- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167743024
感想・レビュー・書評
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森博嗣さん
好きな作品の一つ。
食事のマナーって大事。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『説明的な情報によって、その人間の味わいが変わるだろうか。それが、人の本当の価値だろうか。そういった情報に、普段どれだけ私たちは惑わされているのだろう。』
別冊文藝春秋で短期連載されていたショートストーリーを集めた短編集なのだが、全体としても起承転結がしっかりとしていて(はっきりとではない)、非常に完成度が高い。
扱っているテーマは、いわゆるコミュニケーション。細部と大枠という二つの観点から、コミュニケーションの持つ二つの属性を表現し、森氏お得意の孤独と自由の極値点に繋げている。著者の主張自体も然ることながら、それを小説として表現する態様が、とにかく自分の好みに合致した。細部に関しては、溜め息が出るほど美麗であり、大枠に関しては、しゃっくりが止まるほど大胆。当該論点における平均的な着地点からすれば、風刺の部類に入るはずなのに、レジスタント臭がしない。かといって、隠喩的でも厭世的でもない。まさに絶妙。
もう、脳みそがツルツルなくせに、オウムの如く「大事なのはコミュ力だ」とか連呼しているような輩は、この本を読んでから野に帰って頂きたい。 -
最後の数ページはゾッとしながら読みました。
色々考える余地があって、凄く面白かったです。 -
実に面白かった!
ミステリー作家森博嗣による、不思議な小説。
ある大学教授が、友人で行方不明になった同僚に聞いたレストランに行ってみる。そこは名もない店で、毎回違う女性が話し相手として食事に参加するのだが…。
一人称で語られる情景描写や内面描写がきわめて巧みであり、主人公が悶々と考えていることに妙に共感できた。「食べる」という生理的行動についての考察や、孤独についてなど、唸らせるものがある。
ミステリーだと思わず油断して読みすすめたら、違和感はあったものの、まんまとやられた。ビックリして、読み直してしまった。凄い作家だ。 -
2015 4/6
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2回目。相手を知る上で情報って対して必要ないのかもしれない。相手の雰囲気や動作を見ていればその人がどんな人なのかわかるものなのかも。食事ってその人が1番出るところだからとても大事なんだな。
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何もかも理屈っぽく、理論的で孤独を求める大学教授の主人公が、不思議な店でただ女とご飯を食べるだけの話。
最後にえっ!てなった。文句なし。私が好きなかんじの文章。わかりやすく、感心させられる表現、ストーリーの所々に人間とは…みたいな主人公の考えが入ってて面白かった。悶々と繰り返される思考は哲学的で読んでいて感心した。
行方不明の後輩、孤独、綺麗な食べ方、和服姿の女将、特徴のない女。 -
ゆるゆると、孤独から消滅へ。最終章では、ぞわりとしたデジャヴが待ち受けています。