弥勒の掌 (文春文庫 あ 46-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167717674

作品紹介・あらすじ

愛する妻を殺され、汚職の疑いをかけられたベテラン刑事・蛯原。妻が失踪して途方に暮れる高校教師・辻。事件の渦中に巻き込まれた二人は、やがてある宗教団体の関与を疑い、ともに捜査を開始するのだが…。新本格の雄が、綿密な警察取材を踏まえて挑む本格捜査小説。驚天動地の結末があなたを待ち受けます。

感想・レビュー・書評

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  • 新興宗教の闇を暴く物語。いやはや男女の情事か。
    オチは「えぇ?」と笑ってしまいそうな展開。

    以下、ネタバレ有り(備忘録)。

    2人の主人公。辻と蛯原。
    互いの視点から描かれる物語。

    辻は教師だが、妻があったが教え子と浮気。それから妻とは家庭内別居状態が続いていた。ある日、妻が姿を消す。
    同じマンションに住む知人女性が辻を訪ね、不審に感じ通報。妻の失踪の容疑者に。無実を晴らすため、知人女性を訪ね、妻の行き先を聞くがハッキリとしたことはわからない。ただ、その女性が新興宗教の会員であり、辻の妻を体験入会に連れていっていたことが判明する。

    蛯原は妻を殺され失意の中、自宅クローゼットに弥勒像を発見する。妻がおかしな新興宗教に入れ込んでトラブルに巻き込まれてしまった可能性を探る。

    辻と蛯原はタッグを組み調査を開始。間もなく、辻の妻も遺体で発見された。
    新興宗教の正体を暴き、犯人に迫るため、教団内部へ足を踏み入れることになった2人。弥勒を目の前に動揺することになる。

    全ては盗聴器で知られており、辻と蛯原の知られざる行為が明らかになる。

    辻は蛯原の妻を殺した。蛯原は辻の妻を殺していた。
    それを知っている教団に脅され、会員幹部とし暗躍することになった。

    互いの視点で、殺人の事実を伏せながら進めることは難しいのでは?と個人的には感じた。
    オチのところで「何でもありやん」とつい呟いてしまった。主観とは言えない描き方と言えど、オチを知るとかなり無理があったな、と思う。読者に伏せて成り立つことにも限度があるし、後出しするにも、主人公の描き方があまりにも違和感があることが、後からわかるので、少し白けたかも……

    途中までは面白かった!
    最後の10ページが惜しかった。

    読了。

  • 2022.3.1
    書き直しに来たのだが、面白かった記憶あるんだけどなぁ...なんかめっちゃ酷評で笑いました。

    いつか読み直して書き直さないと!!

  • この前読んでた本と比べてめっちゃスラスラ読める〜!でも、それだけ起伏がないって事かもしれん…
    どんでん返しってのは知ってたけど、「アレッ!アレッ!」っていう感じでスムーズに。
    追う側(刑事さんと教師)も、追われる側(怪しい新興宗教)も過去に何かある。これではね〜そうなるわな〜後で考えると…
    他所の宗教なら、徳を積んだ人が大師という尊称を与えてられるんやろうけど、ここでは、徳というより、悪を重ねた人に与えられる!(◎_◎;)

  • ラスト…え?えぇ?やっちゃいますか?

    こういう所が我孫子武丸さんの本の好きな所。まるで想定外だった。
    情報化社会、より広く深く情報を持っているものが、勝ち組になるんだろうなぁと納得のお話でした。

  • 謎の新興宗教『救いの御手』

    妻が失踪した?高校教師の辻

    汚職の疑惑のある刑事、蛯原は妻が何者かに殺された!?


    最初のヒントはこれだけ!

    帯から読み取れるのはドンデン返し!
    という事は『全てを疑い、可能性の全てを考えなければならない!?』

    辻の行動、蛯原の疑惑の正体、そして弥勒の本性・・・



    何れにしてもページが次から次へとめくれ200ページを超えると最終章へまっしぐらです!!!



    ちなみに、この作者は『かまいたちの夜』の制作に関わっているようです!

    それと解説を読んで作者の別の作品にも興味が湧き、取り敢えず『ディプロトドンティア・マクロプス』を読んでみたいと思いました。

  • 読み易くて冒頭から徐々に引き込まれていく内容。小説ではありふれた事なんだけど。そして、1人の男と、刑事が絡みはじめて加速していく。ラストは、驚きはしないが…心の隙を突いて行く悪徳宗教は怖いなー。
    自分はならないと思っていても洗脳されていくのだろう。神頼みはやめましょう!感謝くらいが良いと思う笑
    サラッと読めるけど引き込まれる内容でした。

  • 僕が読んだ文庫版の帯には「○章の○ページを読んだ時のあなたの衝撃が目に浮かぶようです」のような解説者による文章が書かれており、更にご丁寧にも「この本は読者を罠にはめようと企まれているので注意して読むべし」的なことまで書かれている。個人的にはあんまり好きなやり方ではない。
    オチはミステリーを読み慣れている人であれば気付く人もいるだろうと思うが、僕は考えが及ばず、解説者が言った通りのところで普通に仰天した。こういうのも叙述トリックと言うのだろうか。かなりおすすめできます。

  • 本作も著者である我孫子武丸の良さ(凄さ)をしっかりと感じることが出来た。

    主人公となる登場人物は教師である辻恭一と刑事の蛯原篤史。

    1小説毎に教師と刑事が入れ替わりながら描かれ、2人は出会う。

    互いに妻を殺された者同士、犯人探しの中でたどり着いたのは宗教団体《救いの御手》。

    最終章のタイトルである弥勒(《救いの御手》の会長=一般的な呼称は教祖)が殺人の鍵を握ると思わせ続けながら、ようやくその姿を現し、弥勒が告げた言葉には驚愕の真実が。

    警察内部を描いた小説でも、新興宗教を描いた小説でもあるが、読み終えた感想は立派なサスペンス小説。

    読めば読むほど私は我孫子作品が大好きだ。


    説明
    内容紹介
    妻を殺され汚職の疑いまでかけられた刑事。失踪した妻を捜して宗教団体に接触する高校教師。錯綜する事件、やがて驚愕の真相が!

    内容(「BOOK」データベースより)
    愛する妻を殺され、汚職の疑いをかけられたベテラン刑事・蛯原。妻が失踪して途方に暮れる高校教師・辻。事件の渦中に巻き込まれた二人は、やがてある宗教団体の関与を疑い、ともに捜査を開始するのだが…。新本格の雄が、綿密な警察取材を踏まえて挑む本格捜査小説。驚天動地の結末があなたを待ち受けます。

  • 殺戮の病の衝撃から再我孫子武丸。やっぱりあの作品のアクが強かったためか、いささかあっさりとした作品に感じた。しかし、新興宗教を扱うあたりは、やっぱり我孫子武丸だなーと思った。目の付け所が、貫井氏と同じ。殺人の交換。まあ予想できたオチだけど、それなりに面白かった。しかし、新興宗教の怖さは描写しきれてなかったかなー。慟哭なんかの方がよっぽど怖かったし、教団Xの方がもっと仔細だった。そして、終わり方も打ち切りみたいな終わり方で、少しイラっとした。

  • 読みやすくて、宗教絡みの好きな題材だったので長編ながらあっという間に完読。
    最後、えー!っと声が出た。

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著者プロフィール

1962年、兵庫県生まれ。京都大学文学部中退。在学中は推理小説研究会に所属する。89年、『8の殺人』で作家デビュー。主な作品に、『人形はこたつで推理する』にはじまる「人形」シリーズほか、『殺戮にいたる病』『ディプロトドンティア・マクロプス』『弥勒の掌』『眠り姫とバンパイア』『警視庁特捜班ドットジェイピー』『さよならのためだけに』『狼と兎のゲーム』『裁く眼』『怪盗不思議紳士』『凜の弦音』『修羅の家』などがある。小説の枠を越えマルチに活躍し、ゲームソフト「かまいたちの夜」シリーズの制作でも知られる。

「2022年 『監禁探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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