株価暴落 (文春文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167728014

感想・レビュー・書評

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  • 巨大スーパー、一風堂で起きた爆破事件をきっかけに一風堂の株価は暴落する。犯人探しのミステリーかと思いきや、企業テロにいたる複雑な背景が描かれた、二重にも三重にもハラハラするストーリー。

    容疑者とされる犬鳴黄や彼を追い落とそうとする友人、ノブオ、さらにはノブオと裏で繋がりのある刑事、滝田の同行にハラハラしながら読み進めると、真の犯人はなんと滝田だった。
    また、犯人探しと並行して、一風堂に巨額融資をしている白水銀行内での追加融資する派としない派の攻防など、シビアな駆け引きも描かれていて、最後にそこに企業テロの動機が潜んでいたことが判明する。
    どの世界でも長年の不満などにより人間性を歪めてしまうことがあり、そこから犯罪が生まれる可能性があるんだということを思い知らされた作品だった。

  • 様々な経営理論を当て嵌めて読むと、更に面白く読める作品。坂東が半沢と酷似しちゃうのは、まぁ致し方なし...。組織の都合による意思決定ではサスティナブルな状況を生み出せないことを実感させてくれる。カイシャの本質を考えるケースメソッド的な一冊。

  • 起=☆3
    承=☆2
    転=☆2
    結=☆4

    途中、もういっちょって感じでしたが、
    最後の終わらせ方で☆4になりました。

    二戸をやっつける箇所をあえて書かないっていう
    終わらせ方が、半沢直樹との違いを明らかにしていて、
    読み終わって楽しかったなって思いました。

  • え~っと。
    金融小説は好きでよく読むのですが。
    これはミステリーな部分も多く含まれているので紹介してみました。
    ミステリーを楽しみつつ、金融の勉強にもなる、
    一度で二度美味しい小説です。
    もちろん、普段から金融小説を読む人も楽しめます。

    正義感あふれる銀行員と銀行内部の腐敗した組織との戦いが、
    融資先のスーパー爆破事件を通じて描かれているのですが。

    これまで自分が読んできた経済小説は、
    スマートな外資系投資銀行のエリートバンカーが、
    地味な日本の銀行員たちから
    あしらうように儲けをさらっていくという話が多かったので、
    一人の日本の銀行員の奮闘を扱った話はとても新鮮でした。
    こーゆう熱い話スキ。

  • 教えてもらった通り、面白かった。

  • 巨大スーパー一風堂。
    しかしかつての勢いはなく、業績は落ち込む一方。
    その一風堂に対し、巨額の支援をした白水銀行。
    はたして一風堂への支援は正しかったのか。
    その支援に対し問題提起する白水銀行の坂東。
    そこで一風堂の爆破事件が起き、一風堂の株価が暴落していく。

    株価暴落というので、証券業界の話かと思ったが、銀行の話。
    組織を牛耳るもの、爆破事件を他人にかぶせようとするもの。
    急展開の話に手に汗握った。
    ただ、最後をもう少し丁寧に描いてほしかった。
    第三の爆破事件はどうやって防ぐことができたのか。
    頭取はどうしてこのような決断をしたのか。
    敵である企画部二戸がどのような結末を迎えるのか。
    これらは描かれることはなかった。
    残念。

  • 池井戸潤の初期の頃の作品(2004年単行本、2007年文庫本)。
    巨大銀行の審査部調査役、板東洋史が主人公。同じ銀行の企画部次長の二戸哲也と業績が悪化している巨大スーパーへの融資の可否を巡って対立する。
    過去にも巨額な融資と債権放棄で支援し、またもや融資支援を主張する二戸。業績悪化が止まらないスーパーの経営陣への不信から融資拒否を主張する板東。
    銀行内の勢力争いに過去にスーパーと争っていた商店の社長の自殺。商店への銀行の融資見送りが原因と思われるが、背景に銀行とスーパーの癒着が取り沙汰される。
    そんな中スーパーの支店で爆破テロが起こり死者も出る。そして次の爆破予告に爆破実施。株価は暴落する。
    犯人の意図は?怨恨による犯罪か?警察の内部でも捜査本部で対立が起こり、二人の刑事が独自に動く。
    そして爆破殺人事件の犯人は意外な方向に行き着く。それでも爆破殺人テロを起こす動機が結末まで明らかにされず、最後の最後で明らかにされると同時に窮地に立たされていた板東の二戸への大逆転を思い起こさせる終わり方が気持ちいい。
    株価暴落と事件の関係にそんなことは法律的に無理だと思うと同時に爆破殺人テロ事件の動機にちょっと無理があると思ってしまう。
    銀行内部の対立と癒着の話は流石だなと思いながら、事件の方はちょっとかなと思ってしまった。それでも池井戸潤の小説はやっぱりいい。

  • スーパーの爆破事件に対する警察側と、株価に関連した銀行側の話が絡み合った展開が面白い。
    どちらにもスリリングな盛り上がりがあり、最後は勧善懲悪な内容でスッキリとした読感。

  • 池井戸さん得意の銀行ものに刑事ものがプラスされた感じで新鮮。スピード感と敵味方がさっきり分かりやすいのは相変わらずで分かりやすい。

  • 事件の深刻さを株価で表現する。こんなやり方があったのかという程斬新な発想だが、元銀行員の池井戸潤ならではの自然なビジネスシーンの描き方がリアリティを掻き立てる。一方で、ミステリーの方はというと、これはこれで楽しい。もちろん、池井戸潤の持ち味でもカタルシス有り。企業経営の勉強にもなります。

著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を、’20年に第2回野間出版文化賞を受賞。主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』『アルルカンと道化師』)、「下町ロケット」シリーズ(『下町ロケット』『ガウディ計画』『ゴースト』『ヤタガラス』)、『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』『民王』『民王 シベリアの陰謀』『不祥事』『花咲舞が黙ってない』『ルーズヴェルト・ゲーム』『シャイロックの子供たち』『ノーサイド・ゲーム』『ハヤブサ消防団』などがある。

「2023年 『新装版 BT’63(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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