カラフル (文春文庫)

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著者 : 森絵都
  • 文藝春秋 (2007年9月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167741013

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カラフル (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • あなたは決して一人じゃない―。
    この小説が云いたいのは、それだけ。
    そのことを伝えるためには、どういう物語をこしらえればいいのだろう。
    作家は考えます。
    何千何万…いや、そんなものではきかないくらい無数の選択肢の中から、たとえていえば海の砂粒の中から正しい砂粒を一粒摘み上げるようなものです。
    森絵都さんは、この作品で見事にそれをやってのけたのだと思います。
    正直に云うと、冒頭から天使が出てくる設定には戸惑いました。
    どちらかというと、苦手なタイプの小説です。
    ただ、29ページくらい読んだところで慣れました。
    126ページくらい読んだころには、すっかり夢中になりました。
    189ページ目で、もう止まらなくなりました。
    続きが気になって、結局、徹夜で読みました。
    自殺した主人公の真と、真に気を使う家族、それに癖のあるクラスメートたちによって織り成す物語は、初めはどちらかと云うと暗い色彩です。
    ただ、読めば読むほど、書名の通り、色合いが鮮やかになって来ます。
    その手並みが、実に見事というほかありません。
    あなたは決して一人じゃない―。
    こうして書くと、手垢がべったべたに付いていて実に陳腐です。
    日めくりカレンダーにでも書いてありそうです。
    SNSでもたびたび見かけ、そのたびに何というか、げんなりと脱力します。
    ああ、そうですね、そうですね、はいはい、おっしゃる通り。
    てなもんです。
    でも、本作を読んだ私は、声を大にして云いたい。
    あなたは決して一人じゃない―と。

  • ⚪︎リズム、テンポが良く非常に読むやすい。ページ数も多くなく、集中して読めば数時間で読破出来るだろう。軽いどんでん返しもある。

    ⚪︎天使が出過ぎず、主人公を助けすぎないのがいい。あくまでガイド役として見守るだけ。これにより基本的には主人公が1人で苦難を乗り越えていくことになる。

    ⚪︎会話の間を作るのがうまい。文章なのに会話の時のリズムがよく見える。例えば真と父の釣りのシーンで弁当食べながら話す時、2人の会話の間に もぐもぐ などの擬音が入っている。これにより2人の微妙な距離感が伝わってくる。

    ⚪︎登場人物全員に光と闇の部分があるのが面白い。一概に良い人、悪い人と呼べる人が1人も登場しない。人は誰しも明るい部分と暗い部分を持っていて、それはまた見方によっても良し悪しが変わる、そんなことを思わせてくれる。

    ⚪︎生きる希望を与えてくれる後味のいい話だった。終盤のぷらぷらのセリフの、人生を長いホームステイだと思えば気が楽になる、みたいな台詞にはすごく心に響いた。自分もそう思えば真のように大胆に、そして心の思うままに自由に生きられると思った。

  • 今一番問題になっている事柄を捉えた作品だと思います。生きることに辛さを感じている人、『死』を描いたことがある人、読んでみてください。きっとあなたにも未来があります。『死』だけが手段じゃない。そう教えてくれる作品でした。若い人にはもちろん、たくさんの人に読んでほしいです。どうかたくさんの人がこの本に出会えますように。

  • アイデンティティを確立することが発達の観点からは求められるが、この小説はそのことに疑問を投げかける。


    私たちは「自分自身はこういう人間だ」と自分を過度に規定してしまい、それゆえに、その中で苦しんでいることがあるのではないだろうか。
    同時に、他人に対しても「こういう人」とイメージを持っているがために誤解をしていることもあるのではないだろうか。

    人は皆、自分の中にいろいろな「色(=自分の一側面)」を持っていて、それをTPOや相手に応じて変えている。
    そういう意味では「本当の自分の色(=確固たるアイデンティティ)」などないのかもしれない。
    そうであるなら、自分がなれる色を増やしていくことが生きるということなのかもしれない。

    自殺は取り返しがつかないということを押し付けがましくなく描いている点も好評価。

  • 「この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷ってる。」


    わたしは少し前から、具体的には大学院に入学した頃から
    接する人によって態度を変える自分が不思議で気持ち悪かった。
    本当の自分がわからなくなって、苦しかった。

    そんなわたしの背中を押してくれるようなお話でした。
    人間は矛盾を抱えながら、いつも迷いながら、それでも生きていく。


    いちばん印象に残っているのは最後の方のひろかのことば。

    「三日にいちどはエッチしたいけど、一週間にいちどは尼寺に入りたくなるの。十日にいちどは新しい服を買って、二十日にいちどはアクセサリーもほしい。牛肉は毎日食べたいし、ほんとは長生きしたいけど、一日おきに死にたくなるの。ひろか、ほんとにへんじゃない?」

    中学生がこんなこと言うのは驚愕だけど。
    23歳のわたしは、こうゆう矛盾には納得。

  • 児童文学作家という肩書きから"子供向けなのかな?"と思いつつ、読んでみたら、涙腺がゆるみそうになった。

    「あばよ、しぶとく生きろ」

    ベタで普段は口に出すのも少し恥ずかしい、こんな言葉をすんなり受け入れることが出来たのは、ひとえにこの小説の素晴らしさからくるものです。

  • ある魂が天使の導きにより、自殺した中学三年生の肉体に宿り人生をやり直す。

    自分を客観視する重要性
    自分の殻に閉じこまない勇気
    周りのことを思いやる優しさ
    などを教えてくれる

  • 生きていくうえでこの世にたった一つしかない命。
    そのたった一つしかない命を失ってしまったら...
    決して取り戻すことなどできません。

    命を絶つことを考えるほど追い詰められた人が、その命を絶ってしまう前に
    自分で自分自身を見つめなおして、身近にあっても気づかなかった大切なものを知り
    生き続けていくということには意味あることと気づくことができたなら...

    人生にはいろんな色がある。
    その色は時の流れとともに違った色に変っていく。
    たとえ今は暗い色だとしても長く生きていればカラフルに...

    どれだけの人にできるだろうかわからないけれど
    少しでも多くの人の心に届いてくれたら嬉しい。
    命を絶つ前に。今を生きるすべての人に。

  • 自分の環境をホームステイだと思う考え方というのは、大袈裟ですが生きるヒントになったような気がします。

  • カラフル大好きです。最後のシーン好きですし、真のセリフも印象的です。

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カラフル (文春文庫)の作品紹介

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。不朽の名作ついに登場。

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