふたりだけど、所々で関わってる。
    正直養父が失踪した理由とか納得できないんだが、月導と月読の関係は面白いと思った。

  • 読み終わった方なら、巻末の解説とカブるレビューだと感じるところもあるかもしれませんが、以下は私の素直な感想です。






    タイトルでもある『月読』のいる世界は、本の裏表紙に書かれているあらすじから想像していたのとは違い、ある意味ファンタジーでした。
    パラレルワールドと言った方が正しいかもしれません。
    例えるなら、アニメ第1期の『鋼の錬金術師』と発想が似ていると思います。
    違う可能性で発達した文明に因って構成されている世界。
    私はそれを知らずに心霊物のオカルト探偵系かと勘違いしたまま読み始めたので違和感がありましたが、現実とは異なる現実的な世界としてすぐ物語に入り込めました。


    ただ難を言えば、老若男女問わず、早計な人間ばかりが出てきます。
    これを人間らしさと言うには愚か過ぎやしないかと思いますし、少々ご都合主義に感じる部分もありました。
    しかしハッとさせられるリアルが散りばめられているのも確かで、また心理描写が丁寧な為、後味は悪くありません。
    朔夜さんと河井刑事が緩衝剤になっているからかもしれないなあ。
    二人が会話している時は、こっちまで同じ香ばしい焙じ茶を飲んでいるかのような安心した気分になれます。


    次々と増える登場人物や伏線に追い付けないということもなく、また分厚いページ数も展開の妙で飽きさせません。



    帯に「青春小説です」と書店店員さんのコメントが書いてありました。
    生まれてから死ぬまで、死んだ後、生まれる前、全てをひっくるめて「青春」と言える、この本はそんな本です。

    これから続編の『落下する花 月読』を読むのが楽しみです。

  • うーん、面白くなかったわけではないけれど、途中話がだらけてしまう部分が気になった。発想はとっても面白いのに、ひきつけられるほどのめりこめなかった、残念。

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著者プロフィール

1959年名古屋市生まれ。名古屋工業大学電気工学科卒業。81年「星新一ショート・ショートコンテスト」で「帰郷」が優秀作に選ばれる。その後、会社勤めをしながら「ショートショートランド」「IN★POCKET」にショートショートを掲載。1990年、長編ミステリー『僕の殺人』を上梓してデビュー。2022年『麻倉玲一は信頼できない語り手』が徳間文庫大賞2022に選ばれる。

「2022年 『喪を明ける』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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