武士道シックスティーン (文春文庫 ほ 15-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 7098
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167780012

作品紹介・あらすじ

武蔵を心の師とする剣道エリートの香織は、中学最後の大会で、無名選手の早苗に負けてしまう。敗北の悔しさを片時も忘れられない香織と、勝利にこだわらず「お気楽不動心」の早苗。相反する二人が、同じ高校に進学し、剣道部で再会を果たすが…。青春を剣道にかける女子二人の傑作エンターテインメント。

感想・レビュー・書評

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  • 誉田氏の本は吸血鬼と女刑事の話しだけ読んでいたので、ミステリーかと思って読んでみたら良い意味で裏切られた。
    最初の方は二人の女の子が自分の視点で書き進め、それに加えて親の離婚で苗字が変わってもいたので誰が誰やらわかりづらかった。内容は正反対の考えを持つ二人の成長を描いた青春物語。行く道に迷ったり、親との関係を見つめ直したり、それが剣道を通して語られて行く。最後もいいお終わり方をしている。続編もあるようなので早めに読みたい。

  • タイトルと表紙でわかるとおり、16歳の剣道少女物語。
     
    良い意味でも悪い意味でも想像通りの内容。
    一気に読めてしまうが、後には何も残らない。
    読んでいる間は楽しめます。
    シリーズ物の第一弾ですが、続きを読みたいかは微妙。
     
    もっと若いうちなら楽しめたのかなー。

  • 女子剣道家達の青春を描くことで、吉川英治の「宮本武蔵」のある要素をギュッと一冊に濃縮したようなストーリー。やりたいことがわからず、もがいている自分の目を開かされてくれる、爽快・痛快な一冊。
    「やりたいことはやる、やりたくないことはやらない」の精神で、在るがままの自分で選択し、納得・覚悟をして生きていくことを、後押ししてくれる小説。

    自分のミッション、バリューを問い直し、「人生このままでいいの?」を読んでいる中で、好きなことを考えようとしていたが、いまひとつ好きなことを追求することが良いのか、迷っていた自分を勇気づけてくれる小説。「できるかどうか」より「やりたいかどうか」をベースに判断してよいと背中を押してくれる。「失敗したっていいじゃないか、やりたいんだったら、やるしかない!」。本作を通じて、小説が生きる力をくれる、生きやすさを与えてくれるという体験ができた。

    曰く、人生勝ち続けることはできない。勝ったり負けたりするもの。そして勝負は避けられない。では、負けることの不安に打ち勝つにはどうすればよいか。勝負の結果や比較優位だけを求めていては、負ける不安に打ち勝つことはできない。打ち勝つ方法は、それが好きだっていう気持ちを自分の中に確かめ、好きと勝負の不安を天秤にかけること。不安が勝てば、やめておく。好きが勝てば挑戦するしかない。結果は後からついてくるもの。そうした選択を続けていくことが、唯一の解なのだ。
    勝ち負けだけにこだわってしまうのは、そして負けを極端に恐れることは、自分一人だけで強くなったという想いからくるもの。周り全てを敵とみなして勝手に恐れているだけということに気づかされる。そして、その一人よがりから抜け出すうえで、一人では生きてゆけぬことを知り、生きていく上で、世のためを思い、他人を敬い、精進を怠らぬことが大切と説く。

    改めて、自分の好きなこと、夢中になれることが何なのかを考えよう。義務感とかではなく、行為そのものを好きと思える何かを。きっと俺はそうしたワクワクできること、具体的な夢を探し切れていないから、いま、こういう鬱な状態なのだと思う。
    自分の好きを殺さず、きちんと探す努力を怠るな。人生に背を向けていてもしょうがない。一歩ずつでも前に歩もう。この小説を読んで、改めて挑戦するときの高揚感を思い出した。走ることが大好きだった、高校時代。興味に基づき主体的に動いた大学時代。遺伝子流動を研究したいと思った修士2年目、アフリカに行きたくてトライしていたあの頃、アフリカで見た自然との共生に土地利用や生産性の向上が必要と学んだときの、ワクワクを思い出す。
    自分のできることが増えれば、好きなことも増えるし、本当に好きなことなら、力をつけることもできるし、勝っても負けても、歩み続けられる。そして、その「好き」は生きてゆく中で変わることもある。
    常に自分の心、好きをとらえながら、感謝を忘れずにやりたいことにトライしていければという気持ちになった。

  • 2022/05/08読了
    #誉田哲也作品

    剣道を通じた女子高生青春小説。
    ただ勝つことだけを目標とする剣道エリートの
    香織(全国2位)が中学最後の大会で無名の選手
    に敗れる。
    雪辱を晴らすために同じ高校に進学を決めるも、
    そこにはただ剣道を楽しみたい、剣道始めて間もない
    「お気楽不動心」の早苗がいた。

    全く色の違う二人がともに刺激を与えあい
    成長していくストーリーがありきたりながらも
    ぐっと熱くなれて良い。

  • 磯山は先輩・後輩に言い放った言葉で出禁になる。その内容に5分間大爆笑。インパクトありすぎる出だしの展開!本当に「ストロベリーナイト」も書いた著者とは思えません。性格が元気な磯山と、落ち着いた西荻。両者の関係性がとても面白い。この2人の大局的な思考・行動パターンが剣道の面白さや奥深さを引きたてている。磯山を見ていると、自分が楽しくないと辛いだけだよな~ぁと思い、仕事も一緒ですね。これも、続きものですか。積読必須本が増えますね。高校の体育では「剣道必修科目」でしたので、知識的にも楽しく読めました。

  • 誉田先生の作品は、ストロベリーナイト以降敬遠していた為、全く読んでいなかったが、会社の方が貸して下さったので読んでみた。

    ストロベリーナイトのイメージしかない作家さんだったので、正直びっくり。
    これは面白い!

    痛快 青春剣道小説だが、香織と早苗のキャラクターが際立ち、とても清々しい気分にさせてくれる。

    私のような中年女でも何かを気づかせてくれるような、そんな一冊。

    多感な青春時代を楽しみ、悩みながら謳歌されている若者には響くものがより多いのではないかと思う。

    良書!

  • 題名を見た時から面白そうな本だなと思っていた。
    案の定、本当に面白い青春スポーツ小説であった。
    笑って、ハラハラしてしかもちょっと感動できる。
    言う事なしですね。

    主人公は二人の女子高生剣道部員。
    この二人のライバルを軸にして話が展開する。
    (ライバルと書いたがライバル視しているのは一人だけでもう一人はそんなこと思ってません)
    二人の主人公の性格が好対照で面白い。
    一人は、父兄共に剣道をやっている剣道ファミリーで育った筋金入りの剣道少女 磯山香織。
    剣道に全てを賭け、幼いときから実戦的な激しい稽古を行う道場で鍛錬し、勝つことのみを追い求める。
    心の師匠は、宮本武蔵で「五輪書」を愛読しているという戦闘的な兵法者である。

    もう一人は、中学校に入るまでは日本舞踊をやっていたという異色の経歴を持つ少女 西荻早苗。
    性格はおっとりしており、勝負に勝つよりも自分の技術が向上することなどに喜びを見出すタイプ。
    現在家庭にちょっと問題を抱えており、名字が変わっている。
    家族は様々な才覚を持った人ばかりである。
    父は元町工場の社長の技術者、母は絵本作家、姉はティーンズファッション誌のモデル。

    話はこの二人の主観で交互に語られる形式で進んでいく。
    この構成が本当にうまくいっていると思う。
    性格の全く異なる主人公たちの書き分けが非常に巧みなので、章が変わるごとの雰囲気の変化が面白い。
    同じシーンでも二人の感じ方の落差があって笑ってしまうこともある。

    様々な思い違いやそれぞれの葛藤などを乗り越え、彼女達は人として成長していき、最後は青春スポーツ物の王道の様なエンディングとなる。
    ホント素晴らしいエンターテイメント小説をありがとうと言いたい。

  • いや~青春だ~。自分が突き進むべき道...。その目的や目標は?見失うこともあるし、思い悩むこともある...。そんなプロセスが必要な時期もある。次作を早く読みたい衝動にかられる良作でした。

  • 単純に面白い。読みやすい。2人の女子高生の剣道を通しての成長譚。ライトノベル系のノッペリした話かと思ったが、2人の心のひだを丁寧に描いていて好感。

  • 勝ちに拘る兵法オタクの磯山香織と、勝ち負けを嫌うおっとりタイプの西荻(甲本)早苗。二人の高一剣道女子を巡る青春物語。

    マンガを読んでいるような感覚でサクサク読める。剣道の防具とか解説した手書きイラストもいい。

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著者プロフィール

誉田哲也
1969年東京都生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。主なシリーズとして、『ジウⅠ・Ⅱ・Ⅲ』に始まり『国境事変』『ハング』『歌舞伎町セブン』『歌舞伎町ダムド』『ノワール 硝子の太陽』と続く〈ジウ〉サーガ、『ストロベリーナイト』から『ルージュ 硝子の太陽』まで続く〈姫川玲子〉シリーズ、『武士道シックスティーン』などの〈武士道〉シリーズ、『ドルチェ』など〈魚住久江〉シリーズ等があり、映像化作品も多い。

「2023年 『ジウX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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