- Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167719036
作品紹介・あらすじ
怪しげな健康食品販売会社に心ならずも就職した元フリーターの加藤は、路地裏のおんぼろビルの前に立つと呆然として見上げた。無認可保育園、学習塾、不動産屋、そしてデザイン事務所…。同じ小さなビルのなかで働きながら、それぞれの人生とすれちがう小さな奇跡。あたたかな気持ちになれる連作短編集。
感想・レビュー・書評
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路地裏に佇む古いビルを舞台にした連作短編集。
店子の従業員たちが抱えるそれぞれの事情が人情とユーモアを交えて描かれており、厳しさを笑い飛ばすセンスが絶妙です。
お馬鹿な若者たちが交わす会話のセンスも秀逸で、心から楽しんで読むことができました。 -
【ゆるくてフツーで、笑ってしみじみ。】変な店子揃いの辻堂ビルヂングの人々に訪れる、ささやかで大切なひととき。仕事や人生に迷ったときに読みたい、ほんわかした短篇集。
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時代から取り残された様な古い雑居ビル。
入居している店子も、少し外れた変わった会社。
働く人間も、どこか残念だったり、足掻いていたり、イライラしている面々。
でもね、誰も人生諦めてないし、出口を探してる。
すれ違う程度だったビルの住人。
彼等がふとしたキッカケで次第に繋がってくる。
三羽省吾の作品の共通点は出逢いと温もりだと思う。
投げてる人間なんていない。
絶望してる人間なんていない。
そんな人間を創りだしちゃいけない。
縁って大事。
もう少し、周りに気を配ると見えて来る事ってあると思う。
おせっかいでもいいじゃん。
厚かましいと思われる事もあるかもね。
でも、ふと寄り添うことで救われる人。
たった一言で、光射すこともあると思う。
自分の居場所はここではないかもしれない。
かといって、ここが居心地悪いわけではない。
ここの延長で、少し自分が変わってみよう。
そんな気持ちになっちゃう作品。 -
初めて読む作家さんでしたが、久しぶりに当たりでした。
出てくる人達がそれぞれ結構好きになれます。 -
築49年のオンボロ雑居ビルで働く人々の「決断の瞬間」を、ユーモラスに描いた連作短編集。
働くことの本質がここにある。印象的なのが、ブラック企業っぽい健康食品販売会社に就職した加藤くん。なんだかんだで勤め続け、舎弟も増えて、いっぱしの営業マンになった。言葉で説明出来ない「働くことの尊さ」が加藤くんの出世にある。
それにしても、著者の文春文庫作品はすべてクオリティが高いなあ。ハズレがない。 -
面白い。文体がその章ごとに違って、どれも読みやすい。
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6階建てのオンボロ雑居ビルに入居している店子達の日々の話。暖かい話もあるが考えさせられる話もある。現代版長家物語。
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最初は、正直つまらなかった。
内容がではない。
しかし、読み進めていくにつれて
それぞれの物語が関わりを持っていて
最後まで読み続けたくなった。 -
古い雑居ビルを舞台に、各フロアに入っている店子たちの悲喜こもごもの日常を描く。
良いなぁ~、「ビルヂング」。
1Fのお店、チョーうける~!ギャハハ~!
と思ってたら・・・・・。
ここにも長い歴史と人生の物語があったのだな。