物乞う仏陀 (文春文庫)

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著者 : 石井光太
  • 文藝春秋 (2008年6月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167717919

物乞う仏陀 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • フィクションとノンフィクションとの境界を明確に線引きすることはできない。できないけれども、本書は、まるで物語を編むために現実が利用されている感じがして、読後感が良くなかった。作者が出会った異国の人々の発言が、まるで小説の登場人物のそれのように書かれているのもひとつ。表現が大げさなのもひとつ。あと、本書に繰り返し現れる、この国の障害者たちは悲惨な状況下に置かれている、けれども自分はそれに対して何もできない、という作者のウェットな感想もひとつ。本書の主人公は、物乞いや障害者たちではなく、作者本人だ。

  • 石井光太さんの本をあれこれ読んだので、最初に発行した本に手をつけた。
    やはり日本で暮らしていては想像もできない暮らし……。あまりにも衝撃的すぎる。
    そして日本にいても忘れがちだが、当然障害者はどこの国でもいる。
    厳しい世界で医療に頼ることもできない国での障害者は、本当に生きていけるのかと思う。だからこそ著者は調べにいったんだけど。
    身体的にある障害で同情を得ることによって物乞いで稼げるお金は、健常者とあまり変わらないことにも驚き。
    物乞いしかできない国なのはわかるけど、物乞いでお金をだす人がいるってことだ。
    どんな人がお金をだすのだろう?裕福な人たち?旅行者?物乞い同然の人が物乞いにお金を出すのでは?
    むしろ豊かな日本のほうが物乞いしてもお金は得られないのではないか。

    赤ちゃんのころに誘拐されて5歳まではレンタルチャイルド、それ以降は腕や足を切断されたり目をつぶされたあと障害者の物乞いになるなんてとても信じられない話だ。もちろん女性は娼婦へ。
    貧困な国ってここまで悲劇が当たり前なのか…。

    一番気になったのは、麻薬中毒者と仲良くなるために、著者がマリファナやハッシシを吸うところ。どっちも大麻だよね。知識ないので想像だけどまだ安心(というのも変だけど)な麻薬なのか?(タバコも麻薬みたいなもんだよね)身体は大丈夫なのかと心配。もちろん大丈夫な範囲で納めているんだと思うけど。
    私「異国の障害者を調べて本で稼いでいる」とは思えない。危険も多いし…。興味本位なのはあるだろうけどそれがあるからこそこうして踏み込めるのではないかと思う。興味本位だったらいけないのだろうか?本にすると日本に現実を知らせることができるし、売れればお金がはいってくるのは当然のことだ。
    まだまだ若い著者なので、これからも頑張ってほしいな。

  • インパクトが強い。
    世界の状況(そっくりそのまま真実かはさておき)がわかる本。
    貧困から抜け出せない人々が仏陀の輪廻転生を信じる。それは、死をもってしか貧困から抜け出すことができないからなのだと思う。
    宗教になじみの薄い日本人には印象的な本だと思う。

  • 図書館で。
    昔、アメリカ人の教授が学生時代にアフリカに旅行した時、初めて「貧困」というものに接した、と言っていたことをふっと思いだしました。
    社会的弱者である障害を持った方や孤児が東南アジアの国でどのような扱いを受け、どうやって生き延びているのか。中々重たい事をよく見聞きしようと思ったものだなぁと読んでいて思いました。

    ベトナムに行った時、道路の側にバナナがなっているのをみてのっぴきならなくなったらここに来たら飢え死にはしないで済むかなぁなんてぼんやり思ったことを思いだしました。いや、そんな甘いもんじゃないだろ、とも思うけれども気候が暖かいって大事。でもここにマフィアなどの組織が絡むと…弱者はさらに虐げられるんだなぁ…つらい。
    カンボジアの青年は同じような経験をした仲間が居るという事と外国人の案内とかそれなりにする仕事があることが希望なのかなぁと思いました。する事が無い、奉仕される、施されるだけの生活では…未来も見えないだろうし。

    でも作者さんの立ち位置がよくわからなくてその辺りはん?と思う所もありました。各地に日本のNPOが社会的弱者に手を差し伸べているのを感謝された、とありましたがきちんと訪れる先の福祉対策や制度を調べるならその辺りのプロから話を聞けばいいのにとかその活動を紹介したらいいのに、と思いました。お膳立てされたインタビューじゃ無くて現場の生の声を聞きたいんだ、ということなのかもしれないけど… でもそれだって全体のほんの一部の声だし、嘘か本当かも判断でき兼ねる。それに、行き当たりばったりでいきなり訪ねてきた怪しい外国人にそんな自身の生活の辛さや本心は見せないよねぇ…とインタビューを受けた人にちょっと同情しました。

    ただ知りたいというだけで行動できるのはすごい。でも知ってどうするんだ?次のアクションは?という辺りがちょっと曖昧すぎて… モニョっとしながら読み終えました。

  • 著者である石井光太さんがアジアの国々の物乞いや障害者を訪ね歩き、その体験をまとめた本。
    東日本大震災の被災地を訪ねた「遺体」を読み、深く心に刺さったので彼の本を他にも読みたいと手に取ったが、読みながら何度もつらさに手が止まった。

    彼が出会う人々は実に様々だ。
    戦争によって障害を負っていたり、先天的に障害を持って生まれたり、そして貧しさ故に障害を負わされた場合もある。障害を仕方のないものと受け入れる人もいれば、これは自分の業が悪いのだと諦める人、乞食という仕事にさえ誇りを持つ人もいる。
    特に胸がつまったのは、インドのレンタチャイルドの実情だった。
    彼らは幼い頃に誘拐され、物乞いする大人たちがより自分を可哀想に見せるために貸し出される。そして、子供としての商品価値が無くなれば腕や足を切断されるなどして、次は自分が乞食をさせられるのだ。
    こんなことが世の中に起こっているのかと、衝撃だった。
    もちろんもしかすると今現在では状況は多少なりとも良くなっているのかもしれない。ただ、わたしにはそうして暮らしていくことが普通になってしまった場所がそう簡単に変わるとは思えない。

    日本で普通に暮らしていて想像する「障害者」とはまったく違う彼らの暮らし。
    いつか世界中の人々が、普通にやりたいことをやり、幸せに暮らせる時代はくるのだろうか。そもそも幸せな暮らしってどんなものなのだろうと途方に暮れた。

  • アジアの国々の路上で物を乞う人々と触れ合い語り合いたいそんな思いを抱いた著者が目にした重い現実。

    ノンフィクションと言っているが,論争を巻き起こした
    事がある著者なのでアジアの国にはこの様な事が実際に起きているのかとい心境。

    ミャンマーの人里離れたハンセン病患者が集まる村で,著者が物ごごろ着いた頃から病を患っている女性に
    対しての質問はいささか無知だとしても無神経過ぎないだろうか?

    仏教を信仰する人が圧倒的に多い国では,障害児が
    誕生する原因を仏教の教えを結びつけ未来など無いと
    絶望する人がいる一方,障害児ばかり誕生したとしても
    不幸だと嘆く事さえなく次の子供の誕生を希望している
    夫婦も存在する。

    私たちには,こうした物乞いをしている人の実際の
    生活や考えている事の一部ですら想像することは出来ない。 しかし知識としてもこうした現実があるといった事を知るのは無駄では無いだろう。

  • 2008年(底本2005年)刊行。東南アジア、イスラム圏等各地の現地取材をベースに、各地域の貧困の実相を白日の下に晒してきた著者。本書は、南アジア・東南アジアにスポットを当てる。戦争・虐殺政権の爪痕が他地域よりも生々しい東南アジア(地雷、不発弾)固有の問題も含まれるが、総じて、貧困と治安不全に由来する南側諸国の問題点を喝破する。「魚を与えるよりも魚釣りの方法を伝授すべし」とは成長を促すための必要な視座だが、それが空々しく思える。殊に、マフィアの跳梁跋扈は治安と公務員の清冽さの重要性を雄弁に語る。
    また、著者のイスラム圏関連書(「神の捨てた裸体 」)の読破時にも感じたが、本巻の対象地域に関しても、貧困や貧困層の有りように対して、宗教色や宗教的影響を看取することは難しい。

  • 自分の知らない世界がまだまだあった。

  • 東南アジアの最下層に生きる障害者の周辺を追うルポ。
    枯葉剤の後遺症の先天性傷害者、
    少数民族間での近親婚の繰り返しによる傷害、
    地雷被害者、麻薬中毒から心身を喪失していく人たち、
    事情は色々。

    さらに上座部仏教やヒンドゥー教やキリスト教などの宗教が
    生活に大きく影響する土地柄や南国人特有の気質が絡み。

    物乞いを睡眠薬で眠らせ、臓器摘出するから本人は
    斬りつけられただけと思っているとか、
    攫ってきた赤子と物乞いに貸し出し、
    成長すると手足切断して障害を持つ物乞いとして
    搾取し続けるとか、凄まじい。

    そうした生れ落ちた環境でたくましく生きていく人たちの
    同じ人間としての活力とか胆力の違い、
    ひいては生物としての生命力の違いを思い知らされます。

    平成日本に生きる我が身に引寄せて考えるのも
    忸怩たるものがありますが、科学技術や文明の代償に
    失ったものの大きさが感じられて、不気味。

  • ルポルタージュ風だがフィクション的文調。お金を払って読もうとする方にはここが最大の焦点。
    個人的には強烈な違和感も、既に醸された物議。著者の明確な意図に基づくものと判明している。
    そういう意味ではこの酸鼻なるタイトルは中味に如実。著者の恣意的な文学表現付き印象操作に惹かれる方にはお勧め。そうでなければ、出来損ないの私小説のような語り口に吐き気を催すだろう。
    ただ取材の内容は素晴らしく期待を満たすものであることは保障できる。
    著者が好ましくない私は星4をつけました。

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物乞う仏陀 (文春文庫)の作品紹介

アジアの路上で物乞う人々と触れ合い、語り合ってみたい-。そんな思いを胸に、著者の物乞いや障害者を訪ねる旅が始まる。カンボジアの地雷障害者やタイの盲目の歌手、ネパールの麻薬売人らと共に暮らし、インドでは幼児を誘拐して物乞いをさせるマフィア組織に潜入する。アジアの最深部に分け入った衝撃のノンフィクション。

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