終点のあの子 (文春文庫)

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著者 : 柚木麻子
  • 文藝春秋 (2012年4月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167832018

終点のあの子 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 柚木麻子さんと朝井リョウ君は仲の良いお友達。
    らしいのだ、どうも。
    二人のツイッターを読むと頻繁にお互いが登場してくる。
    馴れ初めは何だったのだろう?
    いやいや、そんなことはどうでもよい。
    でも、柚木さんの比喩は朝井君の比喩に雰囲気が似ている。
    朝井君のが切れ味鋭いアーミーナイフだすれば、柚木さんのは、少しやんわりとした果物ナイフというような違いはあるけれど。
    どちらも、比喩の表現はきらきらと光り輝いている。

    男子高出身の私には、本当のところは分かってないのかもしれないが、彼女のこの作品は高校女子の心の機微や切なさなどの心理描写が秀逸だ。
    登場人物が見事に女子女子しているのだ、みんな。
    女子高の子ってこんなに面倒くさいのかと分かったら、高校時代に付き合ったりしなくて良かったと思った。
    いや、それは嘘だが……。
    私たち男子高の男どもは、こんな些細なことで悩んだりしなかったよな、と遥か昔を振り返り思うのだが、それってひょっとして私だけだったのか?
    受験勉強と野球部の部活漬けで、ただひたすら家と高校往復の毎日だったので、他のことを考える余裕がない高校生活を送っていたからなのか?
    うーむ。今さらながら高校の同級生に聞いてみたい気分だ。

    ま、それはともかく、柚木麻子の文章は私の好みである。惚れた。
    噛み締めると酸っぱい檸檬のようなストーリーのタッチも独創的だ。
    本のタイトルの「終点のあの子」も、一作目の「フォアゲットミー、ノットブルー」もセンスが感じられる。
    そんなわけで、これから彼女の作品を何作か読んでいくことに決めた。
    大好きなお嬢様学校の出でもあることだし。
    恵泉女学院出身。まさに憧れの秘密の花園的雰囲気むんむんではないか。
    男なんて、そんな単純な生き物ですよ、はい。

  • 痛くて切なくて、熱っぽくて恥ずかしくて、懐かしくて苦しくて、自意識過剰で可愛くて。
    女子高校生の話です。

    狭い世界での一生懸命。
    タイプの違う女子高校生たちが、それぞれ自分の居場所を探して、もがく様子をリアルに。
    典型的なタイプのようで、ちょっとずつ意外な面も持っている。
    さわやか、というとちょっと違うけど、基本は前向き。甘さもないではない雰囲気。
    読後感も良いです。

    [追記]
    世田谷にあるプロテスタント系の私立女子校。
    最寄り駅はいつも何かの工事をしている。
    希代子と森ちゃんは、中学から進学した内部生で、真面目なタイプ。
    高校の入学式に、一人だけ制服を着ないで来た子がいた。
    奥沢朱里という子は、写真家の娘で帰国子女。
    どのグループにも属さず、気分次第で色々な子と一緒にいた。
    希代子は強く惹かれていくが…

    やや取り残された森奈津子は、校則では禁じられているバイトを始めてみる。
    マイペースな朱里は、だんだんクラスから浮いていった。
    希代子の気持ちは、こじれていく…

    恭子はクラスでも目立つ華やかな美人で、大学生の恋人がいると評判になっていた。
    ところが、その彼が朱里を車に乗せたことから、別れてしまう。
    退屈な夏休み。図書館で偶然、早智子と出会い、本の話をして、意外に楽しい時を過ごす。
    漫画研究会に入っている早智子は、クラスでは全く別なグループなのだった。

    おかしかったり、哀しかったり。
    朱里の大学時代の話で締めくくり。
    忘れたかった希代子のこと、その気持ちをふと思いやる…
    ぶつかりながらも成長していく彼女たち。なかなかいいですよ~。

    著者は1981年生まれ。
    立教大学卒。
    2010年5月発行のこの作品が初の単行本。

  • 都内のとあるお嬢様高校は、中等部からの内部進学の生徒と高校から新規入学する生徒の両方がいる。中等部からの内部進学だった希代子は、高校から入ってきた写真家の娘だという朱里の自由闊達さに憧れるが…。
    女子校の高校生という多感な少女たちを描いた短編集。

    「乙女の密告」や「女子校育ち」のレビューでも書いた通り、私は首都圏某所の中高一貫女子校を出ており、小説などでも女子校に関する描写はつい細かいところまで気になってしまう。
    この小説は、作者自身が中高一貫女子校出身ということもあり、今まで読んだ「女子校もの」(そんなジャンルが存在するかどうかは置いておいて)で一番等身大に描かれていると思った。

    女子の間で、曖昧に、だけど確実に存在する序列とグルーピング。これらを飛び越えて、別のグループに所属してみたり、別のグループの子と交流することは非常に難しい。この世渡りで失敗してしまうと、元々いたグループからさえも爪はじきにされて孤立してしまう。
    ことをさらに厄介にするのは、往々にしてこれらの女子校はバイト禁止の進学校なので、彼女たちは家庭と学校以外の居場所が無く、学校における自らの立ち位置が、そのまま自分のアイデンティティの非常に重要な部分となってしまう。
    不安定で居心地も決して良くないのに、それにしがみつかなくてはいけない大変さといったら!たとえ学校の外、「みんな」の目が無い場所で、ふとした瞬間にそういう序列から外れる交流ができたとしても、ひとたび学校に戻ればそんな交流があったことは隠さなければならないのだ。

    万人受けする世界観ではないが、一度でも似た経験をしたことある人なら深く共感しながら読める一冊だと思う。

    解説でも書かれていたが、作者の選ぶ固有名詞が絶妙。
    「確かにこの子だったら高輪ウィングのロクシタン(代官山じゃないところがまた上手い)で買い物しそうだわ~」とかいちいち納得してしまう。

  • ガールズコミュニティを描写させたら今の日本で右に出る者はいないだろうと思われる柚木さんのデビュー作。

    女子高を舞台に、少女たちの間で起こる階級制度だとかいじめだとか妬みだとか僻みだとか驕りだとか、そういう些細であり重大であり、ありふれていてここにしかないような出来事が恐るべき観察力で描写されている。
    臨場感ありすぎて息が詰まるくらい。

    それでもただドロドロしているだけではなくて、切なくもあり、清々しくもあり、
    どこかで「彼女たちは誰も独りではない」と思わせてくれるような、優しさもちゃんと残されているのがよかった。
    それはおそらくこれが「連作短編集」という形で、各話の視点人物になる4人がちゃんと繋がっているからなんだろう。

    分かり合えずに離れてしまった二人もあったけれど、最後に描かれている四年後の風景のように、彼女たちはきっとどこかであの時のことを思い出したりするのだろう。
    そしてその記憶が、新しい一歩へのきっかけになったりするのだろう。
    思春期のころの出会いや別れって特別だ。
    少女たちのつながりって特別だ。

    少女たちがこんなに情緒的に友達や家族や夢や好きな男の子のことやいろんなことに悩んで(時には重すぎて投げ捨ててしまいたくなるくらいに)実がパンパンに詰まった思春期を経て大人になるのだから、
    それに比べたら男がいつまでもコドモなままで、女性に到底かなわないのも致し方のないことだ。

  • いやいや、おもっしろい。

    いちばん真ん中ポジションの女の子なら、
    恭子以外の立場はみんな少しくらい経験があると思う。
    適度に上位グループとも下位グループともそれなりに仲が良く、
    どこにいてもそれなりにやっていけるポジション。
    私はそんなポジションに中高とずっといたので、
    こういう気持ちが分かりすぎて恥ずかしかったです。
    昔の傷をつつかれているみたいでした。

    何であの頃ってしょーもない優越感や、
    しょーもなさすぎる羨望や嫉妬心にとらわれ続けてしまうんだろうな。
    ずっと熱病におかされてる感じ。
    狭い世界でそれだけがすべて、あれは異常だ。
    高校を出たら終わりってものでもない。
    あの頃の生活は何かしらに尾を引くと思う。
    人格とか、価値観とか、影響し続けてると思う。
    だから女はいつまで経ってもままごとみたいなことを繰り返す。
    ばかみたいに下らないのに、笑い飛ばすことなんてできない。
    女という生き物はほんとうに馬鹿だと思う。
    それでも女が好きなんだから、手に負えない。下衆い。

    甘い蜜を、みんなが吸いたい。
    見せびらかしたい。
    蜜やかな秘密という甘い甘い果実を、
    ひとりじめになんか絶対できないのが女という生き物だと思います。

  • オフ会でkananoさんから。“女子高生の友情は、すぐ敵意にかわる”との帯は、まことに至言。スゴイ観察眼と性格の作り込みだった。ここに登場する子たちは皆、歳相応の視野の狭さ・経験不足による自己中。苦々しくも痛いなぁと思いはしても、責める気にはならないけど、朱里だけは、「あれから4年経ってもまだこれかよ」と、どうも好きになれなかった(最後に脱皮しそうだけど)。『ふたりでいるのに無言で読書』が良かった

  • プロテスタント系の私立女子高校に中学から通う希代子は、高校から入学してきた朱里に夢中になる。
    有名写真家を父に持つ自由奔放な彼女と仲良くなって有頂天となるものの、やがてはその勝手さに振り回され、違和感をいだくように…。

    クラス内カーストを生き抜く術を身につけ、ささいな優越感と劣等感でお互いをランク付けし合う少女達。
    自意識過剰とコンプレックスがないまぜになった思春期の女の子たちを狭い教室に詰め込むのだから、いろんな感情の多重衝突が起こるのは当たり前。

    そんな彼女たちの感情の揺れを精緻な動体視力で捕まえ、容赦のないナマの人間の右往左往をみごとに描き出しています。
    女子校に通った身としては、彼女達の気持ちが共感できる分、目をそらしたいような、そっと背中を押してあげたいような、なんとも気持ちがざわつくような小説でした。

    彼女達が、他人とは完璧に理解し合えないのだと諦念の中でもがきながらも安寧を得ようと努力する姿を、誰も批判はできないよね。
    …というのは、かつて少女であった私の、自己愛あふるる自己弁護ですかね。

  • 僕は男だし、中高の時なんて、異性とまともに目を見て離すことすらできなかったので、女子高生たちの胸のうちなんてあまり考えてみたこともなかった。

    物語に沿って読むなら、女子高生の友情のもろさやいじめに目が向くのだろうけれど、僕はちょっと違う文脈で読んだ。

    キラキラ輝いているように見える女子高生達が心に抱える闇の深さだ。彼女たちは友達と連んでいたい、でもその実はその友人達と自分を比べて、自分が他より多少なりとも優れているということの確認のためにすぎないというところが、興味深かった。

    オール読物新人賞を取った、「フォゲット・ミー・ノット・ブルー」よりも最後の作品「オイスター・ベイビー」が胸にしみた。とりわけクライマックスでは涙がこみあげてきた。

    人は一人では生きられないということをあらためて感じさせる連作短編集だった。

  • 10代の女の子にぜひ読んでほしい。
    もう10代じゃない自分でも胸が痛くなりました。きっとほとんどの女の子が、登場人物の誰か一人には共感できるはず。特に『ふたりでいるのに無言で読書』が好き。

    あと『甘夏』で、奈津子がキラキラしたOL二人組を見て、自分もあんなふうになるにはどのくらいかかるのだろうと思うシーンできゅーんとする。自分も10代の頃ずっとそんなことを考えていたから。

  • 今現在女子高生の私ですが、とても細かく描かれていたなと思いました。
    スクールカーストとかね、私の学校でもあんな感じ。

    小田急線とか、他にも私の知っていることがたくさん出てきて読みやすかったし、やっぱり女性作家の書く小説はどこか柔らかくて、角がないような感じで読みやすい。

    前までは男性作家の小説ばかり読んでいたけど、女性作家もいいなと思えた。

    他にも柚木さんの作品で気になるものがあるのでぜひ読みたいです。

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終点のあの子 (文春文庫)の作品紹介

プロテスタント系女子高の入学式。内部進学の希代子は、高校から入学した奥沢朱里に声をかけられた。海外暮らしが長い彼女の父は有名なカメラマン。風変わりな彼女が気になって仕方がないが、一緒にお昼を食べる仲になった矢先、希代子にある変化が。繊細な描写が各紙誌で絶賛されたオール讀物新人賞受賞作含む四篇。

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