あめふらし (文春文庫 な 44-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167753719

感想・レビュー・書評

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  • 再読でも世界を掴むのが難しかったです。でも決して嫌いではない世界。気を抜いたら魂を取られてしまいそうで生き抜くのが過酷そうだけれど。。
    市村くんはあんなに訳わかってなくても生きていられるのが不思議…と思ったら亡くなってるっぽい。誰が生者で誰が死者なのか…揺蕩うお話でした。

  • 複雑…!もう二、三回じっくり読み返してみます

  • 著者の「よろづ春夏冬中」『雨師』の市村兄弟、橘河が作品の中心として登場する。
    「よろず〜」を読んだ時には、こんな作品につながっているとは思わず、「あめふらし」では不思議な世界がさらに広がり、幽玄な雰囲気を楽しめた。
    ウヅマキ商會という不思議ななんでも屋を舞台に一癖も二癖もある社長の橘河・部下の仲村に翻弄される市村。
    物語は不可思議で、彼岸と此岸とその狭間を、行きつ戻りつするような感覚を覚える。
    鮮明な映像を見ているつもりが、いつのまにか8ミリビデオの映像に変わっていて、不鮮明で不確かな世界になっており、足元をすくわれる。
    読者はその都度、トラブルに巻き込まれる市村の困惑を疑似体験する。
    この不思議な世界観は著者の醍醐味だなぁと感じさせられる作品。
    各章において、どことなく湿度を感じる話で、「あめふらし」という表題は納得。

  • 長野先生らしさのある、すごく不思議な世界観のお話でした。明確に書かれていないからこその想像ができました。

  • BL設定だけど、要素はない

    怪しげな何でも屋でアルバイトしている市村は、社長からお前のタマシイを捕まえてると脅され(?)、現実か幻か分からないアブナイ仕事を押し付けられて…。

  • 成行き上、うずまき商會という怪しげな会社で働くことになった市村。社長の橘河はどうにも信用がならない雰囲気で、同僚の仲村には嫌われているように思う。本来ならとっととやめてしまいたいところなのだけれど、止むにやまれぬ事情でそうも出来ない。
    仕事に出かけるたびに不思議な空間に入り込む市村だが、本人だけがそのことに気付いていない。

  • 数年ぶりの再読。タマシイをつかまえる"あめふらし"橘河。義理の息子の身体に移り棲んだ仲村。橘河にタマシイを拾われた市村。ナカヂマ商會で繰り広げられる不思議なタマシイにまつわる色々。読んでも謎が明らかになるわけではなく。義理の息子のタマシイはどこへ行ったのか、峠は何者なのか、彼が生み出したタマシイ(岬)とは?謎な部分を想像するのも楽しい。
    よくわからなくても、文章が素晴らしいので、深く考えずにこの妖しく美しい世界に揺蕩うだけでも心地よい。

  • 最初から最後までもろBLだった。知らずに読んだので驚いた。BLはあまり得意ではないけど、面白かった。
    わかったようなわからないような、文体も含め、夢うつつのまま流れるような。もっと知りたいなぁ、この世界観、と思っているうちに終わってしまったが、消化不良ではなく、勿体ないから、わからないまま取っておこうと思えた。

  • 直截的でなくても伝わってくる感じとか、答え合わせのようなはっきりした説明がないのも癖になる。

  • 長野さん独特の耽美で瀟洒な不思議の世界の中でも特につかみ所がないというか、深く考えず、この雰囲気の中に漂えば良いのだろうね。ストーリーの中で唐突に出てきた“鷹司”という覚えの無い名前に戸惑いましたけど、仲村の身体の元の魂の人(橘河の義理の息子)?という事でしょうか?まるでいつ終わるか分からない長雨の中に佇むようなお話でした。

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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