古事記を旅する (文春文庫 み 32-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 99
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167725044

作品紹介・あらすじ

国生み神話発祥の地からヤマトタケル終焉の地まで日本全国75カ所を『口語訳 古事記』の著者が案内する決定版ガイドブック。古事記ゆかりの土地や神社だけでなく、祭事や神楽も紹介している。古事記編纂1300年を迎える年にぜひ、この一冊を手に神話の世界にタイムトリップしたいもの。奈良、出雲、伊勢のルートガイド付き。

感想・レビュー・書評

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  • 古事記などの日本神話(?)が好きな方には面白い本だと思います。
    私のような神話嫌いには合わなかったです。

  • 『古事記』をはじめとする日本古代文学の研究者である著者が、日本各地にある『古事記』にゆかりのある土地や神社を訪ねた紀行文です。

    本書とおなじく、古代日本文学にまつわる旧所・名跡を訪ねる本として、「万葉風土学」の提唱で知られる犬養孝の「万葉の旅」シリーズ(平凡社ライブラリー)がありますが、本書では日本海側の海の道、太平洋側の海の道、奈良盆地を中心とした川と陸の道の三部によって構成されており、この分類に著者独自の『古事記』についての解釈が反映されているように思います。

    著者はこれまでも、「日本海文化圏」という概念にもとづいて、古代の日本における筑紫、出雲、若狭、能登といった土地のつながりを指摘しており、この文化圏の貿易拠点だった出雲と、奈良盆地を拠点とするヤマト王権との複雑な関係が、『古事記』の重層的な「語り」をつくり出したと主張してきました。これは、律令国家体制によって整備された「五畿七道」の行政区分とは異なる文化的交流の枠組みが、古代の日本において存在していたという主張となっています。本書の構成は、こうした著者の考えにそったものになっていると考えることができるように思います。

    もっとも、古代の神話において語られるエピソードと史実との関係はよくわからない部分が多く、つながりの判然としない伝承地の紹介がつづくところもありますが、『古事記』を題材にする以上、しかたのないことなのかもしれません。

  • ふむ

  • 新書文庫

  • 「藤田浄秀他, 古事記に現れた市辺忍歯王の物語:押歯による個人識別の一例」 横濱醫學
     紹介論文(オープンアクセス):http://ci.nii.ac.jp/naid/110004634200
     
     三浦佑之「古事記を旅する」に、袁祁(ヲケ)王が幼い頃殺された父市辺忍歯王の遺体を発見した時に決め手となったのが押歯という特徴的な歯の形だとあり、著者が上記論文を紹介していたので読んでみた。
    「特徴的な歯による発見」の古事記の記述は法歯学にも通じる歯による個人識別の手法だという考察は興味深く、市辺忍歯王はどんな歯だったのか気になっていたので医学的見地からの考察は古事記をより深く知る良い機会となった。
    このように意外な分野との出会いがあるので、やっぱり読書はやめられない!
    (A.N.)  ※地下書庫& CiNiiで読めます! 

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著者プロフィール

千葉大学名誉教授。1946 年、三重県生まれ。『古事記』を中心に古代文学・伝承文学に新たな読解の可能性をさぐり続けている。共立女子短期大学・千葉大学・立正大学等の教員を歴任し、2017年3月定年退職。著書に『浦島太郎の文学史』『神話と歴史叙述』『口語訳古事記』(第1回角川財団学芸賞受賞)『古事記を読みなおす』(第1回古代歴史文化みやざき賞受賞)『古代研究』『風土記の世界』『コジオタ(古事記学者)ノート』など多数。研究を兼ねた趣味は祭祀見学や遺跡めぐり。当社より『NHK「100分de名著」ブックス 古事記』を2014年8月に刊行。

「2022年 『こころをよむ 『古事記』神話から読む古代人の心』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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