荒野 12歳 ぼくの小さな黒猫ちゃん (文春文庫 さ 50-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167784027

作品紹介・あらすじ

鎌倉で小説家の父と暮らす山野内荒野は、中学入学の日、通学中の電車で見知らぬ少年に窮地を救われる。だが、それは彼女の身に起こる小さくて大きな変化の始まりでしかなかった-。"恋"とは、"好き"とは?うつろいゆく季節のなかで、少しずつ大人になっていく少女の四年間を描くビルドゥングスロマン。全三巻の第一巻。

感想・レビュー・書評

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  • 山野内荒野はなりたての中学生。12才。
    きりっと清楚な紺の制服に身を包んではいても
    どこかしらついこないだまではランドセルをしょっていたという
    幼さからまだ抜け切れていない少女です。

    そんな荒野が
    ”人を好きなる(恋する)”ってどういうことなんだろう...と
    目覚めていくのですが....

    荒野の身に置かれた家庭環境と、出会った異性や友達からの影響をうけながら
    体験し、感じて成長していく物語は200頁ほどの短いストーリーといえども
    刺激的で濃厚な恋愛事情がくるくると展開します。

    母親からの愛を全く知らない荒野。
    蓉子さんがいい母親になってくれるといいね。
    大人に左右されずに純粋に生きていってほしいな。

  • 「ぼくの小さな黒猫ちゃん」
    ちょっと危ない香りのするサブタイトルに引き寄せられて手に取った本。
    黒猫のような女の子である荒野に興味津々だった。
    これは主人公の荒野(12歳女子)にパパ(恋愛小説家)が言う言葉。
    なんともはや…、自分と自分の父に置き換えると、ちょっとどうかと思う。

    12歳の荒野の初恋。
    もし彼とただのクラスメートでいられたら、どんな恋になっていたんだろう。
    吊り橋効果から始まったかもしれない恋。
    でも恋なんて多かれ少なかれ全部思い込みを含んでいるじゃない?
    「本当の私」とかなんとかそういうのも全部思い込みじゃない?
    そんなことを考えたり。

    さてさて荒野はどんな女性になるのでしょう。
    続きが楽しみ。

  • 鎌倉で小説家の父と暮らす山野内荒野は、中学入学の日、通学中の電車で見知らぬ少年に窮地を救われる。だが、それは彼女の身に起こる小さくて大きな変化の始まりでしかなかった…。“恋”とは、“好き”とは?うつろいゆく季節のなかで、少しずつ大人になっていく少女の四年間を描くビルドゥングスロマン。全三巻の第一巻。

  • 荒野シリーズ1冊目。随分前に購入して積読していた。
    可愛い思春期手前の女の子の話。登場人物はみんな、どこかしら個性的で面白い。以前読んだ「少女七竈と七人の可愛そうな大人」と世界観が似ていた。

  • 『優しい心は、気づいた人をせつなくさせる。』

    わからない、と言いつつどこか本質を捉えている荒野は『十二歳。大人、以前。』

  • 第一章が終わるころに思ってもいなかった展開になり、「そういう話だったのか~」とびっくり。
    この年代で家族に変化があると、何かと影響が出てくるんじゃないかな。
    鎌倉が舞台なので、序盤はそこだけが救いだった。
    二巻からの展開が楽しみになってきた。

  • こういう少女ものって、やっぱ桜庭さんが上手い!!!

  • 読みやすいのに近寄り難い不思議な小説。こんなん絶対イヤ、と思うけど、でもどこか魅力もあるんだよなー。

  •  中学入学してからの約1年間を12歳の少女の目線を通して描いた小説。キュンキュンするような思春期特有の内面を描きつつも、少女の周りには波乱が多すぎる。多感な時期にそんな波乱を迎えなければならない理不尽さ。その描写が巧みすぎる一作だ。

     タイトルだけ見れば、ちょっと敬遠してしまうかもしれない(カバーを付けず電車内で読むのには少し勇気が要った……)。文章冒頭から続く、キャピキャピした内容にページをめくる手が止まることもあるかもしれない。しかし、騙されたと思って、「一章」の終わりまで読み進めてほしい。おそらく、それ以降、手が止まることはなくなるだろう。

     ところで、本作の初出は「ファミ通文庫」から出版されたらしい。ライトノベルレーベルである。そういえば、2000年代半ばくらいまでは、ライトノベルにも一般文芸的な作品はあったなあという懐古。佐藤ケイさんの『LAST KISS』に泣かされた中学時代の思い出。。。


    【目次】
    一章 ハングリー・アートの子供
    二章 ぼくの小さな黒猫ちゃん
    終章 青年は荒野をめざす

  • 再読。若いばあやの奈々子さんが素敵で、荒野との2度の別れの場面が切なかった。ぐいぐいくる新しいお母さんは苦手だけど、子供にとってはこういう曲げない大人も時には必要なんだろう。今後この子はどんな少女に、大人になっていくんだろうか。

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著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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