月と蟹 (文春文庫)

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著者 : 道尾秀介
  • 文藝春秋 (2013年7月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167838669

月と蟹 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 第144回直木賞受賞作品。
    鎌倉を舞台に小学5年生の二人の少年と少女、それを取り巻く大人達の物語。大人になるにはまだ遠く、子供でいるには無邪気になれず、お腹の中にモヤモヤしたものを抱えていく少年。そんな思春期に突入しかけた少年の心の描写が上手い。最後の方の臨場感は素晴らしかった。ラストシーンも良い終わり方だった。

  • 子供は遊びの天才だが、
    ストレート(純粋)で残酷な一面が。。

  • 二人の少年と一人の少女を主人公にした物語。
    三人とも決して悪い子では無く、むしろ良い子の部類に入るのでしょうが、その子供達の内にある残酷さ、悪意、不気味さといったものを丁寧に拾い出し、育てて行くような物語です。

    ちょっとアゴタ・クリストフの「悪童日記」を思わせるような内容ですが、どうして子供のそのような闇を拾い続けなきゃならないのか、体調が悪かったこともあって、とてもしんどい読書でした。

  •  物語は、慎一と春也を中心に小さな世界でのろのろと進む。子供の頃の記憶は、人それぞれ違うだろうが、世間を知らないゆえに、自ら作ったルールに囚われていたことを思い出させる。

     良かれと思ってしたことが、思いがけない事件に繋がってしまったり、相手を思いやる気持ちは、実は自分を落ち着かせるための衝動だと知る。少年たちは、自らの生い立ちを振り返り、過ちを繰り返しながら、自らの姿を水面に映そうとしているのかもしれない。

     ソロモンの犬のようにミスリードを誘うようなギミックもなく、龍神の雨のようにある人が変貌することもなく、本当に良い作品でした。

     普通より少しだけ重い運命を背負った小学生の、小さな世界の中に広がる人間らしい気持ちと、抑えきれない衝動を描くことによって、私たちが忘れてしまった感受性が鋭かった時代を思い出させてくれます。

     自分や友達の妄想と現実の境目が曖昧だったあの頃、私たちは厭なものに錘を付け心の底に沈める方法を本能的に知っていた。この本を読むと、あの頃の苦い思い出も残された人生に活かすことができると思えるのです。

     道尾秀介さんは、誰よりも自分が少年だった頃のことを鮮明におぼている作家さんなのではないだろうか?自分自身や友達が、その時に感じていたことを、行動から嗅ぎ取っていたのではないだろうか?とろけるように甘く切ない記憶、ざらざらした苦い記憶、夫々の記憶の味が舌に蘇るたびに新しい作品が生まれるのかもしれない。

  • 少年が大人になる前に、走り出す。苦いものを噛み締めて、大人に近付く。そんな鮮やかな日々を切り取った作品。

  • 小学生の小さな世界でこんなにいろいろ起きたら世界が壊れてしまう。でも最後は少し世界が広がったような広がるような、暗いばかりでなかったから良かった。

  • 暗い。
    常に漂う閉塞感・残酷さ・・・・・・
    とにかく暗い(笑)
    まぁ道尾さんはそもそも暗い作品が多いのですがね^^;

    最初は気分が乗らず、読むのに苦労しましたが、中盤からは一気です!

    10歳の慎一と春也。
    クラスで浮いた二人が仲良くなり、海でヤドカリを捕まえて遊ぶうちにヤドカリを神様に見立て「ヤドカミ様」として願いをかける。
    その儀式はヤドカリを炙り殺す事で成立する。

    この儀式がまず子供ならではの残酷さを伴っていて、そしてヤドカミ様にお願いする内容が、また子供の残酷さを見せます。

    そして慎一と春也の関係に鳴海(女子)が加わり、なんとも危うい
    心理状況が描かれる。
    この3人3様、複雑な家庭環境にあり、子供じゃ受け止めきれないよねって言うぐらいダークな事情を抱えています。

    そんなやるせない思いを、子供ならではの方法で解決(?)しようとする様が、もうどんよりどんより・・・・
    慎一や春也の不安や苛立ちが胸に迫りました。
    友達への思い、淡い恋、親への思い、全てが上手くいかないと思い
    続ける子供たち。
    そういう感情がすごく上手く表現されているなぁと思いました。
    上手く表現されているからこそ、読んでこんなにも暗い気分になるのかと。。。

    映像では表現しきれないものが、この小説にはありました。
    ものすごく暗いし、気分が重くなるんですけど、小説を読む醍醐味が詰まっている本だと思います。

  • 何とも言えない余韻が残るお話。

    子どもの頃、無条件に『大人』は『大人』なんだと思っていたけどそうじゃなかったんだなって実際大人になってわかる。
    そんな事を考えさせられた一冊。

  • 小学生の慎一と春也は同級生たちからはみ出していた。
    そんな二人が見つけた遊びは、山の上にある岩場で採ってきたヤドカリに願い事をすること。
    人は大人も子供も時に残酷になる。
    そんなことを改めて実感させる話だった。

    2018.1.14

  • 2018.1.5
    道尾さんにしか書けない切なく危ない世界観が大好きだが、
    今回は自分の心と噛み合わず読んでて辛くなる時間が多かった。
    なのにグイグイ読まされるのはさすが!
    どういう人なんだろう道尾さん。
    直木賞ぽくない芥川臭ただよう作品だった。

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月と蟹 (文春文庫)の作品紹介

あの夏、海辺の町で少年は大人になる涙を知った孤独な子ども達が始めた願い事遊びはやがて切実な思いを帯びた儀式めいたものに――深い余韻が残る少年小説の傑作。直木賞受賞。

月と蟹 (文春文庫)のKindle版

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