隻眼の少女 (文春文庫 ま 32-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 300
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  • Amazon.co.jp ・本 (506ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167838461

感想・レビュー・書評

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  • '23年7月13日、読了。麻耶雄嵩さん、今年七作目、かな…?

    とても、面白かったです!お見事!ただ、ちょっと長い、かな(⁠ ⁠⚈̥̥̥̥̥́⁠⌢⁠⚈̥̥̥̥̥̀⁠)

    他の人のレビューを読むと…「犯人は判った」という人もいるようで…「天才か!」と、ツッコミたくなります(⁠ ⁠・ั⁠﹏⁠・ั⁠)僕は、見事にやられました!

    一々数えてませんでしたが…一体、何重の罠が?麻耶さんらしい、アクロバティックな小説でした。目が回りそう(⁠っ⁠˘̩⁠╭⁠╮⁠˘̩⁠)⁠っ

    良いなぁ…凄く好き♪⁠~⁠(⁠´⁠ε⁠`⁠ ⁠)麻耶ワールド?麻耶沼?に、ドップリとハマっております

  • 自分なりに犯人を考えながら読んではみましたが、わかるはずないー。周りの人々が気の毒すぎます。おもしろかったです。

  • 麻耶雄嵩作品は2つ目。裏切られ感は大きくて、そういう意味では好みだったんだけど、自分的には本格色が強過ぎてちょっと…って印象だった。なのでそれ以降、積極的には手が伸びずに今に至る。で、本作もやっぱ同様の印象だな。過去が描かれる前半は、浅い人物造形とかペラペラな人間関係に辟易したけど、後半でその理由が明かされてちょっと安心。ただ、その後半も、意外過ぎる真実に到達するためには必要とはいえ、同じようなことの繰り返しで、正直冗長。クライマックスの衝撃で☆4つにしたけど、物語の内容とか人物造形とかだけだと3つかな。

  • 山深き寒村で、大学生の種田静馬は、少女の首切り事件に巻き込まれる。犯人と疑われた静馬を見事な推理で救ったのは、隻眼の少女探偵・御陵みかげ。静馬はみかげとともに連続殺人事件を解決するが、18年後に再び惨劇が…。日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をダブル受賞した、超絶ミステリの決定版。


    ・レビュー

    この小説は麻耶作品の中では比較的読後感がライトなものだといえると思う。
    初心者向けの麻耶作品を挙げるなら多くの麻耶ファンはこの『隻眼の少女』と『螢』を挙げるようだが確かに読後の衝撃の度合いとしては入門編的内容かもしれない。
    とはいえ、別段この小説が麻耶作品の特徴の公倍数から外れているわけではない、もちろん『螢』も。麻耶作品としては初心者向けかもしれないがそれはミステリ初心者向きという事にはならず、やはりミステリ初心者で麻耶作品未読ということなら初読は『螢』だろう。
    この『隻眼の少女』はミステリ初心者だと全てを理解するのにやや難解さが残る。

    長編はほとんど強烈なカタストロフによって強烈な印象を残す麻耶雄嵩の小説の中では、『隻眼の少女』は一見するとライトで受け入れやすい本格モノ風の進み方をする。
    ミステリとして非常に読みやすく、キャラクターも狙いすぎな感もあるほどの漫画・アニメ的特徴を備えている。
    ただしここには幾つかの罠が当然仕掛けてある。麻耶雄嵩の作品が普通に落ち着くなんてことはまずあり得ない。

    まずは「意外な展開」だろう。正直ミステリファンからするとこの小説の面白さは「まったくそこじゃない」のだけれど、ミステリファンではない人やたまにしかミステリを読まない人からしたらこの「意外な展開」は本格風の物語の進行から一気に魅力的に惹きつけるポイントだと思う。

    そして次に麻耶特有のアンチミステリ的要素。ミステリファンならおそらくこっちがメインだろう。さあ、今回のテーマはどの枠組みに「問いかける」ものなのか、楽しみにしていいと思う。この点でこの小説は絶大な価値を持っている。

    物語は二部構成だ。
    スガル様という現人神が崇められる村の名家で連続殺人が起こるという、本格推理的な舞台設定で、種田静馬という主人公(語り手)とで探偵の御陵みかげが、探偵と助手として事件に挑むストーリーである。
    そしてその事件が解決してから18年後、非常に印象深い結末に向けて再び殺人事件が起こる。

    テーマは「探偵とその推理」であり、ミステリ読みなら一度は考えることになる、「探偵」についてのある懐疑を物語の軸に据えている。この小説では読者の推理や犯人当てはほとんど意味が無いのであるが、それでも犯人を当てるつもりで本気で突き詰めていくと体感的にミステリの根幹的問題点に行き当たって面白いのかもしれない。

    ブログの方に詳細は書くけれど、この小説は浅く読むか深く読むかで評価が二分しやすい。もちろん「しやすい」というだけで必ずそうなるわけではないけれど、深く読むと興味深いのだが表面的に読むとやや苦しい部分があるのは否めない。
    どうせなら深く読めるよう「後期クイーン的問題」について念頭に置いて読むのがいいと思う。

    本音を言ってしまえばこの小説はここまで非難されるものではないと思っている。トリックが非現実的だとか、犯人当てのトリックありきで書かれただけだとか、色々言われているがよく考えて欲しいのはそんなことくらい作者が解らないはずがないだろうということだ。
    そしてその先にある真意、この小説の意図をしっかり読めば決して前述の非難点が「わざと」書かれているものだと理解できるはずなのだ。そうすれば少なくとも安易に批判的になる人は減って、批判するにしてももっと高尚な評価がされるんじゃないだろうか。

    個人的には、この小説は傑作だと思っている。
    探偵小説に対する非常に重要な問題提起が成されているある意味正当すぎるくらいの「本格」だと思う。
    日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞のダブル受賞はその点が考慮されてのことだろうし、ミステリ読みじゃない人が批判するのはまだしも、ミステリ読みがかなり多く真意に辿り着いていないのが少々哀しい作品かもしれない。

  • 久々にオチが面白い(funny)な作品に出会った。話の9割は純粋に事件の奇怪さや、主人公みかげの推理力、ストーリーの展開が楽しめる。
    そして最後1割で真相が明かされたときの衝撃といったら!これは怒る人がいても無理はないと思うが、そのfunnyさに私は笑った。種田静馬… 笑。麻耶雄嵩は以前読んだ「蛍」が私的にはイマイチだったのでしばらくご無沙汰していたが、これを機会にまた他の作品を読んでみたいと思う。

  • 最後の一文が心に残る…

    本屋さんで見かけて気になって購入した作品。

    読んでいるとどこまで信じていいのか、
    誰を信じていいのか、
    探偵としての少女の行動ですら疑ってしまう…
    そんな風に感じる一冊。

    18年後に起こる事件の真相が明るみになった時、
    人とはなんと愚かでしたたかなんだろうと思う。

    これまでになかった探偵像に引き込まれ、
    家族とは…
    と考えた一冊でもあった…

  • 寒村で繰り返される悲劇、1985年と18年後の2003年の2部構成で事件が起こる。探偵のみかげは翡翠色の義眼に水干という独特の見た目をした少女で、18年の間に代替りするが、名前もその見た目も一緒。殺害される少女も三つ子の姉妹で絞殺の上首斬りと同じ要素が繰り返される。犯人が分かったと思っても悲劇は止まらず、一体どうなっているのかと先へ先へと読み進めていくと、驚愕のラストに辿り着く。結構なボリュームで途中だれそうにもなったが、最後まで読んだら始めからまた読み返したくなるような仕組みに脱帽。摩耶さんの本はこれが初めてだったけど、他の作品も読んでみたくなった。

  •  閉ざされた村でおきた連続殺人事件。
    その残虐な手口には、横溝正史先生の作品に近い部分を感じた。実際、作中でリスペクトしていることを匂わせる文があった。
     作品を読み進めながら、推理してみたが…あえなく敗北。犯人は狡猾で最終場面に行き着くまで分からなかった。犯人が分かったときは、驚き過ぎて…マジか!となった。読了後は、驚きよりも切なさと虚しさが勝る何ともいえない内容だった。
     ミステリー内容としては凄いとしか言えないが、
    ちょっと…と思う部分が人物関係にあったので星4。

  • よくもまぁこんなの思い付くよなぁ。
    凄い作家だ。
    ただただ脱帽。

    陸の孤島みたいな村の、伝統ある名家の中で起こる連続殺人事件。
    おどろおどろしい雰囲気とか、ひとつの事件に対して探偵が饒舌にさまざまな可能性を披露するわりには慎重を期すあまり核心には触れない感じとか、麻耶さんデビュー作の『翼ある闇』に雰囲気が似てると思った。
    それにしても、麻耶作品に登場する探偵のキャラ設定は、現実感に欠ける。
    まぁ、探偵って存在自体が現実味ないから、このくらいはっちゃけてても別に気にならないけど。

    犯人の目星は全くつかないし、そもそも動機から謎だし、もう犯人当ては無理。ただの読者になって読んだ。
    スガル様が犯人だと指摘された時は「なるほど盲点だ」くらいには感心したんだけど(いや多分その瞬間はとても驚いたはずだけど第二波のせいで印象にない)、まさかの探偵が殺人犯だったことが明かされた時には、読者の目、曇りまくりじゃね?ってひっぱたかれたみたいな衝撃でした。
    ここで本投げつけたくなるヒトがいるんですか? 私は(真相が分かってやっと自覚できたんだけど)ずっと部外者である山科が殺されたのが引っ掛かってて(みかげの言う不整合だ)、みかげも何故土が適当にかぶさってたのかとか状況しか問題にせず山科が死んだことはスルーだし、殺された唯一の部外者としてもっと注目すべきじゃないかと思ってたから、真相知って凄く腑に落ちたんだよね。つまり動機に納得したというか。

    確かにオコジョ利用説だけは無理がある。
    腹話術も始めは「バレるやろ!」と思ったけど、そのシーン読み直したら静馬は入口に誘導されてたから、あの距離じゃ分からないかもなと思い直した。

    この作品はいわゆる「後期クイーン的問題」に対する問題提起みたいな意味合いがあるらしいけと、そこまで詳しくないので、ただ麻耶さんまた掟破りの作品世に送り出したな(褒めてる)的な喜びを感じた。

    どなたかがレビューしてた、「でも結局みかげ犯人説を支えてるのは自白だけだから、ばらまかれた手掛かりの拾い方次第では他のヒトが犯人になり得るわけで、実は明確な犯人はわからずじまい」みたいな読みは、正に仰る通りかも知れないけど(自分はそこまで読み込めなかった)、個人的にはみかげ犯人でお仕舞いでイイよ。

    (追記)
    本当に衝撃的な作品は、読み終わったあとも作品世界から抜けられなくてボーっとしちゃうんだけど、この作品は意外にあっさり離れることができた。
    ☆4つ付けたけど、そんなに印象深くない作品だった。

  • 救いようのない真相。他の作品に比べるとアクロバティックさに欠けるように思われるが、それ故に作りの丁寧さが目立つ。再読したい。

著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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