物乞う仏陀 (文春文庫)

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著者 : 石井光太
  • 文藝春秋 (2008年6月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167717919

物乞う仏陀 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

  • 2008年(底本2005年)刊行。東南アジア、イスラム圏等各地の現地取材をベースに、各地域の貧困の実相を白日の下に晒してきた著者。本書は、南アジア・東南アジアにスポットを当てる。戦争・虐殺政権の爪痕が他地域よりも生々しい東南アジア(地雷、不発弾)固有の問題も含まれるが、総じて、貧困と治安不全に由来する南側諸国の問題点を喝破する。「魚を与えるよりも魚釣りの方法を伝授すべし」とは成長を促すための必要な視座だが、それが空々しく思える。殊に、マフィアの跳梁跋扈は治安と公務員の清冽さの重要性を雄弁に語る。
    また、著者のイスラム圏関連書(「神の捨てた裸体 」)の読破時にも感じたが、本巻の対象地域に関しても、貧困や貧困層の有りように対して、宗教色や宗教的影響を看取することは難しい。

  • 自分の知らない世界がまだまだあった。

  • 東南アジアの最下層に生きる障害者の周辺を追うルポ。
    枯葉剤の後遺症の先天性傷害者、
    少数民族間での近親婚の繰り返しによる傷害、
    地雷被害者、麻薬中毒から心身を喪失していく人たち、
    事情は色々。

    さらに上座部仏教やヒンドゥー教やキリスト教などの宗教が
    生活に大きく影響する土地柄や南国人特有の気質が絡み。

    物乞いを睡眠薬で眠らせ、臓器摘出するから本人は
    斬りつけられただけと思っているとか、
    攫ってきた赤子と物乞いに貸し出し、
    成長すると手足切断して障害を持つ物乞いとして
    搾取し続けるとか、凄まじい。

    そうした生れ落ちた環境でたくましく生きていく人たちの
    同じ人間としての活力とか胆力の違い、
    ひいては生物としての生命力の違いを思い知らされます。

    平成日本に生きる我が身に引寄せて考えるのも
    忸怩たるものがありますが、科学技術や文明の代償に
    失ったものの大きさが感じられて、不気味。

  • ルポルタージュ風だがフィクション的文調。お金を払って読もうとする方にはここが最大の焦点。
    個人的には強烈な違和感も、既に醸された物議。著者の明確な意図に基づくものと判明している。
    そういう意味ではこの酸鼻なるタイトルは中味に如実。著者の恣意的な文学表現付き印象操作に惹かれる方にはお勧め。そうでなければ、出来損ないの私小説のような語り口に吐き気を催すだろう。
    ただ取材の内容は素晴らしく期待を満たすものであることは保障できる。
    著者が好ましくない私は星4をつけました。

  • 海外の貧困や障害者のルポをするのも良いけど、他の国の惨状を訴えたりなんとかしたりする前に日本の抱える問題をなんとかしないとダメだと思うんだ。日本だってたくさん問題抱えてるじゃない?障害者、シングルマザーの貧困、お一人様、介護離職、売春問題、累犯障害者。福祉だって東南アジアよりはよほどマシだが全然整っているとは言えない状態。日本はまだ他の国を可哀想がったり手助けするほど偉い国にはなってない。

  • フィクションとノンフィクションとの境界を明確に線引きすることはできない。できないけれども、本書は、まるで物語を編むために現実が利用されている感じがして、読後感が良くなかった。作者が出会った異国の人々の発言が、まるで小説の登場人物のそれのように書かれているのもひとつ。表現が大げさなのもひとつ。あと、本書に繰り返し現れる、この国の障害者たちは悲惨な状況下に置かれている、けれども自分はそれに対して何もできない、という作者のウェットな感想もひとつ。本書の主人公は、物乞いや障害者たちではなく、作者本人だ。

  • 貧困層の障碍者達の社会へ体当たりで飛び込んでいった著者の感想文という感じ。すごいなと思う反面、少々エモーショナルになりすぎる感もあったり。

  •  ずっと昔に読んだので忘れた。
    面白かったのは覚えてる。

    また読み直さなきゃ。

  • [ 内容 ]
    アジアの路上で物乞う人々と触れ合い、語り合ってみたい―。
    そんな思いを胸に、著者の物乞いや障害者を訪ねる旅が始まる。
    カンボジアの地雷障害者やタイの盲目の歌手、ネパールの麻薬売人らと共に暮らし、インドでは幼児を誘拐して物乞いをさせるマフィア組織に潜入する。
    アジアの最深部に分け入った衝撃のノンフィクション。

    [ 目次 ]
    第1章 カンボジア―生き方~買春と殺人
    第2章 ラオス―村~不発弾と少数民族
    第3章 タイ―都会~自立と束縛
    第4章 ベトナム―見守る人々~産婆と家族
    第5章 ミャンマー―隔離~ハンセン病と信者
    第6章 スリランカ―仏陀~業と悪霊
    第7章 ネパール―ヒマラヤ~麻薬と呪術師
    第8章 インド―犠牲者~悪の町と城

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 同じ作家さんの本を続けて読むのは3冊くらいまで、と、なんとなく自分の中で考えているのだけど(やはり、なんとなく飽きてくるので)、どうしてもハマりやすい体質のため、次々に読んでしまう。

    重いー。
    ベトナムやタイ、行ってみたいなーと思ったりした時もあったけど、とてもとても・・・。

    同じ人間なのに、こうも"生きる"ということに違いがあるなんて。

    だけど、笑顔があるのっていい。

  • 著者の人間味溢れる記述に心打たれます。
    天下から言葉を発するようなものでなく、
    見たこと・感じたことを素直に記述する。
    だからこそ、読むこちらに訴えかけるものが違う。

    絵本→写真ルポ→本書と流れたので余計読みやすかったのかも。

  • 凄まじい実情。
    東南アジアやインドに行ってみたいなと軽い気持ちで考えていたが、こういう面があることを知ると、怖いです。
    人間って自分が生きるためにどこまで他人に対して残酷になれるんだろう。

  • たった数百円の為に体や命が無くなる。日本のインフラ・社会保障のありがたみを認識した。
    インタビュアーにもかかわらず相手の気持ちを読めない著者に苛立つが、こうした本の存在価値は大きいと思う。

  • 小説のようでもある。詩のようでさえある。しかしこれはノンフィクションである。題名の『物乞う仏陀』が示す独特な世界観を以って貧困の世界を描く。

    衝撃度でいえば「第8章 インド」がもっとも貧困の闇を描いている。しかし他の章にもぜひ注目したい。「第1章 カンボジア」はさながら「羅生門」のような雰囲気を持つ。「第7章 ネパール」のザグリと少女の話は呪術の持つ「現実的な」効用とともに希望を感じさせる。

    特に私は「第5章 ミャンマー」が印象的だった。老婆の感情が瓦解する場面は胸が締め付けられる。現世を否定されることはいまの自分を否定することになる。だから輪廻転生の来世を信じる老婆。やりきれなさを感じずにはいられない。

    ときには生命の危険を冒しながらも貧困社会へ入り込み、自然な目線で人々を捉える石井氏。彼を突き動かすものはなにか。慈善心とは違う。好奇心だけでは語れない。使命感という言葉がもっもとしっくりあてはまる。良し悪しではなく「知らなくては」と「伝えなくては」という思い。

    多かれ少なかれ我々は差別や偏見を持つ。過度な拒絶と同様、過度な優しいも差別であり偏見である。文章はその要素、つまり視覚や嗅覚、触覚を徹底的に排除する。文字のみを通して素直に自分自身の感情と向き合うことができる。貧困を描くことに対する賛否両論はあるだろうが、その成果は大きい。

  • 2012年10月読了。ある世界の「常識」って何だろうと思う。

  • こういうのは感想を気安く書けないけど、
    僕はけっこう冷酷な人間になれるというか、
    正義感って何なんだろうとかって思う。

    でも読んでよかった。
    こういう世界というか観点は、僕には少ない成分だから。

  • 日本だって60年前はこうだった。忘れちゃいけない、いろんな犠牲のもとに今の日本人がある。もっと必死に生きなくちゃ

  • アジア諸国で身体に障害を持つゆえに物乞いとならざるを得なかった人々、マフィアにより誘拐され障害者として物乞いを強要される人々等を描いたノンフィクション。そんな人々が著者には仏陀に見えたのか?悲惨な現実を突き付けられても、なすすべもないのですが…。

  • 読み始めから「アフガニスタンの難民キャンプを見て何故町の物乞いや障害者を見て回ろうと思ったのだろうか?」という疑問がのかなかったが、森の中に隠れて暮らすハンセン病患者に「辛いですか?」と訪ねるくだりで物見遊山だったんだという結論に至った。一応その後自分の浅はかさに気づきはするんだけど…。
    とはいえこの著者の想像力の欠如、偽善的な言葉を書き連ねてもにじみ出てくる上から目線は多くの日本人(をはじめ裕福で清潔で健康的で近代的な暮らしを謳歌する人々)の姿そのものなのかも知れない。貧しい人々の現状を綴ったルポルタージュなんだと決めてかかって読んだ自分が間違っていた。
    しかしこの著者のどの本も扇情的なタイトルであることよ

  • アジアの光と影。本書は影の部分をディープに追います。自分も子の親、他人事にしてはいけない。

  • カンボジア 生き方〜買春と殺人
    ラオス 村〜不発弾と少数民族
    タイ 都会〜自立と束縛
    ベトナム 見守る人々〜産婆と家族
    ミャンマー キリスト〜信者
    スリランカ 仏陀〜業と悪霊
    ネパール ヒマラヤ〜麻薬と呪術師
    インド 犠牲者〜悪の町と城

  • 人の見方、関わり方が、よりわからなくなった。事実としてフラットにみるしかないかなと。

  • ノンフィクション。アジアの物乞いに魅せられた著者が、各国で出会った人々のエピソード集。

    情熱大陸で著者を知り、気になって読んでみた。ノンフィクションってもっとお堅い文章なのかと思っていたけれど、短編ということもあって驚くほど読みやすかった。良くも悪くも、小説のようだと思った。読みやすすぎて、なんだかフィクションのように感じてしまう部分も。挟み込まれている会話のテンポが良いからかもしれない。けれど、その中にさらっと描かれている現実は、想像しようとしてもなかなかできない。

    自分の無知を恥じたり、旅先で恋に落ちたり。ノンフィクション作家の人って、こんなに作品の中で自分をさらけ出すものなのだろうか…。ノンフィクションって、ある意味では小説以上に著者の個性が表れるんだなぁと思った。他の作品も読んでみる。

  • 一端の旅人として、ずっと読みたいと思っていた石井光太氏の作品。
    古本屋で見つけて、ミャンマーへの旅をするにあたってジャストフィットやと思い、購入しました。

    内容としては、アジア各国の街を歩きながら、乞食や障害者などの弱者に対してインタビューを行い、各国の実情を明らかにしていくといったもの。
    ハンセン病患者の村を訪れたり、町の乞食を食事に連れて行って話を聞いたり、マフィアとの関係を調査したりと、本気のジャーナリストってすごいな、と改めて感じました。

    今では日本でも障害者の人権が主張されるようになってきたけど、それっやっぱ経済的に余裕が生まれて、福祉を充実させたり、家計の中で障害ある家族にお金を使う余裕ができてきたからなんやというのを再認識しました。
    障害者雇用なんてのも、雇用環境が整ってから実現するものやしね。

    経済的に恵まれないアジア各国では、障害を持った子どもが生まれた途端、その家族は不幸になると、みんなが思ってる。
    家計が圧迫されるだけでなく、隣人からは迷惑がられるから、人目を避けて生活しなければならない。
    さらには、輪廻転生を信じる地域では、傷害の持った子どもが生まれたら、それは両親の悪業が要因だと思われて、村を追われたりする。
    そんな不幸の要因とされている障害者は、自ら乞食や露天商になる道を選ぶ。
    そんな状況が、もう何十年と続いているのが、アジアの障害者や乞食の現状である。

    この作品では、そんな現状を明らかにしているだけで、ほんなら自分たちに何ができるかというところまでは書かれていない。
    けど、作者はまず現状を自分が知りたい、そして多くの人に知ってもらいたいという想いで書いているんやと思う。
    経済的援助や教育支援ももちろん大事やけど、こういった現実も知っておかなければならないと感じました。

  • かなりリアルでヘビーな作品。はじめは興味本位で読めるが、後半になるにつれて、ページをめくるのが苦しくなってくる。
    おそらく筆者が疲弊していくにつれての変化なんじゃなかろうか。ノンフィクションのような随筆のような筆致。傍観者であろうとする筆者がだんだんと苦しくのめりこんでしまう様子が伝わってくる。

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