- Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167728038
感想・レビュー・書評
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冒頭、題名にあるシャイロックの簡単な説明が書かれている。強欲無慈悲な高利貸しという意味合いで使われることが多い。池井戸潤氏の銀行ものらしい題名だ。
映画の番宣を見て、ついつい手に取った。
昭和時代の銀行の封建的な考え方、顧客視点ではなく自分本位の考え方に対するアンチテーゼを通じて、人生のあり方を示している。
舞台は東京第一銀行長原支店、古川副支店長の小山行員への暴力事件から始まる。傷心家族は自分の出世をあからさまに目指す集団の中で朱に染まる人の心が面白かった。
最も興味深かったのは、みにくいアヒルの子で、帯封がバッグに入っていたことから、経済的に苦労してきた北川愛理が100万円の盗難を疑われる、真犯人は誰だ?ミステリーの要素が多少でもあると楽しめる。この後の人体模型の章でピースが埋まりはじめ、キンセラで明らかになる。失踪したのは誰か?本当に失踪か?その動機は・・・。
結局、悲劇的な出来事の積み重ねが描かれているに過ぎず、銀行業務の説明のように感じた。ストーリー性やミステリー度もあまり感じられない。
池井戸潤氏の作品としては物足りなさを感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
池井戸作品はそんなに読んでないでがこの作品はミステリーでした。銀行に勤める様々な人の話しが各話ごとにでてきます。
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初池井戸潤作品
連作と気付かずに読み進めて途中で気づく笑
パワハラ描写がけっこうキツいので時代を感じる
銀行員ヤバい人ばっかりの中で女性は悪し様に書かれてはいないけど、それだけ扱いが軽いんだろうなと読めてしまった
最後はなるほどね、とニヤリ
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池井戸潤ということで、少し期待しすぎたかもしれない。短編が少しだけ重なる進み方だけれど、どれも少ししんどい話かな。
求めたものと違ったという点で評価は低め。 -
映画化されるらしいので読了。
ん〜誰が犯人か分からない疑わしい人が何人か出てきて誰でしょう!?みたいな構成はやり尽くされてるが面白そうだとは思った。
しかし、登場人物が多く誰が誰か分からなくなってきて、これは前に出てきた人?初登場?何の人やったかな??ってなる。個人のカラーが薄くというかエピソードが銀行の中なので限られていてちょっと分かりづらかった。俺がアホだからなのか。
終わり方もモヤっとする。きっと映画は違うんだろうなぁ。 -
池井戸潤 2008年作品
池井戸作品ではおなじみの東京第一銀行 その長原支店で働く行員たちの私生活と仕事ぶり そして日々起こる「縦割り出世社会」のひずみ。
様々な登場人物の行き場のない怒りや焦り、あきらめが、社会に出て1度はもまれた経験のある人には 心にザラつく共感をさせる。
個々の行員の話し・・・と思いきや 銀行でのある事件が 大きなミステリー事件へといざなっていく。
行員それぞれの話が けっこう重く 読んでいて苦しくなる。
すべてが「スカッと倍返しだ!」といかないこの作品は
作者が銀行員として働いた「理不尽と思う出来事」の経験談がベースかもしれない。
こたえのでない 読み終わった後の モヤモヤはどうしたらいいのだろう。
この作品2023年2月に映画になるそうだが「映画ならでは・・・ということでスカッと解決する終わり方をしてほしい」と願う。 -
池井戸潤とは思えぬ、不完全燃焼で終了。銀行の嫌な感じのみ描かれた作品。
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初池井戸潤。
連作短編になっていて、短編のようだけど読んでいくとそれぞれの短編が絡み合っている内容。
最後は少しもやっとする終わり方だけど、面白かったです。 -
読み始めと読後の気持ちがかなり違う一冊
短編集の形態をとっていて、各章で東京第一銀行に働く一人一人を紹介しているような内容だ
そこには銀行という特殊な世界を描写しつつ皆、挫折や闇を抱えている印象で描かれている季節は夏でありながら重く暗く単調である
その空気感がガラッと変わるのが169ページあたりからなのだが、ある日銀行内で紛失した百万円を巡る推理小説に変わり、これまでバックボーンを説明してきた人物達が怪しく鈍く光り始める印象
ラストも解決してスッキリ!ではなく如何ともしがたい気持ちが残る
半沢直樹のようなスッキリ感を求めて今作を読むことはお勧めしない