インシテミル (文春文庫 よ 29-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167773700

作品紹介・あらすじ

「ある人文科学的実験の被験者」になるだけで時給十一万二千円がもらえるという破格の仕事に応募した十二人の男女。とある施設に閉じ込められた彼らは、実験の内容を知り驚愕する。それはより多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合う犯人当てゲームだった-。いま注目の俊英が放つ新感覚ミステリー登場。

感想・レビュー・書評

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  • 時給11万と破格なバイト代に釣られる12人
    2010年代デスゲーム流行時期にかかれたのだろう

    結論、序盤の複雑なルール設定を熟読して挑んだが、
    それを十分に駆使できたかというと疑問 うーん消化不良
    おもしろい設定なので続編あるか探しけどまだないみたい
    残念!

    クローズドサークル化にあたり お金で束縛はもちろん
    夜は巡回ロボット(?)で外に出れなくするのは面白い

    インディアン人形が出たときは「そして誰もいなくなった」のオマージュ等々でテンション上がるが
    見事にインシテミルされました…

    好き嫌いが分かれそう


  • 面白かった!
    犯人最後までわからなかった…笑

    無駄に高い時給の実験バイトに参加する12人
    自分だったら生き残れるかばっかり考えてしまった笑

    ミステリー大好きさんには色んな作品が登場して更に面白いかと思う。
    知らなくても全然楽しめる1冊。

  • クローズドサークル?というのかな?
    人文科学実験の被験者募集という名目で集められた12人の男女。常識外れの時給に惹かれて集まった彼らは外界から隔離された〈暗鬼館〉に閉じ込められる。そこにはまさに人間の疑心暗鬼を徹底的に利用してお互いを殺し合うように仕組まれた館だった。

    それでも、何事も起こさず高額なバイト代をもらえればいいと思っていた彼らだったが、翌朝参加者の一人が死体となって発見される……
    そこからは、お互いがお互いを監視し、疑い、騙し人間の浅ましさやいやらしさが、これでもかと彼らを苦しめ、追いつめていく。
    彼らの雇い主、主人の目的は何なのか?
    誰が誰を殺したのか?生き残るのは誰なのか?

    文章は読みやすくてテンポもよい。展開も早く先が気になってどんどん読める。始めは登場人物が多くて把握するのに何度か読み返したが、それぞれのキャラクターがつかめてからは一気読みだった。
    トリックにも無理がなかったし、伏線回収も見事だったと思う。ただ、最後にもう少しあっと驚く仕掛けが欲しかった気もする。結局なんで10億円が必要だったのかもわからずじまいで、犯人にどんな感情を持てばいいのかわからない。犯人の背景とか人物像がほやけていて、もったいないなぁ。と感じた。
    終始ミステリアスな存在だった須和名さんの正体も、もう少し解説が欲しかった。

  • 人狼ルールある館版バトルロワイヤルか?
    ルール・人名・部屋番号・凶器・凶器の殺種類 メモしてるだけでミステリ好きには楽しい でも読み進めていくと想像していた館物ミステリとは違ってきた
    結城が〈監獄〉に入ってから一気に話がメタ?ミステリ好き視点になり楽しくなってくる ミステリエンタメ小説かな
     〈実験〉参加者の中でもミステリ知識があるかどうかで全然違う動き

    主人については謎のままなんだけど、須和名の存在が一応の解答になっているのか
    関水の背景についてはほとんど謎だけど54倍のために必要なだけでそこは深く語って共感とかはいらないか

    実はメンバー中に黒幕主人がいて、最後に動機を語ったりして主役が全て解決!「報酬は無しか、、、」みたいにならなくて私は良かった笑
    こういう〈実験〉施設が改善を続けて現実にも存在していたら素敵だな〜と思った 参加したくないけど

    読んだことない古典部シリーズ一気読みしたいな

  • 12人が高時給の実験に参加し、事件が起きるサイコスリラー小説。
    高時給の裏に隠された仕事とは?
    閉じ込められた空間でのある出来事の発生により、登場人物たちの状況が一変…
    報酬の真偽や、主催者の目的に続く疑問。
    著者の緻密なストーリーテリングと謎解きに引き込まれていった。
    予測不能な展開に驚き、巧妙な筋書きに心を奪われていく。
    高収入の仕事など誘惑的な話には、やはり裏があり、そのリスクを考える必要がありますね…

    そして私は終始、須和名さんの泰然自若な態度が気になってしまった…

  • 気になる作家の米澤氏。
    主人公は結城理久彦、そして、天然なのか、怪しい美女の須和名祥子。後から考えると最初の出会いも怪しい。
    この2人を含む12人が高額の報酬を得られる実験に応募して暗鬼館という地下で殺し合いに巻き込まれていく。。。
    序章で応募者の動機が9人分書かれていたのは、なるほど、そういうことかと後で納得。この9人目が犯人?なのか。
    脱線するが、閃光のハサウェイを観たからなのか、須和名祥子が登場するとギギ・アンダルシアの顔が浮かんできた。ただの妄想ですが。

  • 高給なモニターのアルバイトとして集められた12人が、クローズドサークルな地下施設に閉じ込められ、殺人ゲームを繰り広げる本格ミステリー。なんつーか、カイジと本格ミステリーを足して2で割ったようなお話。

    序盤は背景設定や人物紹介が多く、感情移入がしづらく、のめりこむまでに時間がかかりました。ただ中盤以降は話がどんどん展開して一気に読み進められます。

    米澤穂信らしく日本語が美しく、文章に気品があります。本格マニア感も丸出しで、愛が感じられます。
    トリックは綿密に組み立てられており、本格好きにはおすすめ。ただついていくのがかなり大変なのでそれなりに覚悟が必要。オチはいやらしさ満点。

    使い古された感があるデスゲームフォーマットなお話ですが、しっかり組み立てられたストーリーなので、この手のお話が好きな人は楽しめる一作です。

  • テンポよく読めて面白かった。
    くせのあるキャラクターが多くて、登場人物の誰だっけ?が起こらなかったのは良かったけれど、背景の深堀が欲しかったなーという、個人的な我儘な意見。
    ロジックよりも人間味がある話の方が好きなんです…。

  • クローズドサークルものの本格ミステリー。クリスティの「そして誰もいなくなった」へのオマージュにもなっている。

    破格の時給、丸7日間拘束されるだけで、約1800万円を手にすることができるという信じがたいバイトに採用された12人の男女。地下に造られ、外界から隔絶された構造物「暗鬼館」には、鍵のかからない12の個室と娯楽室、監獄、霊安室、ラウンジやキッチン等が設けられていた。

    参加者には、人を一人殺す毎に報酬が倍になる、殺人者を突き止めた場合は報酬が3倍になる等、あり得ないルールが示され、その行動は四六時中監視される。各参加者に異なる武器が与えられ(各武器には、当該武器が用いられた古今東西の名作ミステリーを紹介したメモランダムが付されている)、参加者は夜、必ず個室で一人にならなければならない。

    3日目から参加者が次々と殺されていき、疑心暗鬼になる参加者たち。混乱が続くなか、最終日に事件の真相を言い当てたのは、空気の読めないミステリーオタクの結城だった。

    本作、一応辻褄は合っているのだろうけれど、必然性というか現実感は全くない。人間ドラマのようなものも無い。まあ、本格ミステリー全般に言えることなので、これは致し方ないことなのだが…。

    ひたすらミステリーオタク向けの、実験的とも言える作品だった。

  • いたって普通の大学生結城はコンビニでバイトを探していると天女のごとく美しい女性に声をかけられる。
    バイト雑誌での仕事の探し方を教えてほしいというのだ。
    教えている際に目に留まったある募集要項1120(百)円/時間。車が欲しかった結城はふざけ半分に応募し、選考に受かった。
    言われるままにたどり着いた場所は「暗鬼館(あんきかん)」。なんというふざけた名前。なんと大袈裟な舞台装置。しかしそこから始まった七日間はー

    映画で「グロい」って評判を聞いたことがあったので、結構長く積んであった本ですが、怖さを読みたさが越えました。
    作中、そこここに「ノックスの十戒」や「そして誰もいなくなった」の象徴であるインディアン人形や、過去の名作ミステリーにあやかった武器などが登場し、マニアは「おー」となれます。
    わたしは数作しかわからなかったので、損してるのかも。
    いや、ちりばめられすぎてロジカルな推理をほったらかしてしまったかも。残念。

    文章は間違いなく素晴らしかったのに☆が四つなのは、そこここに「ん?」ってひっかかったところがほったらかされていたところです。気にし過ぎだっただけなのかな。

    面白かったので映画も見てみようかと思います。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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