| ブログで紹介する» |
|
Check |
|
|
この作品からのみんなの引用
-
モンスターの活動は人間が解錠する。このことについてはおそらくハリウッド映画関係者は全員が了解しています。しかし、ゴーストそのものが人間自身の欲望の代理的表象であり、その出現を人間は激しく欲望していたのである、というところまで踏み込んだ物語は『ゴーストバスターズ』をもって嚆矢とします。アメリカ映画ははじめてトラウマの本質に触れた、という意味ではこれは歴史的傑作と名付けるべき映画でしょう。
― 161ページ -
「家族の誰かが行方不明になる」「主人公はその探索を命じられる」「贈与者が呪具を与える」「呪具を利用して移動する」「悪者と戦う」「主人公の偽物が現れる」…などなどです。これはロシアの民話の構造分析ですが、いまどきの子どもたちがやっているダンジョンズ&ドラゴンズ系のRPGの物語設定は今でもプロップが採集した民話とほとんど同一の構造を保っています。
― 27ページ -
解釈者の仕事は「パスする」ことです。[...]
解釈者がもし「物語の最終的な真理」を発見したと思い込んだら、ゲームはもう終わりです。そのような解釈者は、ボールゲームの最中にボールを抱え込んで、そのままグラウンドに座り込んで、試合が終わって観客が帰ったあとも、まだボールを手放さないプレイヤーと同じように愚かです。
― 145ページ
みんなの感想・レビュー・書評
映画の構造、物語の構造にパターンがあり、有限であるというのは、人間が生物学的条件に制約されているからなのではないかと思った。
脳や記憶の処理の仕方を「抽出」しているような感覚だと思う。
だから夢や神話、精神病患者の戯言が類似したり、どんな物語も、構造を持ち、分析されうる対象になり、そこに現代思想を見いだしたりできるのではないかと思う。
作者(大勢の作りて)が意図しないものがフロイトやフーコーを忠実になぞることは、あり得ることだし、近所の子供の創作お話レベルでも、それはあり得ることではないかと思う。
エイリアンやゴーストバスターズなどのハリウッド娯楽映画にも、実は根底に哲学的テーマがあった…という実に面白い内容。今後ますますひねくれた映画の見方をしそうだ
映画を現代思想で構造分析する。「エイリアン」「大脱走」などの映画は、いろいろな見方ができる。現代思想家の立場で分析すると、例えば「エイリアン」には秩序と混沌が並立した首尾一貫したテーマがあると言う。制作者が意図したかどうかは解らないけれど、見る立場の解釈はその人の考え方で判断するので、著者にはそう見えるのだろう。この本を読んでみて、納得できる部分と解らない部分が併存していて、頭の中が混沌としてきた。映画がストーリーが面白ければ良いというレベルであれば、こんな小難しい本は読まなくても良いと思う。映画を見て、さらに現代思想を知りたいのであれば、読んでみる価値があるかもしれない。
映画を題材にした現代思想の入門書。
第一章でラカンの欲望論、バルトのテクスト論、フロイトの精神分析が解説される。(あとフーコーも)
第二章では、フーコー「言葉と物」で語られるベラスケスの「侍女たち」を再解釈する。題材はヒッチコックの「裏窓」と小津安二郎の「秋刀魚の味」で描かれる四人目の会席者と第四の壁という概念。
第三章はアメリカのハリウッド映画、特に西部劇を取り上げアメリカのミソジニー(女性嫌悪のイデオロギー)理解を説明。
全体的にスラスラ読めて内容も分かりやすかった。
物語が「物語」たりえるのは構造があるからである。話をつくるための枠組みをレヴィストロースは「構造」と名づけたのだった。そして実はその構造の種類とは意外と少なく有限である。ストーリーラインはパターン化されていて、多くの物語はその反復に過ぎない。バルトにいわせれば、これは「私たちの精神の本質的な貧しさ」ということになろう。といって物語そのものが貧しいということにはならない。なぜなら有限の構造の組合せ... 続きを読む »
映画を元に現代思想を学ぼうという趣旨の本。なかなか面白かった。
いくつかの概念をインプットできた。
その中の一つがマクガフィンという概念。マクガフィンとは「それが存在すること、それが何であるかという同定を忌避することで、物語の中枢を占め、人々を支配されている装置」のことをいう。例として挙げられるのがスパイ映画での「人々が命がけで奪い合うもの」。
他に気になったキーワードは実定的な抵抗感、欠性的な抵抗感。
「何を意味するのかよくわからないものが映り込んでいるというのが映画の魅力」「意味の亀裂がある部分こそ、人間は解釈をしたくなる」など色々なるほどなという主張が散見された。もう一度読みたい映画論。
副題 ハリウッド映画で学べる現代思想 副題が示す通り、これは映画評論ではなく、思想論なので、なかなか歯応えのある本でした。集中して読まないと、頭に入ってっこないし、理路がわからなくなる。 内田さんの文章の読みやすさは、極めてロジカルで、随所に喩え話を交えることで成り立っている。 この本では、その喩え話が映画に固定されているわけで、その映画を知らないと、話がわからない(笑)。 ... 続きを読む »
映画が、見たくなりました。(実際借りてきました)
分かんない言葉は調べつつ読みました。
(なんとか解ったかもしれません)
自分が普段ほとんどしないことをしたくなった、
という意味でとても面白い本でした。
いっぷう変わった映画評。映画を通じて現代思想を紐解こうという試みは、興味深くもあるがこじつけに思える部分もある。筆者自らが述べているように、これはひとつの(しかもかなり変わった)見方にすぎない。が、その論理の展開が面白い。娯楽映画に隠された(?)メッセージをこんな風に読み解けるとはまったく想像もせきなかった。とりあえず、もう一度この映画たちを観なくては。
文庫本になってやっと読んでみました。
内田さんの書かれている物はなんでも好きでわりとよく読みます。
昔の映画も好きなのでこの本はとても面白かったです。
ただ、ヒッチコックの「裏窓」という映画のくだりでフーコーなど登場するとちょっと難解でつまづきました。
面白かったのは「エイリアン」の章。
「エイリアン」は以前に何度も観たのでとても分かりやすく・・・
いえ、というより実はそういうお話だったの??と、ちょっとびっくりしました。
ジェンダーフリーというのはいかにもアメリカ人が好きそうなテーマですよね。
あらためて、映画って深いと思いました。
内田さんは何度も何度もおさらいのようにラカンやフロイトのことを説明してくれてとても分かり易い。
それに合わせて映画と照らし合わせてくれてくらるから尚更分かり易い。
エイリアンのリプリーが猫を取りに行くシーンがずっと疑問だったが、なんとなくわかったかな。
ここでとりあげられている映画を見たくなった。
特に興味深かったのは第3章の「アメリカの男はアメリカの女が嫌い」である文化についての考察。
「アメリカ」というのは昔からなんとなく子供の時からひっかかる国(言葉?)なのである。自分の違和感がどこから来ているのかの一つの切り口になったら面白い。
う〜ん、やっぱり深読み・こじつけが過ぎるんじゃないの?と思ってしまう。
「エイリアン」については私は甚だ疑問で、「裏窓」についてはナルホドねえ〜と面白かった。
相変わらずのウチダ節。
でも、なんでもありのブログ本と違って、映画を題材にした現代思想の解説本と、テーマが絞ってあるので、こちらも集中して読めました。
ふつうの解説本なら途中で投げ出したくなるような難しい言葉を、一見易しい言葉で説明してくれているので、最後まで一気に読み通すことができました。ホントに分かったのか、と言われると、心もとないですけど。
映画をこのように見ることができると、楽しみが倍増するでしょうね。
【自分のための読書メモ】
作者曰く、「この本の目的は、・・・みんなが見ている映画を分析することを通じて、ラカンやフーコーやバルトの難解なる術語をわかりやすく説明する」ことにあるとのこと。たしかに、この本は二度おいしい。読めば、現代思想のいいところを総ざらい的に理解できるのだから。
かといって、映画の分析が面白くないかといったら、これが目からウロコ。ホントに『エイリアン』や『ゴーストバスターズ』がうまいこと料理されてます。『エイリアン』から、フェミニスト的主題が切り取られていたのにはびっくり。
結びつきそうにないものを結びつけるのが人文学の醍醐味ですよね。
取り上げられている映画の中で、知らないものがいくつかあったため、知っているものが取り上げられている章と比べて、理解に差が出た。
エイリアンとかゴーストバスターズとか、また見たくなったってことは、内田先生にまんまとやられたことになる。
アメリカンミソジニーについて書かれた、最後の章は、映画を知らない割にスラスラ読めた。
柔和で喉越しのいい文章だ。
その映画には、一体どんな意味があるのか。その意味から、現代思想を読み解いてゆくという、現代思想の入門書。
心に残る映画は、その当時の思想が深く根を降ろしていることを、有名な映画を思い出しながら辿ってゆける。あのシーン・映画にはこういう意図があったのか、と読みながら懐かしさが少しこみ上げてくる。
心に残る映画とは、思想の根底から土台を作り上げ成り立っていると思った。その思想を、映画監督は意識的/無意識的に演出として映画にし、思想家は分析して論じる。このアウトプットの違いはあるが、この二つの道を上手く結びつけて、本書は現代思想を丁寧に論じている。
読もう読もうと思っていた本だが、丁度文庫化されて有り難かった。ただ結論から云うと、個人的に映画の構造分析自体にはあまり興味が湧かないのであったw。ま、この本自体は映画をサカナにして構造論を語ったものである、ということなのだけどね。でもそれ以外の部分におっ、と思わされる、さすが内田樹という記述がちらほら。
「ハリウッド映画」というものが、どういうものか分かっていないにもかかわらず、「ハリウッド映画」を語る本を読み、映画を観ていました。そのため、分かりやすい「ハリウッド映画」の入門書を探していました。
まさに、まさに、読みたかった本だった。映画の見方が変わる本。
現代思想を映画を通じて学ぶという本。映画にながれる現代思想を分析する手法はよくあり、ヒッチコックなどよく取り上げられるが、ゴーストバスターズまで、でてくるとは思わなかった。よく覚えていない映画もあり、その映画を見てから改めて読み直してみたい。

能弁な人がうらやましい。





