- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167784010
感想・レビュー・書評
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2008年本屋大賞8位。第138回直木賞受賞作。
養父と養女の禁忌を、養女の結婚式から始まり養子縁組をしたところまで章毎に時代を遡っていくお話。
話が過去に向かって進んでいくことで『近親相姦=倫理に反する行為=気色悪い』という社会通念を逆手に取った形となり、単純に「この構成凄い」と驚かされた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久々に力作と思えるものに出会えた。
一度は手にしてほしい作品です。 -
同じストーリーを男性が文章にしてたらまるで違う本になっただろうなと思います。
よくまあ綺麗にまとめたなと思っていて好きな本だったもので、他の方のレビューがボロカスなのが多くて驚きました。もう少し位は一般受けするものだろうなと自分は勝手に思ってました。
綺麗な本だと思ってるし、構成の上手さにもため息がでました。
ですが好き嫌いが分かれるのに関してはとても理解しやすいです。
なんかノスタルジックを感じるよねーと、言ったことがあるけど今のとこそれに共感を受けたことはないし、今後もあまり受けないと思う。
景色とかとかとかも綺麗なんです
実写化したの、わたしは見てませんがあれだめゼッタイ。あれこそ何がしたいんだ -
養父と娘の禁断の愛を書いた小説。現在から過去へ遡る形で書かれていて、最後の章を読んでからまた最初の章を読むと、違った印象を受けた。
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知っていると思うけど、今話題の本です。欠損家庭で育ってきたぶん''血''で埋め合わせるかのように愛し合った親子の話。内容もすごかったけど、家族のあり方について考えさせられた(ような気がする) 世間的にはタブーなことでも、その家族にとっては当たり前なことであって。例えおかしくても家族間で当たり前だと、言っている限り外の人間は邪魔をすることができないと思った。邪魔をすることってその家族を壊すことでしょう?そんなことをしてまでも家族は脆くないということだと思った。
2014.6.19(1回目) -
奇妙な養父と娘の癒着した関係を、過去に遡りながら描いていく。
グロテスクにも感じますが、それすらも超えて美しさと納得させるものを感じた。
過去の祈りで終わる所が秀逸。
恐らく評価が割れるだろう作品。
自分はとても惹かれるものを感じました。 -
ドロドロしてる…ようでいてそうでもない気もする。淡々とした語り口だから。爛れてるのは確かだけれど。流氷浮かぶ北の黒い海のおどろおどろしさと、女の匂いが香り立つように、あちこち漂っている本。不思議と男の匂いはしない。微かに煙草が臭うだけ。
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初挑戦、桜庭一樹さん。
すらりと痩せて背が高く手足が影法師のように長い、惨めな貴族のような、私の男。
孤児だった私を引き取って、養父として15年間育ててくれた男。
二人で一緒に逃げ続けてきた、血のつながった男。
私―――花の結婚から二人の過去を遡り、絡みつくような情愛と内在する孤独を辿る。
まず前提として、タイトルと表紙で苦手意識を持った方は、その直感に従って読まずにおいた方がいいと思います。
登場人物の息づかいまで感じられるような生々しい描写が素晴らしい。
一方で心情描写には適度な隙があって、自分なりの解釈を想像力で補わせる能動的な読書を促されるような感覚があります。
当初見えていた情景から過去に向かってフェードアウトする構成も相まって、少しずつ明らかになる二人の過去に思わず息をのみます。
社会通念から大きく外れる形ではありますが、家族、そして男と女の間をつなぐ絆が胸に迫る一冊です。 -
主人公の腐野花(くさりのはな)の名前がこの本を表しているように思えた。
青臭くどろりとした泥水のような臭気。
腐臭を放つ花。
正直最初のあたりで本の展開がすべてよめてしまいました。
それでも匂いや色を感じられる文章力・表現力は素晴らしかったです。
ただ開けてはいけない扉を開けてしまったような、口の中にドロドロとした黒い物を流し込まれたような何とも言えない気持ちになりました。
ですが、読み終わった後もう一度初めから読んでみたくなりました。