Run!Run!Run! (文春文庫 か 43-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167771010

感想・レビュー・書評

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  • 長距離ランナーとしての才能に溢れる岡崎優は、科学的根拠に基づいた指導法と設備の整った大学を進学先に選ぶ。彼は起床時のバイタルデータから練習の記録まで、10年間にわたって記録を続けている。生活のすべてをオリンピックのマラソンで金メダルをとるという自分の夢をかなえるために費やし、努力を重ねてきた。

    会社経営者の父親。兄を溺愛する母親。優秀な医大生の兄。
    経済的にも恵まれ、何不自由なく暮らしていたが、兄の死をきっかけに家族はあっけなく壊れていく。

    優が入学した大学の陸上部で彼と対極にいる岩本に出会う。
    地方の高校でそこそこの記録を出したが、優から見れば才能もなく記録も頭打ちで将来性も感じられないランナー。気力や仲間意識など優にとっては全く価値のない精神性を大切にする岩本やコーチの小松。

    ある秘密を知り、駅伝に出場しないと決めた優が陸上部の監督から命じられ岩本のサポートをするうちに、傲慢で身勝手な態度だった優の様子に変化が・・・。

    自分は親に愛されているのか疑い、肯定できない優。
    自分の求める子供をデザインし溺愛する母親。
    いつまでたっても達成できなかった自分の夢を子に背負わせ、自分の気持ちに折り合いをつけられない父親。
    兄の死によって人格が崩壊していく母親もコワイが、身勝手な理由で優を自分の代償としてコントロールする父親も相当コワイ。
    それに比べ、岩本や小松の平凡さがむしろ非凡に思えてきて、結局踏ん張れるのはこういう人たちなのかもと、ありきたりな感想を持つ。

    辛うじて、優が10年後、人並みの感情を持って振り返るシーンを読んでほっとする。田舎に戻り教師となった岩本が優を心配して、母親の手料理を持って上京したと話す回想シーンに2人の笑顔が浮かんでジーンとする。

    最近デザイナーベビーについての新聞記事を読んだ。ドーピングが遺伝子レベルで行われる日もそう遠くないのか・・・。
    もしかして、既に動き出している?

    • だいさん
      nico314さん
      こんにちは
      現在の自分の考えでは、アウトのほうかなぁ。
      昔・遺伝的なハンデを持った人たちには、周りの人たちが助け合...
      nico314さん
      こんにちは
      現在の自分の考えでは、アウトのほうかなぁ。
      昔・遺伝的なハンデを持った人たちには、周りの人たちが助け合い、サポートしていた。
      現在・技術的に治療が可能になったが、お金かかるのじゃないですか?(一例ですが、別な負担となりそうだ)。
      未来・デザインするとしたら、それって「ヒト」なんでしょうかね?

      話が本題とそれちゃってますね。スイマセン。
      2013/11/21
    • nico314さん
      だいさん、こんばんは。

      >未来・デザインするとしたら、それって「ヒト」なんでしょうかね?

      私もそう思っていたところです。1つだけ...
      だいさん、こんばんは。

      >未来・デザインするとしたら、それって「ヒト」なんでしょうかね?

      私もそう思っていたところです。1つだけ求めたつもりが、それだけで終わらなくなって、この本の母親のように自分の思いのままにしてしまう。工業製品のようです・・・。

      「走る」ストーリーもあったのですが、私にはこちらの方が頭にこびりついてしまいました。
      こんな読み方ってきっと少数派だと思うのですが・・・。
      2013/11/21
    • nico314さん
      iii76385さん、こんにちは。

      >しをんさんの某駅伝小説が好きすぎて、陸上系の話が気になるのはもちろんなのですが、

      そうなん...
      iii76385さん、こんにちは。

      >しをんさんの某駅伝小説が好きすぎて、陸上系の話が気になるのはもちろんなのですが、

      そうなんですよ。わたしもしおんさんの本以来、陸上系の話に食指が動いてしまうんですよね。
      でも、これはちょっと違いました。というか、私がそちらに引っかかったと言うべきか・・・。

      読み手の背景や興味の在りかによって読み方もずいぶん違いそうですね。
      2013/12/20
  • 親のエゴには戦慄すら覚えるけど、オリンピックという目標を失いながらも得られたものの大きさ重要さは計り知れない。感動的なストーリーですし解かりやすいけど、個々の素材の厚み (深み?) が足りない気がする。

  • 余りにも後半が端折り過ぎなのでギリギリ4点といったところか。次第に熱くなる展開だっただけに、残念。

  • なぜ走るのか…。
    考えたこともなかった。というか、走ることを気持ち良いと思えない、できるだけ走らないようにと考えている自分にはちょっとわかりにくいテーマでした。

  • なんか、必然性のない登場人物が多いような気がする。最後もイマイチ不思議な終わり方…

  • 風強みある〜と読んでいたら遺伝子操作?とか言い出してん?ん?んんん???ってなっていって、主人公は箱根駅伝を走らなかった。予想外の展開。面白かった。

  • 偶然、マラソン大会を意識していたころに手にした1冊。

    『県庁の星』の著者とは知らずに読了。

    なんとなく、『風がつよく吹いている』を予感させるもテイストはまったく異なる、予想外の展開の作品。

    一気に読ませた。

    ありがとう。

    面白かった。

  • 内容薄いですね・・・。キャラクターにもリアリティなし。
    長距離がテーマなのでついつい手に取ってしまったが・・・、この人の本って読む必要ないと思いましたね。

  • 駅伝、好きです。どのチームにも様々なドラマがあるんだろうな。

  • いわゆる王道パターンではないスポーツ小説。
    次の箱根駅伝から例年より面白く見れそうです。

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著者プロフィール

一九六五年東京都生まれ。大妻女子大学卒業後、会社員、フリーライターを経て、二〇〇三年『死日記』で「作家への道!」優秀賞を受賞し、デビュー。著書に『県庁の星』『嫌な女』『ハタラクオトメ』『頼むから、ほっといてくれ』『残された人が編む物語』『息をつめて』など。

「2023年 『じゃない方の渡辺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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