月と蟹 (文春文庫 み 38-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 3116
感想 : 300
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167838669

感想・レビュー・書評

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  • 暗い。
    常に漂う閉塞感・残酷さ・・・・・・
    とにかく暗い(笑)
    まぁ道尾さんはそもそも暗い作品が多いのですがね^^;

    最初は気分が乗らず、読むのに苦労しましたが、中盤からは一気です!

    10歳の慎一と春也。
    クラスで浮いた二人が仲良くなり、海でヤドカリを捕まえて遊ぶうちにヤドカリを神様に見立て「ヤドカミ様」として願いをかける。
    その儀式はヤドカリを炙り殺す事で成立する。

    この儀式がまず子供ならではの残酷さを伴っていて、そしてヤドカミ様にお願いする内容が、また子供の残酷さを見せます。

    そして慎一と春也の関係に鳴海(女子)が加わり、なんとも危うい
    心理状況が描かれる。
    この3人3様、複雑な家庭環境にあり、子供じゃ受け止めきれないよねって言うぐらいダークな事情を抱えています。

    そんなやるせない思いを、子供ならではの方法で解決(?)しようとする様が、もうどんよりどんより・・・・
    慎一や春也の不安や苛立ちが胸に迫りました。
    友達への思い、淡い恋、親への思い、全てが上手くいかないと思い
    続ける子供たち。
    そういう感情がすごく上手く表現されているなぁと思いました。
    上手く表現されているからこそ、読んでこんなにも暗い気分になるのかと。。。

    映像では表現しきれないものが、この小説にはありました。
    ものすごく暗いし、気分が重くなるんですけど、小説を読む醍醐味が詰まっている本だと思います。

  • 自分の子どもの頃の
    忘れていた記憶を思い出させるようなお話でした。
    その中には、懐かしいものに混じって
    思い出したくないような
    胸の奥に塊として残っているようなものまであって、
    読みながら何とも言えない気持ちになりました。

    子どもの持っている
    残酷な部分や、どろどろした部分や、
    どうしていいかわからないもやもやとした気持ちが
    すごくうまく表現されているなぁと思います。

    読後感は爽やかとは言えませんが、
    読んでよかったと思える作品。

  • 初、道尾秀介さんの1冊。直木賞だし~と読み出した。ストーリー展開が想像できて、そうだろうな、と思いながら読んだせいか、後半は長く感じてしまった。選ばずして与えられた環境の中で、葛藤しながら懸命に生きる少年少女たちの姿が悲しく、迷いながら過ごす日々に共感がもてる。
    鎌倉の自然がとても丁寧に描かれていて、心の風景とともに姿を変えるところが、美しく感じられた。少女鳴海の、女性の入り口に入り始めている、恥じらいや素直な言葉の選び方が魅力的だった。

  • 何とも言えない余韻が残るお話。

    子どもの頃、無条件に『大人』は『大人』なんだと思っていたけどそうじゃなかったんだなって実際大人になってわかる。
    そんな事を考えさせられた一冊。

  • 小学生の少年がヤドカリ様に祈りをするというストーリー。子供ならではの残虐性や考え方など、もう子供じゃない自分が読むと感慨深いものがあった。大人になるということについて考えさせられたのもよかった。物語自体はすごくダークで惹き込まれる。誰もが経験したことのある感情が比喩を用いて明瞭に描かれており、共感することが多かった。直木賞は伊達じゃないと思われされる作品だった。

  • カミはそばにいた

  • うーん、まずまずで少し物足りない❗

  •  
    ── 道尾 秀介《月と蟹 2010‥‥ 20130710 文春文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4167838664
     
    (20231128)

  • 3.0

  • 道尾さんの作品の中で直木賞を受賞された作品とのことで期待して読んだ。子供ながらの残酷感はあったし、子供ながらの悩みの中で苦悩するのもとても伝わった。どんでん返しという点を期待して読んでいたこともあり、そこまで衝撃を受けなかったため評価はこの程度。ただ、登場人物へとても感情移入できた。人に勧めたくなるという訳では無い。

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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