円朝の女 (文春文庫 ま 29-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167833015

作品紹介・あらすじ

時代の絶頂を極め、近代落語の祖と言われた大名人・三遊亭円朝と彼を愛した五人の女。江戸から明治に変わる歴史の大転換期に生きた彼らの姿、いつの世も深く果てない男女の仲を、語りの名手がいま鮮やかに炙り出す-全盛を支えた名妓から、淋しい晩年を看取った娘分まで、女を活写する傑作時代小説。

感想・レビュー・書評

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  • 江戸末期から明治まで、近代落語の祖と言われた大名人、三遊亭円朝と関わりの深かった女性たちを、身近にいた五厘の目線で噺家の語り口で綴る。

    面白かった〜。

    落語のことはほとんど知らないのですが、
    噺家の生活、江戸時代においては身分などもなかったこと、
    吉原のこと、明治になってからの戦争のこと、
    鮮やかに情景が目に浮かぶほど細やかな描写で、
    それでいて噺家の語り口なので飽きずに楽しく読めました。
    円朝を愛した女たち、吉原の花魁、芸者、旗本の娘、など、
    複雑な心情を側で見ていた語り手の優しさがいい。
    円朝の本心はわからないけれど、語り手が円朝の表情を
    話すだけで、その空気感が伝わってくる。

    絶頂を極めた円朝も晩年は寂しい様子だったことも描かれる。
    庶民の目から見た時代小説。
    傑作です。

  • 円朝のまわりにいた人々が円朝に関わったオンナたちを語る。その語りを通して円朝の人生、人間性を語る。
    雑誌の連載ということもあって、こういう語りが読者を引き込むのだろう。本という形式でまとめられると、少しつまらなく感じる。

  • 時代の絶頂を極め、近代落語の祖と言われた大名人・三遊亭円朝と彼を愛した五人の女。江戸から明治に変わる歴史の大転換期に生きた彼らの姿、いつの世も深く果てない男女の仲を、語りの名手がいま鮮やかに炙り出す――全盛を支えた名妓から、淋しい晩年を看取った娘分まで、女を活写する傑作時代小説。解説対談・春風亭小朝
    (2009年)
    --- 目次 ---
    惜身の女
    玄人の女
    すれ違う女
    時をつくる女
    円朝の娘
    解説対談・春風亭小朝

  • 昨年の12月から読み出したのに、なかなか読み切れなかった本である。

    活字も大きく、すぐに読めてしまうだろうと、思っていたのだが・・・

    円朝という偉大な落語家の話なのだが、、、、売れない(?)弟子が、語り手のように、物がっていく。
    テンポの良さに、最初は、ググっと引き込まれて行った。
    噺家とお姫様のような旗本のお嬢様の女性。
    円朝の息子、、、後に勘当されるのだが、その母親。
    吉原の花魁。
    引く手あまたの柳橋の名妓から正妻になったお幸さん。
    そして、円朝の養女の娘たちと、最後まで世話をした娘。

    この時代を風靡した落語家の円朝が、人脈が凄いのに驚かされる。

    そして、そのパトロンでさえ、芸を磨かすのに、お金を惜しまない所が、凄い時代だったのだと、、、、。

    読んでいて、実物像が、どんなであったのでだろうと・・・と、そして、その時代の身分の差の結婚に、やはり、越えてはいけない範疇が、あったのだと、、、感じてしまった。

  • 落語が好きで、「塩原多助」も、「真景累ヶ淵」も、昔、『明治文学全集』で読んだことがある。
    まったく読んだことがない作家の作品だけれど、数年前からずっと気になっていた。

    円朝のおかみさんとなったお幸、円朝の子を産んだお里、ひょんなことから関わりを持った長門太夫、養女お節などの女性たちとのかかわりを通して、円朝の半生が浮かび上がってくる仕掛けの小説だった。
    それを語るのは、円朝の弟子で、今や本業では食いあげて、五厘という、芸人にくっついて上前をはねる仕事(今でいうならマネージャー?)となった八。

    まず印象的なのは、本当に聞こえてくるかのような、歯切れのいい江戸弁。
    これに惚れ惚れしてしまう。
    江戸っ子の痩せ我慢や、そこに根差す粋。
    絶対自分には無理(笑)

    円朝の語り口がどんなものかも描かれていて、想像を掻き立てられる。
    怪談になるとわざと声を細めて粘っこい話し方をする、なんてある。
    小さな声でもよく通った、などとも書いてある。
    どんな風だったのだろう。
    タイムスリップして聞いてみたい。
    怖がりで、だからこそ怪談話に強みがあったという分析も面白い。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    時代の絶頂を極め、近代落語の祖と言われた大名人・三遊亭円朝と彼を愛した五人の女。江戸から明治に変わる歴史の大転換期に生きた彼らの姿、いつの世も深く果てない男女の仲を、語りの名手がいま鮮やかに炙り出す―全盛を支えた名妓から、淋しい晩年を看取った娘分まで、女を活写する傑作時代小説。

  • 人それぞれ

  • 伝法な口調の「語り手」の地の文のおかげで、とにかくスピード感を持って読める。

    主人公は円朝自身ではなく、あくまでその周辺の「女」であることが

    他の円朝ものとは違う利点。

    うむ面白い。

    いろんな女。

    ただ決め手に欠ける。

    そんな読後感。

  • 円朝の弟子が語るという設定。落語家の話を聞いているようで読みやすかった。出てくる女性はタイプは様々だけど、一所懸命で可愛い。

  • 男目線の女だが、そこは松井今朝子なので容赦無く厳しい。時代描写も楽しい。

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著者プロフィール

1953年京都生まれ。小説家。早稲田大学大学院修士課程修了。松竹株式会社で歌舞伎の企画・制作に携わる。97年『東洲しゃらくさし』でデビュー。『仲蔵狂乱』で時代小説大賞、『吉原手引草』で直木賞受賞。

「2018年 『作家と楽しむ古典 好色一代男 曾根崎心中 菅原伝授手習鑑 仮名手本忠臣蔵 春色梅児誉美』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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