株価暴落 (文春文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167728014

作品紹介・あらすじ

巨大スーパー・一風堂を襲った連続爆破事件。企業テロを示唆する犯行声明に株価は暴落、一風堂の巨額支援要請をめぐって、白水銀行審査部の板東は企画部の二戸と対立する。一方、警視庁の野猿刑事にかかったタレコミ電話で犯人と目された男の父は、一風堂の強引な出店で自殺に追いこまれていた。傑作金融エンタテイメント。

感想・レビュー・書評

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  • 巨大スーパー、一風堂で起きた爆破事件をきっかけに一風堂の株価は暴落する。犯人探しのミステリーかと思いきや、企業テロにいたる複雑な背景が描かれた、二重にも三重にもハラハラするストーリー。

    容疑者とされる犬鳴黄や彼を追い落とそうとする友人、ノブオ、さらにはノブオと裏で繋がりのある刑事、滝田の同行にハラハラしながら読み進めると、真の犯人はなんと滝田だった。
    また、犯人探しと並行して、一風堂に巨額融資をしている白水銀行内での追加融資する派としない派の攻防など、シビアな駆け引きも描かれていて、最後にそこに企業テロの動機が潜んでいたことが判明する。
    どの世界でも長年の不満などにより人間性を歪めてしまうことがあり、そこから犯罪が生まれる可能性があるんだということを思い知らされた作品だった。

  • 巨大スーパー・一風堂の爆破テロから、株価の暴落まですべて仕込まれたものだったのには驚いた。

    一風堂に恨みのある犬鳴黄が犯人だと思われたが、まさか警察内から黒がでるとは…。

    銀行員と警察官、どちらが主役だったのだろうか。
    あまり登場人物がパッとしなかったのもあってか、少し物足りなさを感じた。

  • 細かいところはさておき、登場人物の掛け合いで楽しませてくれる、これぞ池井戸エンターテイメント。
    ただ、敵役のインパクトが半沢直樹よりは弱かったかな。犬鳴くんを主役に据えた方が面白かったように思う。

  • 様々な経営理論を当て嵌めて読むと、更に面白く読める作品。坂東が半沢と酷似しちゃうのは、まぁ致し方なし...。組織の都合による意思決定ではサスティナブルな状況を生み出せないことを実感させてくれる。カイシャの本質を考えるケースメソッド的な一冊。

  • 起=☆3
    承=☆2
    転=☆2
    結=☆4

    途中、もういっちょって感じでしたが、
    最後の終わらせ方で☆4になりました。

    二戸をやっつける箇所をあえて書かないっていう
    終わらせ方が、半沢直樹との違いを明らかにしていて、
    読み終わって楽しかったなって思いました。

  • 面白かった!
    ミステリー+いつもの金融小説=金融エンターテイメントの鉄板物語。
    ただ、終盤、あまりにあっさり終わってしまったのが残念。

    ストーリとしては、
    巨大スーパー一風堂に連続爆破事件発生。一風堂と言えばラーメン屋でしょ(笑)!っと思いますが、「どこよりも安い」というメッセージからダイエーをモデルにしている印象です。
    企業テロを示唆する犯行声明で一風堂の株価は暴落。巨額支援要請に白水銀行の審査部の坂東と企画部のニ戸が対立します。
    坂東は、企業再建計画もままならない一風堂にこれ以上支援すべきでない立場。またニ戸としては、一風堂が破綻した場合に生じる損害を考慮して支援すべきという立場。それぞれの立場での対立がいつものパターンです。

    一方で、爆破事件を仕掛けた犯人は誰か?
    その目的は?
    といったミステリーも並行で話が進みます。
    徐々に明らかになる犯人像。
    こいつが真犯人?

    といったところから、最後にあかされる真相。
    しかし、ここの展開がちょっと残念。
    ご都合よすぎる(笑)
    スッキリはするのですが、終わり方に深みがないっていうか...ハードルを上げすぎているのかもしれませんが..

    とはいえ、いつもの鉄板ストーリで、十分楽しめました。
    お勧め!!

  • え~っと。
    金融小説は好きでよく読むのですが。
    これはミステリーな部分も多く含まれているので紹介してみました。
    ミステリーを楽しみつつ、金融の勉強にもなる、
    一度で二度美味しい小説です。
    もちろん、普段から金融小説を読む人も楽しめます。

    正義感あふれる銀行員と銀行内部の腐敗した組織との戦いが、
    融資先のスーパー爆破事件を通じて描かれているのですが。

    これまで自分が読んできた経済小説は、
    スマートな外資系投資銀行のエリートバンカーが、
    地味な日本の銀行員たちから
    あしらうように儲けをさらっていくという話が多かったので、
    一人の日本の銀行員の奮闘を扱った話はとても新鮮でした。
    こーゆう熱い話スキ。

  • 教えてもらった通り、面白かった。

  • この作家さん得意の銀行員が活躍する話。
    刑事まがいのことをやって事件を解決に導いたりする銀行員はすごいと思う一方で、現実離れしている。
    今回は色んな人の苦労話と悪事に染まる部分が多く、暗い話になっている。
    もっと明るいハッピーエンドの作品の方がこの作家さんには合っていると思う。

  • 面白いなぁ、、、

    銀行インサイドから書かせたら、右に出る人居ないな。池井戸さん。

    ストーリーの緻密さ、振り回される登場人物、おぼろげに見えた犯人の完璧な犯行動機、それを利用すべく蠢く、裏切り者とそれを操る黒幕。

    半端ない嵐のような小説。お勧めです。

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著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を、’20年に第2回野間出版文化賞を受賞。主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』『アルルカンと道化師』)、「下町ロケット」シリーズ(『下町ロケット』『ガウディ計画』『ゴースト』『ヤタガラス』)、『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』『民王』『民王 シベリアの陰謀』『不祥事』『花咲舞が黙ってない』『ルーズヴェルト・ゲーム』『シャイロックの子供たち』『ノーサイド・ゲーム』『ハヤブサ消防団』などがある。

「2023年 『新装版 BT’63(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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