- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167838041
作品紹介・あらすじ
8人のミューズがささやく、甘美で怖い、8つの物語
江國香織、小川洋子、川上弘美、桐野夏生、小池真理子、樹のぶ子、村薫、林真理子――当代一の作家たちの逸品を収めたアンソロジー
感想・レビュー・書評
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女性作家による8篇のアンソロジー。
告白
三島由紀夫のタイトルを思わせる。
舞台はゴア。
人を殺して海外に逃亡してきたヤジロー。
日本語など通じないはず、誰も知ってる人はいないはずなのにひょんな事から日本人の老人の話を聞くことになる。
人買いと言う制度が身近にあった頃の話は心が痛くてたまらなかった。
力の強い子供たちが弱い子供たちを踏み台にして生き残ろうとする。
しかし元気になった子供たちはずっと歩かされやはり死ぬ。
どうあがこうと生きることに希望を見出せない物語だ。
この物語の行き着く先は絶望しかない。
これは果たして甘い罠なのだろうか。
カワイイ、アナタ
一言で言ってしまえば気持ちの悪い話である。
よくもここまで気持ちの悪い話が書けるものだと思う。
しかもこれは特別な人間が特別な少女にと言うわけでもない。
女性なら、いや、男性でもこのような思いをしたことがある人はいるのではないか。
「アナタ」は気付いていないかもしれない。
でも、不穏な雰囲気は、漂ってくるものだ。
追いかけている方はかわいい愛しいと愛でているつもりだろうが、追いかけられている側は、ただひたすら恐ろしいだけ。
逃れたいだけなのだ。
少し谷崎潤一郎につながるような内容かとは思う。
ただあまりにも物語の舞台が現代に近すぎるのでそれは怪しい世界とは言えず、ただただ恐怖の対象でしかない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「甘い罠」というほどには甘くない罠。そもそも罠なのか?という話もあったのでタイトルに期待して読むと外れるかもしれない。
面白かったと感じたのは以下の二作。
・桐野夏生『告白』
想像したものとは全く異なるラストに意表を突かれた。
不思議な老人の告白が昔話を聞いているようで面白い。
・高村薫『カワイイ、アナタ』
狂気を感じる。
山田某の、否先輩の、否(小生)の独白での少女を語る語り口の熱の入りようにドン引きだけれど、ぐいぐい引き込まれる。 -
甘く怖くと書いてあったが、甘さより怖さの強い話が多い
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現代を代表する女性作家が短篇小説を競作。
恋愛小説から時代小説まで、8人8様のアプローチで女性の業があぶり出される贅沢なアンソロジー。 -
高村薫さんの短編が『甘い罠』というタイトルの小説集に収録ということで手にしてみました。
すべてさらっと読める中、江國香織さんの『蛾』がこわユーモラスで良かった。でも小池真理子さんの小説かと思って読んでました。江國さんの新たな面(自分だけの)を見つけた感じ。
小川洋子『巨人の接待』も高村薫『カワイイアナタ』もそれぞれの作家さんの味を堪能。
しかし林真理子さんの『リハーサル』は…これって昭和60年代に書かれたものかいなと。そう、バブル時代のね。2009年か…えええっ!
桜庭一樹さんが直木賞獲った時の、林さんの選評がものすごくやな感じだったので、立派なレンアイもの書いてるのかなー、読みたくないけどと思っていたんですが、なんじゃこれ、小説にしなくてもよくないか?
近親相姦はダメで不倫モノなら書いていいのんか?でもそれでこれデスカ?みたいな感じです。
やれやれ。-
「小説にしなくてもよくないか?」
でも売れてるんですよね、不思議ですよね。
大昔に媚媚感たっぷりのエッセイ読んで気分悪くなって、それ以来パス...「小説にしなくてもよくないか?」
でも売れてるんですよね、不思議ですよね。
大昔に媚媚感たっぷりのエッセイ読んで気分悪くなって、それ以来パス。
矢野顕子の悪口言ってのも気に入らない。。。2012/08/03
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高村女史の新作…か!? チェックせねば
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2012/07/10
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「暑い夏でも本は読みたい!」
文庫オリジナルっぽいですが、既出作品かも知れません。。。
暑い夏だからこそ、涼しいところで頭に清々しい刺激を与...「暑い夏でも本は読みたい!」
文庫オリジナルっぽいですが、既出作品かも知れません。。。
暑い夏だからこそ、涼しいところで頭に清々しい刺激を与えたいですネ。2012/06/28 -
コメントありがとうございます!
林真理子氏作品にはお手上げですー。
未だ直木賞選考委員て!(笑)コメントありがとうございます!
林真理子氏作品にはお手上げですー。
未だ直木賞選考委員て!(笑)2012/08/03 -
> miyacocoaさん
「未だ直木賞選考委員て!」
そうなんですね、思わずタメ息が、、、> miyacocoaさん
「未だ直木賞選考委員て!」
そうなんですね、思わずタメ息が、、、2012/08/03
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うーん…表4にあるあらすじのような、
「恋愛小説から時代小説まで、8人8様のアプローチで女性の業があぶりだされる」ということは感じなかったし、
「甘く怖く、濃密すぎて苦しくなるような」話はいったいどこにあるのか?????何か別の本を買ってしまったのか?という印象。
・そもそもよくわからない話
・「甘い罠」というタイトルに沿ってないなという話
ばかりだなという印象。
私の読解力不足なのをさっぴいても、星1つでした。
豪華作家陣だけに期待しすぎたのもあるかな。 -
✳︎
甘い罠
8人の女性作家による短編集
贅沢な短編。
女が女であることを痛烈に実感させるような描写もあれば、性別などもはや超え、欲にまみれた人間の業を炙り出すようなーーー
とにかく濃密で重苦しいけれどおもしろい。
蛾/江國香織
本当にこの人は、夢と現実の境目のような話を描くことが得意だと思う。
熱に浮かされているような、靄がかかってよく見えない、そもそも自分が何を見たかったのかも、何を"見たくないのかも"わからない。そんな感覚にさせるのだ。
その日はすぐそこに存在する。(画像9枚目、10枚目)
告白/桐野夏生
悲しみの告白、甘い話には毒がある。それ以上に、何かを願ってはいけないことを願ってしまった、逆罰のような感覚を覚えた話。
唯一、女性がメインで登場しない作品
夕陽と珊瑚/髙樹のぶ子
含みなどはなく、淡々と進んでいく中で最後は、えっ?となるようなオチの短編。
欲にまみれて落ちていく人間の業の深さ…
リハーサル/小池真理子
夫がいないうちに、女が家を出ていく話。
人は何かを捨てる時、自分の一部を捨てるような寂しさに襲われる。馬鹿みたいにむちゃくちゃでぐちゃぐちゃなのはだれ?
ぜんぶ、捨てる。そこに正しさは必要ないのかもしれない(画像7枚目、8枚目)
カワイイ、アナタ/高村薫
男の目線で描かれる、若い女を通した別の人生との邂逅。
読みながら、もしかしたら起きてしまうかもしれない"何か"に、胸がざわつく。
男には、瑞々しい春。女にとっては特定の年齢の男性から注がれたことのある、ある種の嫌悪と優越感の同居。生々しさが光る短編(画像4枚目、5枚目、6枚目)
天にまします吾らが父ヨ、世界人類ガ、幸福デ、ありますヨウニ/川上弘美
川上弘美の描く女性は、とにかく淡いのだ。"性"が穏やかに見え隠れする描写が上手い。
時代なのか、わたしは波頭その六の女だ。(画像2枚目)六だからか、関谷くんが言うてることをわかってしまう
『セックスってさ、一度しちゃうと、もうそれっきりでしょう』(画像3枚目)
リハーサル/林真理子
最後まで読むと"何の"リハーサルなのか、"何が"リハーサルなのか
が、わかって、ある意味ゾッとする。林真理子は、女として生きるている女を描くのが本当に上手いのだ。
そして独特の背徳感のようなものを読者に纏わせる…
巨人の接待/小川洋子
薬指の標本を読んだ時の感覚と似ている。痛みを伴うような、それでいてひっそりとした愛。愛の描写を婉曲的に表現していて、濃密。