マルガリータ (文春文庫 む 15-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167838591

作品紹介・あらすじ

千々石ミゲルはなぜ棄教したのか?天正遣欧使節の4人の少年の中で帰国後ただ一人棄教したミゲル。その謎の生涯を妻の視点から描く野心作。第17回松本清張賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 隠れキリシタン、踏み絵、殉教、、、今までただ言葉を知っていただけだったこれらの言葉が、この本を読んで深い深い意味を持つ言葉になりました。読み終わった後も、ずーんと心に重く残っています。

  • 千々石ミゲルは、棄教しなかったのか。

  • 千々石ミゲルという矛盾を抱えた人物像に迫る作品。魂まで棄教しなければ、誰に言わなくても、誰に理解されなくても、妻にすら。
    私は信仰がないので、ここまでさせる力ってなんだろうなあと考えてしまう。

  • 天正遣欧使節団の4人の少年の帰国後の運命を、そのうち一人の妻の目線で描いたもの。中国に渡ることさえ命がけだった時代に、往復8年の時間をかけて欧州を訪問・帰国してみれば、鎖国とバテレン追放の時代になっていた。次第に厳しくなる迫害の中で一人は病に倒れ、一人はマカオに移住することを選ぶ。一人は司祭として残り、国内のキリシタンを励まして生きる。そして本編の主人公千々石ミゲルは棄教の道を選び、キリシタンからは棄教者と憎まれ、キリシタンを取り締まる士族からは転び者と蔑まれる。そこには日本から一人の殉教者(=死者)も出さないという4人の誓いがあった。ミゲルに寄り添いながら、最後までミゲルの本心に近ずけなかったと感じる妻の純粋でいちずな思いにも心打たれる。それにしても、時の指導者の思惑や目先の利益で、宗教心という重大なことをコロコロ変えてしまうことで、どれだけ多くの人が不幸になるか。これは、現代の生き方にも痛烈な警告を投げかけている気がする。

  • 天正遣欧少年使節としてヨーロッパに渡った4人の少年たち。帰国後、千々石ミゲルだけは棄教する。その史実を軸に、キリスト教迫害の時代を描く見事な筋立ての小説だった。そしてせつない。
    何がせつないって、語り部の珠。あこがれのミゲルと夫婦になってともに人生を生きていくはずなのに、最後の最後までミゲルは珠を一番の存在にはしなかったこと。珠以前に、天主様や伊奈姫、ともにヨーロッパに行った3人がいた。ミゲルは珠にやさしいんだけど、珠が欲しいのはそういう慈悲のようなやさしさではないんだよ。ともに苦しみたいのにそこには入れてくれない、ある意味不実なミゲル。
    自分にとって一番の相手が、自分を一番と思っていないってこと、あるよね。相手の一番が自分と比べるべくもないほどのものだったら憤ることすらできない。しかも、一番の相手の好きなものだから嫌いとも言えない、思えないつらさ。
    珠のせつなさの前では、棄教したように生きながら信仰を守り続けるミゲルの苦しさも、また、禁教の徒として処刑されたジュリアンといい、信徒らを導き日本を逃れてマカオで生涯を終えたマルチノといい、それは大義をもっての苦しみであり、美しい男たちのホモソーシャルな友情のもとでの苦しみだからどうとでも昇華できるように思えてしまう。

  • 帯文(裏表紙):”天正遣欧少年使節・千々石ミゲルの生涯をある女性の視点から描いた傑作歴史小説。”

    目次:序、第1章 再会、第2章 新たな地、第3章 流れる、第4章 落日、結、解説 縄田一男

  • 美しい話だと感じた。
    読者はたま自身であると思う。

  • M.M

  • 【千々石ミゲルはなぜ棄教したのか?】天正遣欧使節の4人の少年の中で帰国後ただ一人棄教したミゲル。その謎の生涯を妻の視点から描く野心作。第17回松本清張賞受賞作。

  • 天正遣欧使節としてヨーロッパに渡りながら、なぜ千々石ミゲルは棄教したのか。
    南蛮に渡ったからこそ知ることが出来た事実を胸に秘め、日本の切支丹を殉教させないために、日本の人たちの信仰を守るために、自ら棄教を選んだミゲルの生涯が悲しすぎる。

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著者プロフィール

一九六七年京都市生まれ。会社勤務等を経て、司馬遼太郎氏の夫人である福田みどり氏の個人秘書を十九年間務める。二〇一〇年『マルガリータ』で第十七回松本清張賞を受賞し、作家デビュー。

「2022年 『せきれいの詩』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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