凸凹デイズ (文春文庫 や 42-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167753450

感想・レビュー・書評

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  • ちっぽけなデザイン事務所・凹組を舞台としたお仕事系、青春系のお話。テンポ良く、読みやすかったが、ラストが唐突。えっ、これで終わりなの的でした。磐井田さんと翔子さん、このまま終わり?

  • お仕事小説は良いよね〜。こう頑張ってる人達を見ると応援したくなる。
    反面、今自分は何してんだろ…とも思う。

    凹組というデザイン会社?の物語。

    理想を追ったり、生活のためにやりたく無い事もやったり、仕事ってのは本当に複雑だ。

    多分このままじゃいけなくても、そのままでいてしまう。何か抜け出すきっかけがあると物語は動き出す。新たな物語に入っても、色んな違和感を感じつつ、その物語に慣れなければいけない。
    前の物語の方がよかったように思っても、そうなると何かを捨てなければいけない。

    凸凹生きる人生だから楽しいのかな。

  • よくあるお仕事小説かと思って読み始めた。結構、引き込まれるようなリズムと面白さ。あちこちでとっ散らかったエピソードを投げ捨てて疾走する軽い感じが、かえって良いみたいだ。
    デザイン屋の夜昼無い生活が、まあ、そんなものだろうなんだろうな、とよく分かる。

  • 九品仏のアパートの1室で、たった3人でやっているデザイン事務所凹組(会社名)。遊園地の広告デザインのコンペで勝ち残ったものの、条件は凹組とは腐れ縁の醐宮を擁する別の事務所との共同制作であった…。

    本当にデザイン会社のお仕事小説といった感じ。ご都合主義で現実離れしているというと、ご近所の知り合いばかりで仕事が回っていることくらい。デザイン業界の内情は知らないけれども、多分そういう感じなんだろうなーと思わせるリアリティがあるのも魅力である。

    また、この作品の魅力は、極限まで絞り込んで、余計なところまで強烈にキャラクター付けをした登場人物たちであろう。この本を渡して「これで漫画を書いてみな」と言われたら、余計な設定など考えなくても、一読で書けてしまうのではないか。

    この手のお仕事小説の定番パターンである、新入社員の視点で物事を書くというのは、我々素人目に見たときに、余計な説明が無理なく行えるという点では優れているのだろう。しかし、だいたいパターンは決まってきて、その新入社員が、自分の意図しないところから才能を発揮して活躍するという点にある。

    本作もその新入社員パターンの例に漏れずであるが、大活躍前夜祭程度に抑えているのは良かったのか悪かったのか。

    また、おまけ小説(はやってんの?)で、出入りのクライアント社員視点でゴニョゴニョやっているのは、作品を分けず、事情も聞き出す形でできなかったかなあ。日常系の作品に多いけど、全体に作品の印象を悪くする方向にしか作用しないんだけど。

    余談。
    本当にキャラクターが強すぎて、5人が実在の俳優で脳内再生されてしまうので、本当に困った。例えばウラハラナミは高畑充希なんだなあ。

  • わざわざ別の図書館からお取り寄せを頼んだことを後悔させないくらいに
    面白かった本。
    一見すると取っ付きにくそうな登場人物たちが
    みんなみんみそれぞれに魅力的な味があって愛すべき要素を備えている。
    テンポよく飽きさせない展開も良かった。
    ちくわぶであったりエアホッケーのくだりなど
    ツボにはまるところが満載。

    最後はアヒルバスに繋がるというのも
    なかなかの見せ所。

  • 初めはどの主人公もあまり好きじゃないなと言うのが正直な感想だったが、読みおわった時には全員が良いキャラだなと思いました。

    個人的にはゴミヤさんがとても好きでした
    いつもは女社長として、テキパキと仕事をこなしているのに、凪海と飲みに行くときは普通の女の子で、そういうところに惹かれました。

    クスッと笑えるところが多くて、
    心がほっこりする作品でした

  • 『笑う招き猫』に続けて再読。これも5年ぶり。
    お仕事小説の山本幸久の面目躍如といった作品です。
    前回も書いているようにキャラが良くて一気に読ませます。軽くて痛快。とにかく登場人物の一生懸命な姿が気持ち良い。風邪でちょっと調子が悪いベッドの中で読むのにはもってこいといった作品でした。
    主人公の凪海ちゃんは阿佐ヶ谷のアパートに住むイラストレーターという設定。実は結婚前の娘と同じでした。もっとも娘が阿佐ヶ谷に移り住んだのは、前回この作品を読んだ後だったので、初読の時には気付くはずもなく。娘の所に行った時に立ち寄った西友なんかも出て来て、今回はさらに親近感が湧きました。

    ===================
    09-025  2009/03/12  ☆☆☆☆

    極端なキャラを立てて、物語の進行はキャラ任せと言った雰囲気の作品を最近良く見かけます。連載マンガの影響(というか手法)を受けてるのでしょう。ただ読んでいるときは面白くても、後に残らない作品が多いように思います。
    この作品も、主人公の4人がそれぞれに強烈なキャラを持っています。でもキャラで話ができて言った感じはなく、その逆に物語の為にキャラが作られているように感じます。
    裏表紙のあらすじを見たときは「オロロ畑・・」のノリかと思ったのですが、もう少し大人しくて、なかなか爽やかで気持ちの良いお話でした。
    なんか好きだな、こういうの。

  • 「カイシャデイズ」や「ある日、アヒルバス」を読んでからのこれ。相変わらずおもしろかった。

    現在の凪海視点と過去の大滝視点を交互に描いていく展開。

    個人的には最後の磐井田の真剣な姿にぐっと来た。口調もタメ口、いつもある笑顔も消え、10年付き合ってきたからこそのあの姿だったのかなと思う。

    そして凪海と醐宮の関係が、仕事を超えた友情に近いものという感じもなんだか嬉しかった。

    あと描き下ろしのお話にはちらりと「あのバス会社」の話が出てきてニヤッとした。そういうのも私としては嬉しかったりする。

  • 一気にぶっぱなして読んだほうがいい。

    主人公は純粋で一生懸命でまっすぐで、ってタイプ。
    いやみもなくすっと入りこめる。

    とにかくかっこよかったのは
    自分の仕事に誇りをもってること。
    決められた約束までにクライアントの意向に沿ったものを提出すること。
    この人だったら間違いないって思える作り手がいること。
    自分だったらこれは人にはまけないと思うことがあること。
    なりたい。

  • 主人公以外のキャラがしっかりと立っており、テンポよく物語が進むため、飽きがこない。

    ラストの尻切れ感が強いのが残念。

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著者プロフィール

山本幸久
一九六六年、東京都生まれ。中央大学文学部卒業。編集プロダクション勤務などを経て、二〇〇三年『笑う招き猫』で第十六回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。ユーモア溢れる筆致と、魅力的な登場人物が読者の共感を呼び、幅広い世代から支持されている。主な著作に『ある日、アヒルバス』『店長がいっぱい』『大江戸あにまる』『花屋さんが言うことには』『人形姫』などがある。

「2023年 『あたしとママのファイトな日常』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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