- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167817015
感想・レビュー・書評
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私の本棚の著者登録者1位は辻村深月さんです。はやく全作品読んで、さらに再読したい作品がいくつもあるのに、現実は年に4〜5冊ペースですね(´._.`)時間が足りません。
小さな世界で、もがく少年少女には誰もがフラッシュバックするものが大なり小なりあるのではないだろうか。
宮下奈都さんのあとがきに、「辻村深月を読むのにいちばんいいのはいつなんだろう。」とある。私は今作を読んでも、鏡の孤城や凍りのくじらを読んでも、10代の時に出会いたかったと感じたが、宮下奈都さんは最後に、「答は、今、だ。辻村深月はいつも今読むのがいちばいい。ただし、覚悟を決めて。相当翻弄されるのは間違いないから。」と締めている。すごくしっくりきた。30代の私が今読んでも、しっかり辻村深月の文章に翻弄されている。改めて素敵な作家さんだなと思う。
「自殺も、死者との邂逅も、ない。それでも胸をかき乱す物語が目の前に立ち現れてくる。覚えがありすぎて、目を伏せたくなるような思春期の少年少女たち。彼ら彼女らの言動がいちいち身につまされて、どんどん動悸が激しくなってくる。しかし、おや、と思う。あるはずの《覚え》が、ない。私自身の高校時代にこれほどドラマティックな出来事があったか。ない。覚えなんてない。ないのに、わかる。覚えがあったような錯覚に陥っている。(あとがきより)」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「あの、自意識の針に肌を撫でられるような時期はとうに過ぎ去ったとばかり思っていた。」
とりあえずの読んだ感想は、
辻村さん、こんなに人間への解像度が高いと生きるの辛そうだな、でした笑
刺さるセリフが多すぎて、読むたびいちいち立ち止まって考えなきゃだったから読むの時間かかった。
しかも、辻村トリックも用意されてるので、2回読んでようやく物語の全体像が掴めた、、
自分はちょうど、辻村さんがこの作品を書いた28なので、辻村さんが自分と同じ歳の時どんなことを考えていたのかを少し窺い知ることができたような気がする。
読んでる間はひたすらしんどいけど、最後には救いがある。いつまでも終わらない自意識との戦いに、そっと助言をくれる本でした。 -
あの思春期の生きづらかった思いが
未だ自分の心の奥底に
根強くあることに気付かされる -
やっぱりこの作品も最高でした!想像もしてなくて、分かった瞬間びっくりしました!もし、「途中まであるから、結末だけ書いてね」と言われても、私はこんな驚く結末は書けません。むしろ、結末も思いつかないかもしれません。こんなすごい話を書けるなんて、辻村さん天才!
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どの辻村作品よりも人間が描かれている。とてつもない傑作。
学校や職場、コミュニティ内のヒエラルキーに翻弄される人間たちの愚かさを描きつつも、最後にはとんでもない優しさで包め込んで大団円を迎える。
人に後ろ指を指されようと、恥を晒して生きていけばいいじゃない、と背中を押してくれる作品。 -
殺人も失踪も誘拐も立て篭もりも歌舞伎町封鎖事件も起こらない…でもこの濃密さで読む手止まらずあっという間の読了です。
人の数だけドラマがある…辻村さんの人間らしい生々しい心の描写に時間を忘れました。登場人物一人一人に「お疲れ様でした」