三匹のおっさん (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
4.14
  • (2004)
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  • / ISBN・EAN: 9784167831011

感想・レビュー・書評

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  • 有川さんを読もう集中企画
    絶賛開催中〜(笑)

    昭和のホームドラマが好きな自分には
    かなりツボな内容でした♪


    自宅で剣道場を開く
    還暦を迎えた
    清田清一(キヨ)。

    居酒屋を営んできた柔道の達人、
    立花重雄(シゲ)。

    そして脱サラして工場を切り盛りする機械のプロで、
    参謀役の有村則夫(ノリ)。


    暇を持て余す
    そんな「三匹のおっさん」たちは、
    ボランティアで
    私設自警団を作ることに。

    犯人を捕まえても
    名を名乗らず去っていく様は
    まるで素浪人か
    映画「シェーン」のようだし、

    ひったくりや痴漢や強盗との対決は
    手に汗握る握る。
    (ノリのエレクトリカルパレ〜〜〜ドッ!には笑ったけど)


    裏拳にスタンガンに改造ハンドガンなど
    バイオレンスな展開の予感にヒヤッとさせといて、
    「水戸黄門」のごとく
    痛快な活劇を観ているように
    スカッとさせてくれる。

    やっぱ有川さん、
    無駄な血を流したりはしないし、

    甘ったれた親、二世帯住宅、定年問題など
    日本が抱える家族の問題を同時に描いていて、

    どんな物語を書いても
    最後には必ず
    希望の光を見せてくれるのは
    さすがです。


    そして清一と
    孫の祐希との間に生まれる
    見えない絆。

    祐希に教えられ
    ファッションに目覚めるキヨ爺さんが
    また可愛いのですよ(笑)


    男気に溢れ
    気遣いのできる、
    実はいい男の祐希と

    有村の娘で高校二年の
    今時珍しい孝行娘の早苗との
    淡い恋模様と成長がまた、
    恥ずかしげもなく
    青春菌を撒き散らし(笑)
    胸をきゅい〜んとさせてくれる。


    それにしても
    こういう家族を描いた小説を読むたびに思うのは、
    進化や便利を求める今の社会より
    本当に必要なのは
    「バック・トゥ・ザ・昭和」の精神なんよなぁ〜。

    昭和の時代のように
    親以外の
    大人と子供が触れ合える場所や時間を
    もっともっと作らなきゃ。


    社会のしきたりは勿論、
    大人にもいろいろなタイプがいて、
    色々な生き方があることを
    自然に学んでいける環境や社会って
    今こそ必要だって思いません?


    事件の陰に
    三匹のおっさんの活躍あり。

    自分も彼らに負けないような
    粋でカッコいい大人にならなきゃなぁ〜(^O^)

    • nobo0803さん
      円軌道の外さん

      こんにちは♫
      昭和のホームドラマ大好きです。
      この本は昭和のホームドラマを思い出させてくれますよね。
      で、ドラマ化されるん...
      円軌道の外さん

      こんにちは♫
      昭和のホームドラマ大好きです。
      この本は昭和のホームドラマを思い出させてくれますよね。
      で、ドラマ化されるんですよね!!
      うれしくもあり、不安でもあり・・ドラマ化されると「えぇ~っつ!!」と思わされることが多いんですよね(>_<)
      ぜひ、期待を裏切らないドラマになってほしいと願ってます。
      2013/08/25
    • 円軌道の外さん
      ゆりさん、コメントありがとうございます!

      お返事遅くなって
      申し訳ない(汗)(≧∇≦)


      ベタ甘な恋愛話が得意な有川さんやけ...
      ゆりさん、コメントありがとうございます!

      お返事遅くなって
      申し訳ない(汗)(≧∇≦)


      ベタ甘な恋愛話が得意な有川さんやけど(笑)、
      この作品は
      年代問わず楽しめる
      昭和のホームドラマのようなテイストで、
      主人公たちと同じ世代も楽しめる作品ですよね(^O^)

      今、家族団欒で楽しめるドラマがホンマ少ないので
      是非ともドラマ化して、
      カッコいいオヤジたちが増えていって欲しいなって思います(笑)

      2013/12/01
    • 円軌道の外さん
      nobo0803さん、
      コメントありがとうございます!

      お返事遅くなって
      申し訳ないっ(汗)(≧∇≦)


      つか、ホンマ...
      nobo0803さん、
      コメントありがとうございます!

      お返事遅くなって
      申し訳ないっ(汗)(≧∇≦)


      つか、ホンマにドラマ化されるんですか!?(汗)

      めちゃくちゃ観たいけど、
      もう終わっちゃってるんかな?(≧∇≦)

      もし見られたなら
      キャストが知りたいです!


      けど確かに
      最近安易な小説の映像化が多いので
      不安感ありありです(笑)(^_^;)
      (今放送中の「東京バンドワゴン」は結構お気に入りやけど笑)


      2013/12/01
  • このところ、たまたま偶然ではあるんだけれど、家族とかご近所とかの多世代を中心に据えた本を続けて読んでいると、うらやましいな・・と思っている自分に気づいて、はっとする。
    以前は自分の世代だけでこと足りる環境にいて、特に不自由なくやっていると思っていたんだけどね。
    そういう年齢になったということなのかな。


    剣道の達人で、定年後ゲームセンターの経理を担当する、キヨさん。
    居酒屋を息子夫婦に任せ、柔道家でもある、シゲさん。
    工場を営み機械の扱いが得意なノリさん。
    3人は、60歳を迎えた時間を持て余し気味。子どもの頃、「3匹の悪ガキ」と呼ばれていた彼らは、自分たちの住む町で起こる身の回りの事件に正義の味方として立ち上がることを決意する。

    キヨさんの家にはイマイチピリッとしない息子夫婦とその一人息子の祐希クン。これがまた、今どきの高校生で表向きはナマイキなんだけれど実は芯がすぅーっと通っている。キヨさんにだけはなかなか素直になれないんだけど。それでも内に抱いた素直さと聡いところが次第に見え隠れするようになり、急に大人びた言葉にキヨさんも意表をつかれることもしばしば。

    祖父母に対しては一目置いている祐希クンも、未だに娘時代を引きずり金銭感覚や大人としての振る舞いに欠ける母親と毅然とした態度のとれない父親に対してはかなり辛辣。

    祐希クンは大人に対する冷静な目を持ち、祖父母の姿から学んでいる様子で幅広い年齢層とのやりとりも好ましい。

    厳しくも温かいキヨさんや自作の機械で相手にダメージを与えるノリさんの活躍も華々しいが、無骨でありながら人の懐にするりと入っていけるシゲさんもいい味を出していて、バランスがいい。


    この1冊の最初と終わりとでは、キヨさんの家の祖父と孫、息子夫婦の姿に大きな変化が現れる(特に祐希クンの母親には注目したい)。きっと何も始めなかったのならば、何も変わらなかったのかもしれない。

    どこかでボタンを掛け違えたり、進んでいた道がずれてしまって関係性がぎこちなくなることは珍しくない。それでも変化を恐れずに一歩踏み出せば、絡まった糸がほぐれるように好転の兆しが見えてくるものなのかも・・・。

    有川さんの人々に向けたまなざしの温かさを感じる。人はきっかけがあれば良い方向に変化するもの。その人をあきらめることなく、より良く生きるための潜在能力を誰しも持ているのだと信じさせてくれる。

  • これは愉快痛快!続編の『ふたたび』を早く読みたい!

    我が娘に伝言。
    私も、赤いちゃんちゃんこは断固拒否するのでそのつもりで。

  • ドラマの再放送ではまり、小説を読んでみた。
    三匹最高、だいすき。

    私はもともと、有川さんのくだけた文体が苦手だったんだ。
    この本でも、キヨの孫ゆうきのくだけた口調が、最初は苦手だった。ドラマを見ていたのでゆうきのキャラはわかっていたのに苦手って・・・と、我ながら思うけど、なんとなく文章で読むと冷めてしまうのだ。
    しかし、読みすすめるうちに、ゆうきのくだけた口調の中に、彼の照れ、優しさ、悲しさなど色んな思いを感じられるようになっていった。
    そうしたら、そういう文体も全然苦手ではななくなった。むしろ、こういう文体だからこそ伝わるのではないかな、と思った。
    三匹のキャラクターも、話し口調、セリフのよって際立っている。

    時代劇をイメージして書いたという本作。
    時代劇といえば勧善懲悪。
    三匹も、ご近所にはびこる悪を成敗してくれる。スカッとする。
    そして、家族愛のお話でもある。第三話でシゲが妻に作り話を聞かせて、優しい言葉かけたところ、思わず涙。世の男性たちなら怒り狂う場面で、相手を気遣って作り話を聞かせるっていうのがさ、良いよね。シゲの優しさが染みた。

    ドラマは、ノリ役の志賀廣太郎さんがお亡くなりになって、続編が作られることはきっとないだろう。それくらい、三匹はこの3人しか考えられないっていう絶妙なキャストだった。
    小説は、「ふたたび」も読むつもり。
    今更読み出したにわか三匹ファンですが、もっと続編がほしい・・・!と願ってしまいます。

  • 1〜3話の勧善懲悪な話はオチが見えてしまう感あり、しかし4話以降は、色々な問題を掘り下げており、意外と深いストーリーだなと感じてます。
    特に4話と6話が非常に印象に残りました。

    特に6話なんて老人特有の問題じゃなくなってると私は思ってます…

    いずれ自分の周りにも三匹のおっさんが陰でこっそり動いてくれないかと期待してしまいます。

  • 有川浩の小説は物語によって世界観に入り込めたりダレちゃったりするけど、これは面白かった。

    評価が高いのも納得。
    するするーっと漫画みたいな感覚で読み終わってしまった。

    どの回も面白かったけど、個人的には重雄と登美子の回好きだなぁなんか。最後の下の会話がグッときた。

    清田清一はちょっと読みながら何回も噛んじゃった。

    あと、早苗ちゃんみたいな人が近くにいたらちょっとイライラしそう。
    でも潤子はいい仕事したと思う。嫌いじゃない。

    一番笑ったところは
    「則夫、エレクトリック・パレード」

  • “三匹のおっさん”達の活躍ぶりがいい感じ。登場人物たちも愛らしい。

  • 還暦ぐらいでジジイの箱に蹴り込まれてたまるか、と
    幼なじみの悪ガキ3人組が自警団を結成し、
    恐喝、動物虐待、詐欺、催眠商法などに立ち向かう。
    3人のうち、キヨこと清田清一は剣道の達人、
    シゲこと立花重雄は柔道の達人、
    ノリこと有村則夫は機械に強くて頭脳派。
    個性的な3人はジジイとか呼ばれるのは嫌う。
    おっさんと呼べと。
    この3人に、キヨの孫・祐希とノリの娘・早苗が加わり、
    事件が動く。

    痛快で楽しい、どこの地域にもいそうな人々だけど、
    ここまで活躍してくれると、
    老後の不安なんてちょっと吹き飛んじゃうね。
    有川浩さんの作品はいつも登場人物への愛情が
    満ちてて読んでいて爽やかです。
    特に第三話は故・児玉清さんも絶賛されていましたが、
    私も一番好きです。
    結婚詐欺の被害に合いそうになったシゲの奥さんに、
    ラストでの優しい言葉がぐっときます。
    こんな優しい解決のしかたがあったのかと、しびれます。

    第一話から順に読むと、
    始めの方は武闘派だったので、中高生向けの本なのかと
    その軽い雰囲気になめてかかっていたら、
    徐々に還暦のおっさんたちのふところの深さとか
    思慮深さにじわ〜っときて、
    軽いキャラの代表のような祐希の成長ぶりに
    にんまりとして、
    さすが有川浩さんだと、やられた〜って気分になります。

  • この「三匹のおっさん」は、初めまして──ではなく、私にとっては「三匹のおっさん ふたたび」なのだ。
    最初に続編の「ふたたび」のほうを読んでしまったので。

    でも、「三匹のおっさん ふたたび」のほうを最初に読んでいて良かったと思う。
    というのは、順当にこちらを最初に読んでいたら、貴子さんに対してあまり良いイメージを感じなかったような気がするからだ。
    この本に出てくる貴子さんは、全く空気の読めないあまりにもお嬢様育ちのわがまま奥さんのイメージが強すぎて好きになれない。
    だが「ふたたび」を読んだときは、けっこう健気な部分が書かれていたので、同情する気分が芽生えた。
    同じキャラクターでも、最初にどんなエピソードで表現されるかで、その人物の印象がかなり変わるのだとあらためて思った。

    六つのエピソードからなるこの小説。読んでいてとても楽しい。
    三匹のおっさんのキャラが見事だ。
    いい仲間たち。こんなおっさんになりたいものだ。
    特にこの作品では、「ノリさん」のキャラが際立って、愉快、愉快、ダイヤモンドユカイ(失礼)
    早苗ちゃんと祐希君の馴れ初めから発展していくまでの様子もようやく分かり、何とも微笑ましい。

    ──そんな場所。すぐ忘れさせてやる。
    と意を決して背伸びする早苗ちゃん。

    この年になっても胸がキュンとする場面だった。
    その様子にぶち切れるノリさんの逆上振りも、愛娘の早苗ちゃんに対するどうしようもない愛情として伝わってくる。
    とにかく面白く、楽しめる作品でした。
    今さらながら、有川浩さんに感服。
    これは、是非是非「三匹のおっさん みたび」、よたび、ごたび、ならぬシリーズ化して欲しい。
    それとも、もう新しい“三匹のおっさん”たちのエピソードは文藝春秋系列の何かの雑誌に掲載されているのだろうか。
    だとしたら、次作の発行を楽しみに待ちたい。
    下記の「三匹のおっさん」特設サイトには、まだ何の情報もないようだが、まめにチェックしてみよう。
    http://bunshun.jp/pick-up/3ossan/index.html

    最近、書いていても気が重いレビューが続いたので、久々に純粋に本を読む楽しさを感じられるレビューが書けて個人的にもうれしい。どうでもいいことですが。

    • koshoujiさん
      ダイヤモンド☆ユカイ
      と星が必要だったのですね。
      こりゃまた失礼いたしましたっ(ハナ肇)
      ふにゃ、ふにゃ、ふにゃあーーー……。
      古い...
      ダイヤモンド☆ユカイ
      と星が必要だったのですね。
      こりゃまた失礼いたしましたっ(ハナ肇)
      ふにゃ、ふにゃ、ふにゃあーーー……。
      古い!!シャボン玉ホリデーのオチです。
      ご存知でしょうか?
      2012/07/09
    • honaoさん
      そうそう。私も貴子さんについては、一作目ではあまり良い印象をもってなかったんです。でも“ふたたび”ではぐっと親近感アップしました。
      だって、...
      そうそう。私も貴子さんについては、一作目ではあまり良い印象をもってなかったんです。でも“ふたたび”ではぐっと親近感アップしました。
      だって、早苗ちゃんが息子(祐希くん)の彼女だと分かった時(=バレンタインデーのチョコレートの包装紙で気がついたけど)何も言わずそっと見守ることにしたでしょ。可愛い彼女をもつ息子を誇らしくさえ思ってる感じで…。微笑ましく映りました。

      私も“ふたたび”のほうが好きでした(*^_^*)
      2012/07/10
    • まろんさん
      シャボン玉ホリデーは残念ながら見たことないのですが
      「こりゃまた失礼いたしましたっ」っていうのは、見たことあるような。。。
      お正月の隠し芸大...
      シャボン玉ホリデーは残念ながら見たことないのですが
      「こりゃまた失礼いたしましたっ」っていうのは、見たことあるような。。。
      お正月の隠し芸大会とかに出てきましたよね?

      「ふたたび」は、図書館に予約中なのですが
      まだ予約待ちが20人以上なので
      いつ手許に届くことか。。。
      早くおかあさんらしい振る舞いができるようになった貴子さんが見たいです(笑)
      2012/07/11
  • なんてすごいおっさんたちでしょう。
    武道家2人に機械を触らせたら天下一品が1人。
    元々の同級生が還暦を迎え、地域限定の自警団結成。
    そこに孫や子供も織り交ぜて世間でありそうな事件?が起きます。
    ドタバタ感がとても良かった。

著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

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