北緯四十三度の神話 (文春文庫 あ 54-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167753207

感想・レビュー・書評

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  • 姉は姉なりに、妹は妹なりに、嫉妬や羨望を抱え、仮面のような人生を送っている。
    一人の男性が、もしかしたらそんな二人の歪んだ関係を元に戻してくれたかもしれないのは、昔の話。
    彼はもう、この世にいることすら許されていないのだから・・・

    喪失と、苦悩と、再起の物語(端折り気味)です。

    展開早いです。

  • 未読のまま売却

  • すれ違う姉妹がゆっくりと関係を修復していく物語。
    「相手を理解する」というよりも、「相手を鏡として自分を理解し受け入れる」過程がメインなのが興味深く、同世代の女性として共感できる部分も大きかったです。

    浅倉さんの文章はいつも繊細で優しく、すっと心にしみこみます。この作品では人に対して羨ましさや憎らしさを感じてしまうその気持ちが綺麗に言葉にあらわされていて、大人になる前に抱えてきた表現できなかった気持ちが今更ながら理解できた気がしました。

    北海道出身の自分には、ひとつひとつ丁寧な雪の描写にも魅力を感じました。
    (浅倉さんは札幌出身と聞いて納得でした)

  • 年子の姉妹のお話
    姉28歳大学の助手として研究に忙しく
    妹はラジオアナウンサーで週一深夜放送を受け持つ
    二人の思いが徐々に語られ
    人ってやっぱ大変だなと思いました
    しかもそれが姉妹ということでなおさら

    これは二人のその後も見てみたいなと
    特にお姉さんのほう

  • 心温まる物語
    姉妹の心のすれ違いと修復の物語

    ストーリとしては、
    姉菜穂子28歳の大学助手と妹和貴子27歳のラジオ局アナウンサー。
    二人は、幼いころ両親を事故で無くし、祖父母に育てられます。
    そして、ある男性の事故死を機に二人の距離が離れていくことに。
    お互いの心の中にあったもの。
    そして伝えられない思い。
    すれ違いな想い。
    姉は淡々と学問に打ち込み、妹は自分の番組ではじけるといった展開。
    二人の距離はどうなる?
    一番近い存在で、遠い気持ち..
    といった展開なわけですが、当然最後は...
    清冽な感動を呼ぶラストとコメントされていますが、まさにその通りでした。

    妹和貴子がラジオで話す本音・コメントがしみる。
    そして、それが伏線になっているのが素晴らしい。

    読後感もよいです。

    お勧め

  • これ読む人は『北緯43度 日本』と検索しますよね?

    浅倉卓弥さんの作品は毎回プロットがせつない。

    今回も学者の姉とDJの妹で両親は早くに死に別れているというだけで、もうせつない。


    姉と妹の間にある蟠りの話です。

    人間関係に疲れている人にオススメです。
    そして、読む季節は今が良いんじゃないかなぁと思います。

  • 年子の姉妹、姉、菜穂子と妹、和貴子は中学生の時に両親を事故で亡くし、祖父母の家で生活していた。高校、大学は別々の道に進み、菜穂子は大学院に進み、そのまま大学の研究室に残り、助手として研究活動を行っている。和貴子は東京の大学に進むが、地元のラジオ局の深夜番組パーソナリティーとして活躍する。
    妹の婚約者だった樫村は、菜穂子の同級生で、一時は菜穂子に思いを寄せるが菜穂子は気持ちに応えることができず断ってしまう。和貴子と同じ大学で交際を進めているが、大学卒業後航空大学に進む道を選ぶ。しかし、グライダーの事故で亡くなってしまう。
    底ころから姉妹の間に見えない壁ができてしまい、お互いを理解できずに悩んでいく。
    ラストは感動的なストーリーとなっている。
    途中、和貴子の中学からの親友である沢村奈津子が娘、雪子を連れ、自宅を訪れるシーンがある。前作、「冬の夜話」に登場する人物であるが、ストーリーにほとんど絡んでこないのが残念だった。

  • 姉妹の複雑な思いを描いた作品。

    「体が生きているということと心が生きているということは実はまるで別々のことなのよ。同じ未知をたどって理解できることでは決してないの。肉体は仕組まれた命令にしたがって活動しているのかもしれない。けれど心は違う。それは全然別の理論の、全然別の体系
    の中で捉えて初めて理解できることなのよ」

  • 2人の姉妹の心のすれ違いと交流を描いた作品。
    少しミステリーっぽいところがあるのが独特で面白かった(別に殺人事件が起こるわけではないw)。

    2人の心の交流、と言うか、主に姉の気持ちの整理がポイントだと思うけど、わかるようなわからないような、、、俺が男だからかもしれないけど(ただ、著者は男性)。あるかもなぁ、と言う気はする。

    この方の作品を読むのは2作目だけど、文体が好きな人。優しい感じがとてもする。それは甘さ、かもだけど、そう言うのもあっていい、と思う。

  • 大切な人を失ったことで、姉妹がすれ違ったり絆を深めたりするお話。
    わたしも妹と語り合いたくなりました。…と言っても、いつもしているのですが(笑)仲良いことは幸せなことだと、改めて実感。

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著者プロフィール

作家・翻訳家。東京大学文学部卒。レコード会社洋楽部ディレクター等を経て作家に。
著書に『四日間の奇蹟』、『君の名残を』(以上宝島社)、『黄蝶舞う』(PHP研究所)ほか、訳書に『安アパートのディスコクイーン─トレイシー・ソーン自伝』、『フェイス・イット─デボラ・ハリー自伝』(以上ele-king books)、マット・ヘイグ『ミッドナイト・ライブラリー』(ハーパーコリンズ・ジャパン)、テイラー・ジェンキンス・リード『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』(左右社)など多数。

「2022年 『ボクのクソリプ奮闘記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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