ソロモンの犬 (文春文庫)

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著者 : 道尾秀介
  • 文藝春秋 (2010年3月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (388ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167773502

ソロモンの犬 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • マザーグースの童謡では、こまどり(クック・ロビン)殺しの犯人は自ら名乗り出てくれる。だが現実はそうはいかない。

    助教授の息子の事故死…。
    飼い犬の暴走により失われた幼い命。

    その瞬間を目撃した秋内はある疑惑を抱き、友人らの行動を振り返る。順調に思えた京也・ひろ子カップルは不穏な雲行き、片想いの相手 智佳の様子もどこかおかしい…

    道尾氏お得意のミスリードに今回も気持ち良く騙された。少々強引な感もあるが…

  • 20131210読了。
    青春ミステリー。
    少年の事故死の原因を探りながら、友達の秘密や真相に迫る。
    読み進んでるうちは面白いんだけど、結末が少し現実離れしているような気がしないでもない。ただ単に私の知識不足なのかもしれないけど。想像してなかったし、以外な転回というならそうなのかもしれないけど。
    道尾作品は、2冊目。『向日葵の~』が衝撃的でもやもやを一掃してくれただけにちょっと「うー…ん( ̄ー ̄)」かな。
    読む順番って発行した順番とか大事なのかな。いや、気分屋の私には無理だ 笑
    道尾作品はホラーっぽいのがあると思うんだけど、ホラーは苦手なので気を付けてwまた読んでみようと思う。

  • 道尾秀介さんの本は3冊目。
    「ひまわりの咲かない夏」はぐんぐんひきつけられましたが、そこはやっぱりホラー。
    あの独特の読後感。恐いもの見たさと言うか・・・
    「ソロモンの犬」は交通事故死した少年がなぜ事故にあったのか、その謎を大学生4人が探っていくうちに、様々なものが見え隠れする。
    ミステリーでありながら青春小説のような。
    途中でやめられなくなって一気読み。

  • まず構成がすごく斬新で面白かった。
    唐突な始まり方ではあるが、学生仲間4人が集まったところで、ある事件のことが語られはじめ、過去と現在を行きつ戻りつ物語はすすむ。
    基本的に主人公の秋内静の視点で語られていくが、意外にも早くから重大と思われることが、ポロポロと明かされたり、割と簡単に気づいたりする。
    道尾さんの作品にしては捻りがないなと思っていた途端に、最大級の「あー、そういうことだったか」という驚きがきて、さらに畳み掛けるように、それを上回る真相が押し寄せる。
    ラストの余韻も、これまでに読んだ道尾作品にはあまりなかったものであり、新鮮だった。
    ようやく、だんだんと道尾作品が好きになってきた気がする。

  • 京也は秋内のことが好きだったのか?

    ネタバレあり


    ○おおまかにいってこの小説には二つの流れがある
     第一には、主人公の大学生 秋内静 とその友人 友江京也 巻坂ひろ子 羽住智佳の人間模様、恋愛関係の話。
     第二には、大学の助教授 椎崎鏡子 の息子 椎崎陽介 の交通事故死とその後の鏡子の自殺(さらに秋内の事故)についての話。
     この二つを繋げているのは友江京也。事件解決の鍵をにぎるのは陽介の忠犬 オービー。そして部外者で探偵役の 間宮未知夫。

    【叙述トリックについて】
     叙述トリックは3つの段階からなる。
    ① 表面的な意味。 これは書かれた文章そのままの意味。
    ② 隠された意味(ミスリード)。 これは読者に推理してもらうために仕掛けられた罠。
    ③ 隠された真実。 その文章に隠されていたほんとうの意味。
    この組み合わせで、例えば男だと思ってたら実は女だった(①→③で②のないシンプルなパターン)
    例えばAさんとBさんのどちらかが犯人と思わせておいて、別のCさんが真犯人(AさんとBさんが①or②→Cさんが③)
    例えば男と思わせて実は女だった、と見せかけてやっぱり男だった(①=③のパターン)
    例えば②のミスリードが何重にもあるパターン(ややこしいやつ!)
    例えば③があやふやな場合(リドルストーリーとかアンチミステリ、メタミステリ)
    ①だけの場合はトリックは存在しない。しかしそんな文章にも読者は、的はずれな深読みや勝手な妄想をしてしまうことがある。

     「ソロモンの犬」の事件ではどうか
     ①表面的な意味 陽介の死は事故。オービーが急に走りだしたのはたまたま。鏡子の死は陽介の死のショックによる自殺。
     ②隠された意味(秋内の推理) オービーが急に動き出したのは、京也が何かしたためであり、事故ではなかった。それを知った鏡子が復讐をしようとしたが京也に返り討ちにあい、自殺に偽装された。京也が陽介を殺した動機は、鏡子と不倫関係にあった京也が、鏡子を自分のものにするために陽介が邪魔だったから。(②をミスリードと思わせないように、前段階で京也と羽住の浮気を臭わせている。p160 p241で解消)
     つまり作中の多くの意味深な発言や伏線はこの②に導くための罠である(真実に導くためのものを除いて)
     ③実際の真実(事件は何故起きたのか) これは間宮の説明を読めばいいp337

    ○間宮はどうやって、どの地点で陽介の死の真相に気づいたのか?
     Ⅰ p293でオービーがTVの中の何かに反応したことを知る。
     Ⅱ p299で陽介の事故時にオービーがカーミング・シグナルを発していたことを知る。
     Ⅲ p300で京也がニコラスの階段の踊場で雀と目があったことを確認する。
     Ⅳ 秋内が確認した京也の位置から陽介の事故現場が確認できること(p200)も知っている(p201の「視界の下の方に、はっきりと歩道が見えたのだ」から視界の狭い京也には真実見えていなかったのだが。)
     Ⅴ 間宮は鏡子から話を聞いて(p252 p273)、京也からも話を聞き(p247~)二人の関係と何があったかを知っている。
     つまり↓
     オービーは何かに気づいてカーミング・シグナルをとっていた。(Ⅱ)→オービーが急に動き出したのはその何かのためである。
    京也-雀-陽介(オービー)が直線上にあり(Ⅳ)、雀の習性(Ⅲ p342)から風向きを知り、犬の習性(目があまり良くないが鼻が利く)から京也の方向(あるいは近く?)にオービーが知っている匂いを出す、且つカーミング・シグナルを示すべき存在がいたことを推理する。そしてⅠからおそらく刃物をもっていることを推理→Ⅴの知識から椎崎悟の存在と、京也が命を狙われていることに気づく。

    ○間宮は秋内の事故(事件)についていつ知ったのか?
     p329の時点で悟が何をしようとしたのかを察したようだけど、間宮が秋内と悟の接点とそれによる秋内殺害の動機を知ったのはp345である。なんで間宮は分かったんだろう?
    「まあ、普通は思いませんよね(p352)」「あ、怪我してるの?(p356)」病院で亡くなったのが秋内の祖父だと知っていた間宮は、悟がそれを秋内静のことと勘違いしていることに気づいた。しかし秋内の無事はどうして分かったんだろう?

    ○秋内はいつ事件の真相(p358)に気づいたのか?
     間宮が気づいた(p300)時点では秋内はまだ分かっていなかった。「間宮先生は何を考えているんだか教えてくれないし、自分で考えても何も思い浮かばないし(p303)」
    その後バイト中に事故にあい走馬灯の中で陽介と鏡子の事件を推理しなおし、自分の現状にも気づく(p312)
    問題はこの先、p318で(自分の無意識が創りだした)マスターの存在を看破している。二度あっていることも、声を聞いたことがあるのも、口封じのために自転車のブレーキに細工したことも(秋内がブレーキにしか言及しておらずアクリルのジャンプ台を言わないのは、秋内がそれについて知らなかった→秋内が死んでないことの伏線だったのか!)理解している。そして三途の川の橋を渡り鏡子と陽介に会う。(p320)  つまり自分の死に気づいたとき同時に天啓のように事件の真相も理解したのかなと思った。
    が、p364ではその後に橋の向こうで鏡子と陽介に追い返されて橋を引き返している時に気づいたことになっている。これはなんで?

    ○秋内はなんでちょうどいいタイミングで間宮と覚の元へ現れたのか?
     事件の真相がわかりそれを間宮に話したいという気持ちはわかる、でも祖父死んでるし、京也の命が狙われてることにも気づいただろうし、やっぱり病院に行くべきだよね(京也も病院にいるし)

    ○自転車便ACTの社長 阿久津 について p18p126p163p307p370
     これはやられた。だっていかにも怪しいじゃん。
     p318「僕たち、二度、会ってるんですよね」「声も、通りで聞いたことがあるはずだ」「だからロードレーサーのブレーキに細工して、僕を殺した」
     二度は業務内容の説明会(p126)とオービー探索願のとき(p163)で、自転車にも詳しいだろう(元競輪選手)からブレーキへの細工もできそうだし、p307の仕事の命令も当然できる、なにより何度も出てきて印象強いキャラなのに、事件にはあまり絡んでこないから意外な犯人としてはうってつけだし。

    ○羽住について
     p185「秋内はそれとなく自分の手柄を印象づけつつ、智佳の表情を窺った。智佳は秋内の目を見てにこやかに微笑んでいた。それは、彼女にしては珍しい、とても女性的な笑顔のように思われた。」再読して分かったけどこのオービーが見つかったときの羽住の表情は、自分の行為が無駄に終わったことに対しての複雑な思いを隠してのものだったのかな。そう思うとその後の「一匹の犬のために一生懸命になるなんて、この人ちょっと変わってる。仁に厚いっていうのかしら。ほんとうに信じられるのは、案外こういう男性なのかもしれない。――智佳の笑顔は、秋内にはっきりとそう語りかけていた。」あたりの秋内の独白がなんとも…… 

    ○ひろ子について
     p228 ここでひろ子が怒っているのは、羽住に対してじゃなくて椎崎鏡子に対してだった

    ○p169-170秋内が京也に言った(実際にはこれは秋内の深層心理の裡での出来事)「あんなこと」とは京也と椎崎鏡子の関係のこと。しかしこの意識を失っている時点の秋内は、京也と鏡子がただの不倫ではなかったことを知っているので少し違和感。まあそれでも秋内の中で京也を責めたくなる気持ちがあってそれの夢のなかでの発露とも

    ○京也は秋内のことが(恋愛感情として)好きだったのか?
     1 p26 京介から秋内へのアプローチ
     2 p109「あれは口実だ。俺は気に入ってもいない相手とは付き合わない」
         「俺は、気に入ってもいない相手に誘いをかけたりしないよ」
         「そのかわり、手に入れたい相手は、どんなことをしても手に入れる」
     3 p112「まあ俺も、おたくのおかげで退屈から開放されそうだよ」どうして自分(秋内)が京也を退屈から解放するのだろう。全く意味がわからない。
     4 p130 間宮は声の抑揚で人の好意を察知できる
     5 p278「友江くんは、雄じゃなかったんだと思う」
     6 p283 秋内「でも……なんで京也はあんな嘘をついたんですか?」間宮「きみがいたからだよ」
     7 p368 ――俺、大好きだったんだ―― 誰を、とは言わなかった。
     8 p374 不意に、京也が間宮に身体を向けた。~その場にふさわしい、目上に対する礼と感謝の言葉を、とても自然な言い方で口にした。
     9 p375 京也「その時はお前も助手席に乗せてやるよ。」秋内「お前?」  おたく→お前への変化
    それぞれを①表面的な意味でみると
     1 「話しかける言葉メモ」を拾ったので面白がって話しかけただけ
     2 p109 「ひろ子ちゃんのことか?」京也は返事をせず、それきり黙り込んでしまった。
     3 うぶで真面目で純粋で一途でちょっと馬鹿な秋内といると飽きないよって程度の意味
     4 そのままの意味
     5 京也と鏡子の間には雄と雌による生殖行為がなかったの意味
     6 p283 秋内がうぶで京也が大人という構図 が定着していたため (端的に言って)マザコンということを知られたくなかったから
     7 当然、母のこと
     8 特に意味は無いが事件を経ての京也の心境の変化によるもの
     9 同上
     2以外は問題ないと思う。2は京也の「俺がひろ子のことを好きでもないのに付き合ったって言ったか?」から始まり秋内の「ひろ子ちゃんのことか?」からも分かるように①表面的な意味においては、ひろ子を指している。が、秋内の問いに対しp110「京也は返事をせず、それきり黙り込んでしまった。」とある。ここには京也の椎崎鏡子への思いが隠されている。問題は、それが②隠された意味(ミスリード)なのか③真実の意味なのかどうか。
    「そのかわり、手に入れたい相手は、どんなことをしても手に入れる」はつまり「椎崎鏡子を手に入れるためなら、どんなことでもする」と言い換えられる。これは最初に書いたソロモンの犬におけるミスリード(京也が椎崎鏡子を手に入れるため陽介を殺した)そのもの。よって京也のどんなことしても手に入れたい何かが椎崎鏡子であるというのは②ミスリードである。
    じゃあ③隠された真実の意味は何なんだろうか。
    例えば①=③の場合。つまりやっぱりひろ子を指しているということ。これは無い。京也はひろ子にそれほど執着していないし、自分から別れようとしている。
    例えば③があやふやな場合、つまり真の意味などなくてただ京也の陽介殺しにミスリードしたかった場合。そんな雑なことはないだろう。
    ③が「母親」の場合。これがしっくりくる。つまり手に入れたかったのは、椎崎鏡子自体ではなく、亡くなった母親とか母性とか。
    つまり「そのかわり、手に入れたい相手は、どんなことをしても手に入れる」の①表面的な意味はひろ子のこと。②隠された意味(ミスリード)椎崎鏡子のこと③隠された真実は母親のことで納得できる。

     しかし気になったのは「そのかわり、手に入れたい相手は、どんなことをしても手に入れる」という台詞が「あれは口実だ。俺は気に入ってもいない相手とは付き合わない」「俺は、気に入ってもいない相手に誘いをかけたりしないよ」からの流れであること。つまり京也がひろ子のことを対して気になってなくても、どんなことをしてでも手に入れたい何かのためには、付き合ったりするということだ。京也はひろ子と羽住が親友であることを知っていて、秋内が羽住のことを好きなのも知っている。つまり京也がひろ子と付き合うのは京也→ひろ子⇔羽住←秋内の繋がりのためだとも考えられる。
     京也が秋内を好きだったと仮定すると、二人称の変化(9)や、6の真実(母親への思い)で嫌われるよりも嘘(鏡子との不倫)で嫌われることを望んだ京也の秋内に対する気持ちも、もっと意味深に思える。
     5の間宮の発言も、声で人の好意を察知できる間宮(4)と繋がって、p279の「ぼんやりとした表情で虚空を見つめ、何かを思っている様子~ほんの一瞬だけ秋内に視線を投げただけで、すぐにまた目をそらしてしまう」のあたりの葛藤が、「秋内に話すかどうか」ではなく「秋内にどこまで話すか」という風にも思える。そしてその結果(秋内に黙っていてくれたことに対する)京也の間宮に対する感謝の態度(8)
     7の――俺、大好きだったんだ――を秋内は当然母親のことだと思っている。秋内の目の前で泣いた京也を見て「もしかしたら本人にもわからないのではないかという気がしていたからだ。」ともある。が、秋内は(羽住のとこでも書いたけど)自信があるときほどズレている。


    根拠に乏しいが感想終わり。

  • 何気に古本屋で手に取った。

    ほうほう、なるほど、そうきましたか、
    そうだとわかっていたさ、と思っていたら
    騙されました。
    幼い友が亡くなった事故の真相を探る
    4人のまだまだ発展途上な大学生と強烈なキャラの先生。

    大学生と先生が乗っていた自転車が
    持ち主の特徴を表していて、面白かった。

    最後はママチャリが活躍したしねぇ。

  • やはりお金を払わなければ読めない小説には、それだけの力と面白さがあります。勉強量もけっこうなものと見受けましたし、そのあたりの真面目さも感じられるのに、文章には砕けたことを表現していて、なかなかに幅の広い人のようです。

  • 道尾秀介作品を最近よく読んでる感じ。これも、初期のものといえるでしょうかね。なんとなく、まだまだ青臭い感じが全体流れていて、ミステリーもちょっとそれですかという感じですが、井坂の「砂漠」的な青年時代の青くて
    、酸っぱい感じもおっさんになった自分には新鮮だったかな。たまには、こんな青春謳歌なのもいいのかな。

  • 登場人物に一切魅力がないのが残念。薄っぺらい。

  • シュールな笑いが、あちこちに散りばめられていて、ふっと笑ってしまう。
    もっと手の込んだトリックがあるのかと思いきや、物語は予想外の展開に。
    こんなエンディングで、いいのか?
    なんだか登場人物たちが一人歩きしてしまった感じも。
    読了直後は星4つくらいだったが、一週間経ち冷静に振り返り、ひとつ減らしました。

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ソロモンの犬 (文春文庫)の作品紹介

秋内、京也、ひろ子、智佳たち大学生4人の平凡な夏は、まだ幼い友・陽介の死で破られた。飼い犬に引きずられての事故。だが、現場での友人の不可解な言動に疑問を感じた秋内は動物生態学に詳しい間宮助教授に相談に行く。そして予想不可能の結末が…。青春の滑稽さ、悲しみを鮮やかに切り取った、俊英の傑作ミステリー。

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