キネマの神様 (文春文庫 は 40-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167801335

感想・レビュー・書評

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  • 感動した。
    歩の父親を想う気持ち、父親ゴウの友人たちに対する想い。
    切ないけど、やはり根底に温かさがあった。

    一度、図書館で借りて読んだ本ではあったけれども、再読してまた感動した。
    ゴウとローズバッドとの掛け合いも読んでて、とっても楽しかった。

    これを志村けんさんが演じる予定だったということもとても楽しみにしていた。。
    しかし昨今のコロナにより志村さんが亡くなり、観れなくなったのはとても切ない。
    どうか、コロナが収束してこのお話の映画が観られるようになることを祈って。

  • いろんな愛にあふれた物語。

    ギャンブル依存症のダメダメなお父さんと、それを信じて支える人たち。
    テラシンとの長年の付き合いやからこその阿吽の呼吸で織りなす友情。
    ローズ・バッドとの言語や国境を超えた、刺激的でありながらお互いを認め称え合う友情。
    「映友」社員のゴウちゃんの描く文章への信頼。
    心を鬼にして父の更生を願い、支える家族愛。
    そして何よりも登場人物全員の映画愛。

    こんなにうまく行くことなんかないよ。と思いながらもキネマの神様を信じたくなる。

    名画座に行きたくなった。


    で、どうでもいい話なんですけど。
    あ、この下めっちゃネタバレです。

    話の中にいっぱい映画の名前がでてくるんやけど、ニューシネマパラダイスがすごく気になって、映画見て大号泣。
    ほんと最高な映画でもっかいお父さんと歩の感想を見返してまた浸った。
    で、この時点で半分くらいしかまだ読んでなくて。
    別日に残り半分読むのになんとなくニューシネマパラダイスのサントラかけながら読んでたら、ラストがまさかのニューシネマパラダイスで。音楽も相まってまたほろほろ涙が。
    本当に映画っていいなぁと。

    この結末知らずしての私のナイスチョイスを誰がに話したくて。。。
    この読み方をおすすめしたいけど、おすすめしたらネタバレになるし。
    まあ最後ニューシネマパラダイスかなとは思いつつやったけど、それでも結末知って読むんじゃ感動半減。
    奇跡的にしか出会えない組み合わせだった。
    やったー。らっきー。

  • 読み終わった後、とても清々しくて勇気が出る本。
    80過ぎの老人が映画の批評を通して、国籍も言葉も超越して心を通わせて友達になるなんて、素敵!
    純粋に映画が好きで好きでたまらない、それだけで強く深く繋がる登場人物たちがなぜかとても身近に、そしてとても愛おしくなる。
    今回は映画をめぐる話だったけれど、好きなことをただただ好きで好きで実直に何なら前のめりで、食い気味に!向き合うことって、気恥ずかしかったり少し怠けてしまったり、当たり前に出来るようで中々出来ない。
    それを主人公のお父さんをはじめ周りの人も皆、苦しみながらもがきながら手探りでも自分の心に素直に、逞しく生き抜いていく姿に元気づけられた。

  • 読んでる最中、そして読み終わった後も凄く意識したのは 三浦しをんさんの『舟を編む』のイメージ。登場人物一人ひとりの人物像が丁寧にきちんと描かれていて、笑いあり涙あり、家族、そして同じものを愛し求め、志す仲間っていいなと素直に感動できる点で重なりました。
    しをんさんのは辞書作りを軸に、こちらはずばり映画です。

    「この世に映画がある限り、人々は映画館に出かけて行くだろう。家族と、友人と、恋人と。ひとり涙したい時はひとりぼっちで… 」
    映画愛に満ちたこのセンテンスに深く頷けました。日本のゴウちゃんとアメリカのローズバット、この二人の一つの映画作品を語り合う熱いバトルの一端と、次第にお互いの胸の内を明かし思い遣る親友へ、やがてローズバットの正体が明かされ・・・の展開が小刻みよく楽しめました。半世紀以上も映画をスクリーンで観てきた2人だからこそ、分かち合える境地、そして人生の年輪に刻まれてきたであろう数々の作品への敬意が感じられたのが良かったですし、それを若い人達が公開ブログとして技術面でサポートして広めていけたのが気持ち良かった。そう、、彼等だけではなく、幾つもの人間のドラマがこの本にはあって、それぞれの心境が率直に読み手に伝わってくるのも読後感が爽やかな気持ちで満たされた理由だと思いました。
    観た作品は勿論のこと、未鑑賞のものチエック入りました(笑)私も大好きな作品をこんな風に語ってもらえて嬉しかったです❀*

  • 人の温かさに溢れた本だった。
    家族と改めて向き合ったり、ありがたみを噛みしめるきっかけになったし、親の背中の表情の描き方に泣かされた。
    何より驚愕したのは、当たり前だけど、ゴウちゃんとローズバット、それぞれのレビューをマハさんが一人で書いていること…本当にすごい方だ…
    そして、片桐はいりさんの解説がとても良かった!
    はいりさんの本も気になったなぁ。
    恥ずかしながら、この本に出てくる映画で見たことない作品がいくつもあったので、まずはそれを見て、またこの本に戻ってこようと思います。
    電車の中で涙をこらえるのが大変だったけど、すごく温かい気持ちにさせてくれました。
    そして、就職してから疎遠になってしまっているけれど、映画館で映画を観るという醍醐味を存分に味わせてくれました。誰が、映画をDVDで観る前提で作るだろうか。って本当にその通りだと思いたいし、そうやって色んな映画を、映画館という空間で観ることを大切にしていきたい。

  • トルコ往復の飛行機内で読了。
    ブクログ評価が高かったので気になっていたが、納得。

    好きな映画を見て、自分の感想や想いを綴って、それが大きな広がりとなって、友人を得て、世界にも影響を与える。
    皆がそんなことを望んでブクログに書いている訳ではないけど、それでも同じ感想を綴る身としては、心躍る展開にページが進んでしまう。

    ただただ純粋に心温まる、大人の絵本の様な雰囲気だった。
    映画にしろ、本にしろ、特別な強い愛情というのは心に響くものだなと思う。

    言葉や文章を魅力的に表現できる人には、やっぱり憧れる。
    上手じゃなくても、ストレートに人の気持ちに入り込める、そんな文章をいつか書けるようになりたい。

  • マハさん初読みで、はじめはラノベっぽい感じかなと思っていた。
    歩が映友社に就職したあたりから、意外な展開の連続で話に引き込まれる。

    キネマの神様の思し召しにより必然に出会ったゴウとローズ・バッド。
    HPでの文通のような書き込みのやりとりで、
    議論を闘わせながらも友情が育まれる様子が微笑ましく
    暖かい気持ちになる。

    ラストではゴウの隣に、少年のような表情で食い入る様にスクリーンを見つめるローズ・バッド、
    そしてこの名画のクライマックスシーンが胸に去来し、思いがけず涙が....。

    愛する人と同じ空間で好きな映画を見て感動を共有する、
    そんな普通の幸せに改めて気付かされた。
    読書好きとして、映画ファンとして最高に楽しめる作品だった。

  • 映画を観るって素敵なことだ・・・、と改めて感じさせてくれた【キネマの神様】

    原田マハさん、今度は映画の世界にいざなってくれました。

    「あなたの人生最高の映画は何ですか?」
    そう尋ねられたらどう答えますか?

    【キネマの神様】を読んで、私の答えは変わりました!
    それは・・・

    この本を既に読まれた方の中にも、答えが変わった方がいらっしゃるのでは・・・?
    ふとそんなふうに思ってしまいました。

  • 一端の映画好きとして読んで良かったです。

    映画を通じて人々が繋がる話
    といえばそれまでですが、その絡み合いが良い。

    「ローズバッド」の元ネタがわかって嬉しい自分と、「その映画知らない」となって悔しい自分がいたり。
    とりあえず『ニューシネマパラダイス』と『フィールドオブドリームス』を観てた自分を褒めたい。

    ゴウちゃんとローズバッドほどの論争はしないまでも、観た映画について逐一、面白かった、つまんなかったって言い合える友だちがいることに感謝。

  • 面白かったー!
    ストーリーのテンポも凄く良く、
    えっ?ええっ?そんな展開になっちゃうの??
    ドラマチック?だけど、無理のない展開であり、違和感なくすんなり受け入れられ、するする読めた。
    原田マハさんは、美術系以外はあまり期待していなかっただけに(失礼)これはやられたー!
    本筋とは違うけど、こんなお父さん…私だったら、即離婚しちゃうよー!と思うのに、なんだかんだ文句言いつつも支えるお母さんの深い愛に感動。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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