ありふれた風景画 (文春文庫 あ 43-3)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167722036

作品紹介・あらすじ

地方都市にある高校で、ウリをやっているという噂のために絡まれていた琉璃を、偶然助けた上級生の周子。彼女もまた特殊な能力を持っているという噂により、周囲から浮いた存在だった。親、姉妹、異性…気高くもあり、脆くもあり、不器用でまっすぐに生きる十代の出会いと別れを瑞々しく描いた傑作青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 想像していたものと少し違った。
    美しく妬みの対象となる琉璃と、不気味で特殊能力を持つ周子。2人が親しくなったのも、お互いが外見や噂で判断せずに中身を見る人だからだろう。やはり、まだ高校生だからか琉璃や、周子、洋佑に危うさがあった。自分が高校生のときはもうほぼ大人でしっかりしていると言う気持ちがあったら、周りから見ると琉璃たちのように、子供で脆いものだったのかもしれない。

  • 青春なんぞ無かった私に青春小説は辛い。
    普通に生きてれば十代である程度折り合いをつけられる問題に、未だ手を付ける手掛かりすら分かってない自分。辛い。
    上っ面だけ読んでれば捻りのないありきたりな短編百合漫画のような話なのだが、上記の如くとかく痛いところを突いてくる。
    これで異性愛エンドだったら立ち直れなかったかもしれない。

  • 再読。
    この作品、とてもすきなのである。

    剥き出しの刃物のような鋭さ、透明さ、熟しきる前の果物のような若さとほろ苦さ。
    あさのあつこさんの作品にはそれが満ちている。

    瑠璃の薄桃色の爪。
    校内を飛び交う陰口と噂、視線。
    恋を実らせた朱里の存在の輪郭の明瞭さ。
    瑠璃と周子ふたりの出雲旅行。
    激情に駆られて紅い花びらを踏みつけた周子。
    「捨てなさい。そんな思い出集めみたいなまね、しないで」

    たくさんのシーンが脳裏に刻まれていて、
    ときどきふと私の中を過る。そんな作品。

  • あさのあつこは『バッテリー』しか読んだことがなかったけど、筆力のある作家だと思っていたところ、良い作品に出会えた。ちょっと不思議な2人の女子高生とその周囲の人物を描いた青春小説。10代ならではの心理描写が上手く、自分にもこんな時期があったかななんて少々ほろ苦く思いつつ、楽しく読めた。大人になると、悩みの種類が変わってくる。その時々で色んなこと考えてみんな生きているんだなと再確認。

  • 恋をする心地よさが瑞々しく描かれていて良い。
    自分の好きな自分をもっと好きになれるのってほんとうに幸せなことだ。

    (恋愛相手とかに限らず、)自分の好きなものをしっかりと責任もって愛することが自分の軸になるのだとあらためて思う。
    笑いや怒りなどは、特に共感を呼びやすいこともあって話の種にしてしまいがちだけれど、つよくはなれない。
    怒りを共有する三人よりも瑠璃の方がつよく、愛することを知ってからの瑠璃はもっと強くなったね。

    惑う青春時代の小説といえば、「蹴りたい背中」も併せてどうぞ。
    綿矢りさのシニカルで突き刺さる描きかたがすき。

  • 何にもこだわりを持たず、当たり障りなく適当にやり過ごすタイプの瑠璃と、美人だけど不思議な力を隠さないため変人として扱われる周子。対極にいるふたりの少女が出会い、惹かれ合いながら季節が過ぎていくようすを描いた作品。

  • ちっともありふれた風景じゃないけど
    爽やかな青春ストーリー。
    女の子が女の子を好きって認めていく過程が丁寧に描かれている。

    内容はかなり生々しくてドロドロしている場面も多いのに
    あっさりと爽やかに駆け抜けていくのが不思議。これこそあさのさんの文章力だからなのだろうか。

  • 高校生の頃に読みたかった。
    でも今からでもこんな風に心を揺さぶられることもできるのかな。
    ---
    地方都市にある高校で、ウリをやっているという噂のために絡まれていた瑠璃を、偶然助けた上級生の周子。彼女もまた特殊な能力を持っているという噂により、周囲から浮いた存在だった。親、姉妹、異性……気高くもあり、もろくもあり、不器用でまっすぐに生きる重大の出会いと別れをみずみずしく描いた傑作青春小説。

  • 何度読んだか分からない本

  • 内容的にはどろどろしているところも多いけど、作中の空気は澄んでいてきらきらしている感じです。瑠璃の気持ちを周子が分かっちゃって悩むところで、複線の敷き方がすごいなと思います。

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著者プロフィール

岡山県生まれ。1997年、『バッテリー』(教育画劇)で第35回野間児童文芸賞、2005年、『バッテリー』全6巻で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。著書に『テレパシー少女「蘭」事件ノート』シリーズ、『THE MANZAI』シリーズ、『白兎』シリーズなど多数。児童小説から時代劇まで意欲的な執筆活動で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『NO.6〔ナンバーシックス〕(8)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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