萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫 よ 31-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 2119
感想 : 299
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167813017

作品紹介・あらすじ

観音さまが見下ろす街で、コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む気丈なおばあさん、杉浦草。人々を温かく見守り続ける彼女は、無料のコーヒーを目当てに訪れる常連たちとの会話がきっかけで、街で起きた小さな事件の存在に気づく。オール讀物推理小説新人賞受賞のデビュー作を含む「日常の謎」を解く連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • ”月夜の羊”がブクログのタイムラインで出会った本。珈琲屋という言葉に惹かれた。シリーズもののようでシリーズ第9弾。

    *「紅雲町ものがたり」(2008年刊)の改題

    では、第1弾を読んでみよう。
    草さんの周りのアレコレ。草さんのお店は珈琲豆と器のお店。いくつかお話があったけれど、幼馴染の大谷さんとの話が印書的。彼女さんの骨の話とか。クワバラ、クワバラは、読み終わって、確かに「クワバラ、クワバラ」だと自分も思った。

    間違えて2弾にコメントしてた(汗)

  • '23年5月26日、Amazon Audibleで、聴き終えました。吉永南央さんの小説、初です。全く知らない作家さん、でした。

    Audibleのサマリーによると、「宮部みゆきさんら、選考委員が絶賛してオール読物推理小説新人賞を受賞した、吉永南央さんのデビュー作」だそうで…。

    こころあたたまる、良いお話でした。最終話の表題作が、一番良かったです。ラスト、萩を揺らす雨が、草おばあちゃんが心のなかで流す涙のようで…グッときました。ただ…

    作品とは関係ないけど、これって、ミステリー?Audibleのサマリーには「日常の謎ミステリー」となってましたが…基本的におばあちゃんが謎を解くのは、第一話のみ、のような…╮⁠(⁠╯⁠_⁠╰⁠)⁠╭

  • 76歳のおばあちゃんが主人公の探偵物。
    安楽椅子探偵とは違い、なかなかの行動派。
    でも年齢による辛さなど、深い人間味があって物語に深みがある。
    続きも出版されているようなので、そちらも読もうと思います。

  • おばあちゃん探偵と言って思い浮かぶのは、アガサ・クリスティの「ミス・マープル」ですが・・・
    この本のおばあちゃん探偵・杉浦草76歳。
    ほのぼのミステリーかと思いきや・・・
    なんだろ、今までにない感じ。
    と言うのも、主人公は徘徊しているのかと間違われたり・・・
    随所に歳をとるという現実をつきつけられるのです。
    それでも前向きに生きているお草さんの姿は切ないときもあるけれど、好きです。

    • honno-遊民さん
      「今までにない感じ」のミステリーですか。この著者の作品は未読ですが、今度読んでみます。
      「今までにない感じ」のミステリーですか。この著者の作品は未読ですが、今度読んでみます。
      2014/01/12
    • azu-azumyさん
      hongho-遊民さん
      コメントありがとうございます。
      今までにない感じ、と言うのは「老い」を考えさせられるミステリーといったところ...
      hongho-遊民さん
      コメントありがとうございます。
      今までにない感じ、と言うのは「老い」を考えさせられるミステリーといったところです。
      一人暮らしの老人の切なさを随所で感じさせられます。
      こんなミステリー、今までになかったと思うのですが・・・
      2014/01/12
    • honno-遊民さん
      「『老い』を考えさせられる」!私にピッタリだ(笑)さっそく読みます。
      「『老い』を考えさせられる」!私にピッタリだ(笑)さっそく読みます。
      2014/01/15
  • 気丈なおばあさん・草(そう)さんの事件帖1作目。短編連作です。

    紅雲町(こううんちょう)は、丘の上の観音様が見下ろす田舎町。
    和食器とコーヒー豆の店「小蔵屋」は古民家風の造り。
    今は数えで76歳の杉浦草が、65歳のときに思い立って改装したものだ。
    もともと同じ屋号の店は祖父が始め、両親が何でもある雑貨屋を営んでいた。
    29歳で離婚して実家に戻り、家業を手伝っていたが、両親もなくなって久しく、人生の最後に好きなことをしてみようと賭に出たのだ。
    コーヒー一杯は無料で試飲出来るようにしたため、それ目当てのお客さんも多い。
    店員の森野久美は27歳。若いときはスキーの選手だったというがっしり型で、頼りになる明るい娘だ。

    常連のお客さんが喋っているのを聞いて、おかしな事が起きているのではと心配した草は、マンションが建っている通りの様子を見に、何度も散歩に行くようになる。
    階上の主婦が話していた~夫婦げんかが絶えない家で、大きな物音がしたという話。
    女の子達が話していた~窓に張り付いた手が見えたという話。
    それが同じ家だとするならば…
    草は警官に不審尋問され、徘徊と誤解されたと気づいて、失礼なと大声をあげる。「そう興奮しないで」となだめられ、その時のことが評判になってしまう。
    しかし…
    空き巣狙いと出くわしたことからの意外な解決と、たくましい行動力、そして草の過去に秘められた悔恨…

    表題作は、幼なじみの男性・大谷清治から数年ぶりの電話。
    おしゃれな着物に着替えようとした草は、途中で気持ちを変える。
    清治のかっての恋人・鈴子が死んだという。
    清治は両親を亡くして大谷家の養子に入り、議員となった男。
    妻子ある身で初めて恋したのが若い鈴子だった。
    その話を初めて聞かされたとき、草は自分の気持ちに気づいたが、女として見られていないことにも気づいて、口には出せないまま。
    親に結婚を猛反対されて鈴子は他の男性に嫁いだが、夫の子として生み育てた清史はじつは清治の子。
    出来れば引き取るか援助したいという意向を伝えるが、清史にその気はなかった…
    清史が何かの事件に巻き込まれていると気づいた草は?!

    人生にありそうな幾つかの難題が、現実的な重みを感じさせます。
    解決出来ることも出来ないこともありつつ、何かしら手は貸せる。
    過去に悲しみを背負った草が、温かい目で人々を見つめながら、ぴんしゃんと生きていく。
    年月を重ねて着こなした着物のように、さらりとした感触が心地良い。
    単行本は2008年発行。

    • sanaさん
      nyancomaruさん、
      年を取るのを忘れたような人もいますよね!

      >元気だからこそ、余裕を見せて色々若い人に譲って貰いたい。←複...
      nyancomaruさん、
      年を取るのを忘れたような人もいますよね!

      >元気だからこそ、余裕を見せて色々若い人に譲って貰いたい。←複雑な心境です。

      あはは、何かあったんですかー?
      この作品の場合には、他の人に出来ない役に立っている人なので、そういう問題はないと思われますが。

      時と場合にもよりますか…
      現実には、年をとって判断力が衰えたのに~だんだん頑固になるっていうのもあります。
      これはなかなか難しい所!?
      柔軟さが大事かも☆
      2012/09/14
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「あはは、何かあったんですかー?」
      一昨年の話だ、、、何かあったのかなぁ~珈琲飲んで落ち着こう。。。
      「あはは、何かあったんですかー?」
      一昨年の話だ、、、何かあったのかなぁ~珈琲飲んで落ち着こう。。。
      2014/03/05
    • sanaさん
      nyancomaruさん、
      こんばんは☆お久しぶりです~☆
      何のコメントかと思いました~^o^/
      まあ忘れたぐらいなら、いいのかも?♪
      nyancomaruさん、
      こんばんは☆お久しぶりです~☆
      何のコメントかと思いました~^o^/
      まあ忘れたぐらいなら、いいのかも?♪
      2014/03/05
  • 続編は70代になって元気だったら読みます

  • オール讀物2004年11月号:紅雲町のお草、2006年10月号:萩を揺らす雨、2007年7月号:クワバラ,クワバラ、書き下ろし:0と1の間、悪い男、の5つの連作短編を2008年1月文藝春秋から「紅雲町ものがたり」として刊行。改題して、2011年4月文春文庫化。シリーズ1作目。76歳のおばあちゃん探偵という紹介とシリーズ化が面白そうなので、1作目を読んで見ました。イヤミス系かな思える話が多く、後味は重かったです。

  • 初の吉永南央作品。
    私も、表紙の可愛らしい絵に騙された一人。

    主人公は、コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む76歳のお婆ちゃん、杉浦草。

    お店を訪れる常連客達との会話がきっかけで気付く小さな事件。

    連作短編集であるが、読みやすい文章の中に見えるのは、明るい笑いに隠れて、幼児虐待や老人介護などの現実。
    辛い描写もあるので、ほのぼのお婆ちゃんミステリ-物とは、一概に紹介出来ない。その分、意外と読みごたえありなので、幅広い年齢の方々も楽しめる筈。

    続編もあと二冊あるので、全部読んでみたいな♪

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「可愛らしい絵に騙された一人。」
      ですよね、、、私もです。
      でも、草の人柄に惚れて読んでます。。。
      「可愛らしい絵に騙された一人。」
      ですよね、、、私もです。
      でも、草の人柄に惚れて読んでます。。。
      2013/04/24
    • さちろーさん
      コメント、ありがとうございます(^o^)v

      私も草さんは人生の先輩として、とても魅力を感じてます。

      表題作の「萩を揺らす雨」のお...
      コメント、ありがとうございます(^o^)v

      私も草さんは人生の先輩として、とても魅力を感じてます。

      表題作の「萩を揺らす雨」のお話は、想いを隠しての行動が切なかったです。

      私も、草さんみたいなお婆ちゃんになりたいけど、今のところ共通点は、美味しい珈琲をハンドドリップでいれられる事くらいかな。
      2013/04/24
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「美味しい珈琲をハンドドリップでいれられる」
      それは、とっても素晴しいコトです!
      「美味しい珈琲をハンドドリップでいれられる」
      それは、とっても素晴しいコトです!
      2013/04/26
  • コーヒー豆と和食器の店「小倉屋」のお草さん(76歳)が主人公の探偵物。6つの短編が収められている。

    主人公がおばあちゃん探偵なので、いわゆる「安楽椅子もの」と思いきや、行動力もなかなかで、老人虐待の疑いがあるマンションの近くを調査したり(紅雲町のお草)、犯罪グループの逮捕劇に一枚かんだりする(萩を揺らす雨)。

    だからといって、非現実的で完全無欠なスーパーおばぁちゃんではない。
    調査中にボケ徘徊老人と間違われて激しく落ち込んだり(紅雲町のお草)、近所に越してきた男が店に毎日来て長時間居座るのに心乱されたり(0と1の間)、幼馴染の男に対してずっと淡い恋心を抱き続けていたり(萩を揺らす雨)する。
    76歳のおばぁちゃんだと枯れていて、多少のことには心乱されたりしない、恋愛なんてもうずっと以前に卒業。。。。などといったイメージを我々は持ちたがるが、実際はそんなステロタイプで説明できるほどシンプルではないはずだ。20代のころ50歳過ぎの人を見て、やたら落ち着いた、老成した年代に見えたが、自分がその年代になって、ちっとも落ち着いていなく老成もしていないことに気づく。
    そういう意味では、お草さんの人物設定は、現代を反映してリアルなのだろう。

    続作を読んでみたい作品だ。

  • お草さんは、七十代の女性。小さな珈琲豆と和雑貨を扱うお店の主人。その店では珈琲の試飲も楽しめる、ちょっとした喫茶店のようなスペースもあり、毎日結構な数の老若男女が訪れる。さまざまな問題を抱えて、、、。お草さんの視線がいつも優しくて温か。私もぜひ行ってみたい。

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著者プロフィール

1964年、埼玉県生まれ。群馬県立女子大学文学部美学美術史学科卒業。2004年、「紅雲町のお草」で第43回オール讀物推理小説新人賞を受賞。著書に「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズ『誘う森』『蒼い翅』『キッズ・タクシー』がある。

「2018年 『Fの記憶 ―中谷君と私― 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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