東京大学のアルバート・アイラー 東大ジャズ講義録・歴史編 (文春文庫 き 30-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167753535

作品紹介・あらすじ

今あるべき「ジャズの歴史」とは?そもそも「ジャズ」って何なのか?音楽家/文筆家・菊地成孔と気鋭の批評家・大谷能生が、スウィング・ジャズの時代から現在までの百年を語り倒す。三百人もの受講者を熱狂させ、刊行されるや音楽好きと本好きを沸かせたスリリングでポップな講義録、待望の文庫化!文庫版あとがき対談も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 軽妙な語り口でのモダンジャズ講義

  • 面白い、で終わるのは本意ではない、と後書き対談にあったけど、やっぱり面白過ぎる。後期も読んでみよう

  • 門外漢が音源も聴かずに読んでも楽しめたのは、大谷氏による講義の再構築の賜物らしいです。オーネットコールマンのぶっ飛びぶりにそそられる。

  • 二〇〇四年四月一五日講義初日 十二音平均律→バークリー・メソッド→MIDIを経由する近・現代商業音楽史
    二〇〇四年四月二二日講義第二回 ジャズにおいてモダンとは何か?―ビバップとプレ・モダン・ジャズ
    二〇〇四年五月六日講義第三回 モダンとプレ・モダン―五〇年代に始まるジャズの歴史化・理論化と、それによって切断された事柄について
    二〇〇四年五月二〇日講義第四回 一九五〇年代のアメリカと、ジャズ・モダニズムの結晶化
    二〇〇四年五月二七日講義第五回 一九五九~一九六二年におけるジャズの変化(1)
    二〇〇四年六月三日講義第六回 一九五九~一九六二年におけるジャズの変化(2)
    二〇〇四年六月一〇日講義第七回 フリー・ジャズとは何からのフリーだったのか?
    二〇〇四年六月二四日講義第八回 一九六五~一九七五年のマイルズ・デイヴィス(1)コーダル・モーダルとフアンク
    二〇〇四年七月一日講義第九回 一九六五~一九七五年のマイルス・デイヴィス(2)電化と磁化
    二〇〇四年七月八日講義第十回 MIDIとモダニズムの終焉〔ほか〕

    著者:菊地成孔(1963-、銚子市、ジャズミュージシャン)、大谷能生(1972-、八戸市、評論家)

  •  こんなおもろい授業を東大でやってたのか、とまず感動。もぐりが本校生なみにいたというのもうなずけるかも。ジャズの歴史は全然知らなかったので、良いガイドとなった。授業でかけた各種アルバムが紹介されているので、少しずつ聴き始めた。クラシックと違い、癖が半端ではない。が、耳に慣れてくると何か妙なそわそわ感が出てくる。これが楽しい。
     キーワード編も読みたい。

  • 音楽の教養などない私だけど、ものすごく楽しんで読めた。
    この人のペテン師的な喋りはたいそう面白い。
    ラジオに比べるとずいぶんまじめ。
    理論と逸脱・解体の繰り返しが、文学だけでなく音楽においても行われていたという軌条を、はっきりと示してくれる本。
    ジャズという狭い世界の解説ではなく、アメリカのポップカルチャー全体の中で、どういう成長をしてきたかを教えてくれる。

  • 語り口調で書かれていて、比較的読みやすかった。ただ、東大生向けの授業のためか、少し専門的な言葉(音楽的なものでない。「○○イズム」のようなワード)がちらほら。音楽的知識はあればいいくらいだが、本を読みなれている必要があるかも。

    個人的にはジャズはどう聴いたらいいかわからない音楽だった。オシャレでクールなイメージはもちろんだが、元々黒人の音楽ということも知っていて激しい、アツい音楽であると言うのも知っている。
    ただ、どういう演奏が「クール」なのか、「アツい」のかがあまりはっきりしないで聴いていた。雰囲気としてはわかるが、それまで。なんとなくクールでかっこいい。なんとなくアツくてかっこいい。みたいな。

    この本を読んで得られたものはジャズを聴く視点だと思う。
    この本に書いてある音源を借りてきたりして聴く。んで聴いた後にこの本を読み進めると、「なるほどこの曲はそういう風にも聴けるんだな」となる。(もちろんわからないところもある。Giant Stepsのピアニストがつまづく下りは何回聴いても、うまく弾けてるように聞こえる。まだまだ聞き込みが足りない?)

    ただ、ちゃんと自分の頭で理解・整理できている感じはしない。
    アフターワーズで述べられていることでもあるが、話が面白くて理解した気になっている部分が確かにある。
    また、いちいち音源探して、聴いて、本開いてっていうのがぶっちゃけ手間だった。個人的には映像にしてほしいなあ…なんて。

    面白かったのでこのままキーワード編も買って読んでみようかと思います。

  •  今から11年前、2004年に東大で行われたジャズ講義の内容について、本にしたもの。
     「歴史編」という名の通り、ジャズの歴史を、代表作の紹介とともに辿ることができるので、ジャズを聴き始めるにあたり、誰の作品から聞けばよいか、どの曲から聞けばよいか、という点を解決してくれる側面も持っている。読み方次第で、ジャズ初心者からマニアまで、それぞれのジャズに関する知識のレベルに応じた発見が得られるのではないだろうか。
     まず主役が作曲家から演奏者になるところからスタートし(現代のホップスにも通じますね)、チャーリーパーカーの登場から、「ビバップ」から「モダン・ジャズ」への呼び名の変化(白人から認知される)、そこから「モード」への変化、さらにアートとしてのポップ・ミュージック化(戦後の音楽シーンにおいて、あくまでアートであるか、それとも商業的になるかというのは、常に避けて通れない命題であろう)、マイルス・デイヴィスと、時に専門的な音楽用語も交えつつ進んでいく。そして「電化」、「磁化」、「MIDI」の登場で現代の音楽シーンに結びつく。
     音楽の「電化」「磁化」により、音を人工的に作ることは勿論、演奏を加工することも当たり前になり、もはや演奏者のレベルに関係なく、「売れる音」「売れる音楽」を作ることが可能になった。その流れは現在まで続いているといえるだろう。
     専門的な用語はわからない部分もあるが、この本を頼りに、時代順にジャズの代表曲を聴いていきたい。
     

  • 再読。ビバップ (bebop)をジャズにおけるモダニズム運動として捉え、西洋音楽史における音楽を記号的に処理しようとする系譜の中でジャズはどのように「通史」として解釈できるか、というのが本書の狙いであり、それはジャズの全盛期をその時代のアメリカの空気と重ね合わせることで見事に成功している。それも、わかりやすすぎるほどに。後書きで二人が懸念している通り、本作は決してジャズを聴くための解答ではない。音楽の楽しみ、それはわかることとわからないことの反復運動の中から生まれてくる。大切なのは考えながら感じることだ。

  • youtubeを横目に読んだ。楽理理論の話とか、コード進行の話とかは全くわからんかったけど、ジャズ(偽)史を記号論(?)的に3つの段階(十二音平均律→バークリーメソッド→MIDI)に分けて行くのはとても面白かった。
    っというか、そもそもモダン・ジャズであるとかビパップ等々が具体的にどういう音楽なのかというのが、ほんの少しわかったようなわからんような・・・。
    ともかく、マイルズ・デイヴィスとアルバート・アイラーは圧倒的にカッコいいことは記憶のなかに刻印された。

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著者プロフィール

ジャズ・ミュージシャン/文筆業。

「2016年 『ロバート・グラスパーをきっかけに考える、“今ジャズ”の構造分析と批評(への批評)とディスクガイド(仮』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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