泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部 (文春文庫 さ 34-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (565ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167801229

感想・レビュー・書評

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  • 長板坡の戦いが本書の中心。にしてもこれにまるまる一巻費やすとは。

    張飛、趙雲の人間とは思えぬ活躍に思わず笑いが。いやはや、酒見さんのこの物語はスプラッター喜劇なんですな。

  • -歴史とは解釈の賜物だ!-

    三国志はこれまで複数の著者の作品を読んできた。それなりの知識を有している自信はあったし、本筋は理解しているつもりである。それでも本作を通じて新しい発見があった。

    それは一言で表すと歴史とは解釈の賜物なのだ、という当たり前だけれど忘れがちの事実である。正確な歴史なんてものはないのだ。歴史はどうしても書き表す人の思想や哲学から逃れることはできない。資料の狭間狭間を埋めるものは想像力であり、希望であり、悪意なのかもしれない。

    本書においては、これまでとは一味違ったスパイスを加えられ、劉備三兄弟や孔明が描かれている。この本を読むとこれまで吉川三国志や陳舜臣三国志や横山三国志に親しんできた方は新鮮な感想を抱くだろうし、人によっては不快感を覚えるかもしれない。しかし、そういう論争やざわつきを生み出すことができたなら著者にとっては大成功と言えるだろう。

    単行本版だと一冊500ページ弱という分量でありつつも、なかなか物語は進まず非常にじれったい。少し蛇足が多いというか冗長なところがあるので、星はひとつだけ減らした。

    しかし、歴史とは解釈の賜物という改めての訓戒を与えてくれたのと、三国志のしらざる世界をもっと知りたいというモチベーションを与えてくれたので概ね満足できる一冊だった。

  • 酒見先生の描く体育会系劉備軍団に愛着が湧いてきた。
    目玉は負け戦にして超見せ場な長板橋。二体の殺人マシーンが大活躍。

  • 魯粛かわいそうだな。
    主演男優賞級の伝説の数々が最高。

  • これも笑い転げながら読了・・・と言いたいところだけれど、やはり戦争(長坂坡の戦い)のすさまじさに衝撃を受ける。
    それから、やはり酒見さんが三国志や三国志演義などの作品を批判的に読み込んでいることも、随所から伝わってくる。
    このシリーズが完結するまで、他の三国志関連の本を読むのはやめておこうか、と思っている。
    とりあえず、第3部を入手しよう。

  • 度を越した悪ふざけ。ながら、多角的に中国史も学べてしまう歴史解釈書の第二巻。みんなしてアホの子で(特に趙雲)、愛しく思わざるを得ない。
    「うぬーん、早くお外で遊びたいぞ」て!もう!馬鹿!可愛すぎるだろ。

  • 抱腹絶倒酒見三国志の第二巻。一巻のなかなか核心に迫らない独自路線っぷりも素晴らしかったけれど相変わらず予想の斜め上をゆく展開にニヤニヤ。特に劉備のどうしようもなさ、趙雲の超戦士っぷり、張飛の野獣さが際立って印象に残った(ってアレ?孔明は?)個人的には地雷を踏んじゃった感のある可哀想で人の好いヤクザ者魯粛さんが今後どうなっていくのか気になってならない。早く続きが読みたいけどいつになるのかな。

  • 三国志では有名な三顧の礼以降、劉備の元に雇われた孔明がどんな働きをしていたかですが、この巻では孔明が登場する分量はそう多くありません。作者の解説がかなりの分量を占めています。三国志などの世に流布している出版物の中身も検証しながら場面が進行するので、史実が頭に入っていないとなかなか読みこなせず、今回は読み終えるのにちょっと時間を要しました。(三国志を読みこなした方には難なく読めるのでしょうが・・)
    しかし、前回に引き続き大半の日本人が抱いている三国志に出てくるヒーロー像を覆す人物像は今回もさらに加速しています。
    特に劉備玄徳の武将としてのダメさ加減とエンターティナーの素質がこの巻では如何なく紹介されています。それらは、もしも彼らが現代に登場したら・・という空想の世界ですから、酒見さんの本領発揮でもあります。張飛の戦闘の場面などは、まるでコンピュータゲームが目の前で繰り広げられているようでした。とにもかくにも酒見版三国志はこれからも、何が飛び出すのかわからない未知の世界です。

  • 特定の年代または特定の属性の人なら抱腹絶倒に違いない、三国志解体本。
    この第二部では、アニメなど、わからない人も多いと思われるネタがかなりあったため(私もよくわからなかった)、正直ちょっと引く部分もあった。しかし、決してそれだけではなく、正史や演義の記述をあえて馬鹿正直に再現して目茶苦茶な怪奇超常現象状態に成り果てたり、さまざまな傍証から鋭いツッコミを加えたりする手腕は、あいかわらず冴え渡っており、また、呉の内情の現代風(?)アレンジなど、想像力あふれる解説手法も健在。まだまだ赤壁までも達しないが、気長に、できる限り先まで続くことを願ってやまない。

  • ・後宮小説以来の面白さ
    ・歴史小説というより時代小説

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