悪の教典 下 (文春文庫 き 35-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167839024

感想・レビュー・書評

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  • 不意に計画が狂い立て直しを図ろうとする時に、こういう思考をする人がいるのだろうか?いないとは言い切れないが、怖いもんです。読み物としては、上下巻通して読みやすく3連休というのもあって一気に読み切ってしまいました。

  • 生意気な生徒ばっかだなぁと思いつつも、教室に残った組の驚くべき賢さと保健室に行った生徒たちの勇敢さにどうか生き伸びてほしいと祈りながら読みました…

    全員やられてしまうと思っていたので、怜花と雄一郎が生き残ったのは良かったけど…本当に蓮見先生ひどすぎる…

    前島君がかわいかったな。久米先生と前島君にも生き残ってほしかった…

    AEDのくだりがよかったです。

    サイコパス…本当に何も響かないんですね。「問題解決のため」に皆殺し。最後の怜花と雄一郎、蓮見とのやり取りはこちらも憤りを感じてしまいました…

    上巻よりも勢いよく読めました。怖かったけど映画も気になるところです。

    監督のあとがきには共感しきれないよ…
    でも、蓮見の借家の描写についての解釈にははっとさせられました…!

  • 生まれ持った悲しい個性の炸裂、周囲の迷惑がおびただしい。罪のないのになんの因果で、こういう個性と遭うのだろう。しかし、現実離れが強すぎて白ける。

  • 数日で上下一気に読んでしまった。
    止まらない、しかし読むうちに終わりに向かううちに次第に寂しくなる。
    ハスミンとお別れしなきゃいけないのが寂しいのだ。
    あとがきの三池監督の言葉にもありましたが、私ももはや調教されたハスミンの奴隷なのでしょう。(読者だから安全!)
    監督と同じく、蓮実先生の社会復帰を望む一人です。

    人間、生きてりゃ色々な思いをするでしょう。嫌なことばっかりです。中にはこいつ正気かって信じられないことしてくるやつだっています。
    そういう時、少なからず思うでしょ。「あー、消えてほしいな」って。
    もちろんしませんし、できませんよ。でもね、ハスミンはやっちゃうんですね。
    だって自分にとって邪魔なんだから。
    嫌悪とか憎悪とか復讐が理由ではない。「あー、消さないと」って思って消しちゃう。
    それがスカッとしちゃうんです。
    「やべ、さすがにまずいこれは終わりだ…」ってならないところが安心して「そうだ!そのままどうか逃げ切って!無敵のハスミーーン!」と奴隷はそのダークヒーローを応援してしまうんです。
    蓮実先生が焦ったり同情したり躊躇ったりしないところは欠落してるからなんだけど、またそこが読んでる私に特に「ハスミンの抱えるものが切なくて…苦しい」ということにもならなくて良い。
    決して明るい話でも楽しい話でもありません。一切そんな話ではないです。寧ろ酷いですよね、人によっては「なにこのただの大量殺人の話は」と思うかもしれません。
    でも、ピンチの時でさえジョークで返すハスミンは気味悪くてクスッとしちゃう。(本人はピンチとも思ってないんですがね。)
    いけませんね。
    鼻唄がモリタートにならないようにします。

    (映画を先に観たのでハスミンは完全に伊藤英明で脳内再生されました。はー、楽しかった。当たり前ですが、映画で描かれなかった他のエピソードが色々読めてよかった。それに小説の方がゲスくていい!)

  • 読み終ったよ~。
    最後のオチ、すごいウケた~!爆笑。この内容で、この〆はナンなの?

    下巻は、とうとうハスミンが狂って殺しまくるんだけど、私はイマイチこういうシーンは退屈。
    どっちかというと、上巻や惨殺シーンが終わった後の、ハスミンの態度やどう言い逃れのか、という方に私は
    関心を持ったな~。
    最後、ハスミンが殺人鬼だという証拠が出てくるのがちょっと早すぎだと思ったけど、もう彼は圭介を殺してからだんだんとボロがでてきてるのは明かで、捕まるのは時間の問題だったね~。
    でも、みんな死んだと思ったのに、3人も生き残りがいたなんてハスミン大負けだね~。

    こういうエンタメ作品は面白いけど、こういう事が実際に起こらないことを祈るばかりです。

  • なんというか、本当に凡人には理解できない根っからの悪を描くのがとことん上手い人だなぁと感じました。

    第一章のカラス殺しぐらいはまだふーん、という感じで読めたのですが、だんだんと、理路整然と殺人を進めていく彼の考え方に鳥肌が立つぐらい怖気を感じました。
    映画化された作品を見て某アイドルグループの女子が「ワタシはこの映画嫌いです!」と言っちゃうのもなるほどわかるかなぁ~、こういうの嫌いな人はとことん嫌いだと思います。

    ワタシもこういう人物像、嫌いではあるものの(嫌いというより心底恐ろしいです)、「これは小説、フィクションなんだから」というのを頭に置いて読んでいると、ストーリーはフルスピードで破綻に向かうものの、2年4組のクラスメートの人間関係の絡みなどがうまくストーリーに活きているので、恐ろしくはあるものの、ページをめくる手が止まりませんでした。

    ワルぶっていたクラスメートが必死に友達の蘇生を試みた、その行動が、蓮実逮捕の鍵になるとは、上手いな、してやられた、という感じです。

    どなたかも書いてらしたのですが、退学させられたあの男子生徒、彼が実は事件解決のキーになるかなと予想していたんですが、意外とそうではありませんでした。

    後々の事件の証人ともなる男子と女子の二人が、なぜ生き延びることが出来たか、という種明かしもなかなか凄惨です。
    このときの二人の気持ちを考えると、自分ならトラウマになりそう…。

    と、いろいろ書きましたが、逆に言えば、「フィクションなんだから」と言い聞かせて読まないと、本当に恐ろしい、と言うか…。

    頭も回り、知力・体力が常人離れしている蓮実教諭は、恐ろしく巧妙な捕食者です。彼のような人間が自分の周囲にいない、もしくは今後現れないことを祈るしかありません。

    ところで、一番この作品の中で恐ろしかったのはやはりラスト。蓮実教諭が逮捕されたその瞬間から次のゲームが始まっていた…というくだりです。逮捕された瞬間に心神喪失をクルリと演じてしまう彼の頭の良さ、そして極刑さえ免れればどんなことをしても脱出して自分たちの復讐のために姿を再び現すだろうという事実。
    今までの彼の知力と行動力から考えるとありえない話ではありません。

    ラストは上手く収まっていてカタルシスを得れた…と思いつつも、一抹の不安と恐怖がサッと一刷毛薄く残る嫌な感じ。嫌な感じではありますが、恐怖はまだ終らない、という恐怖を残すところに、作者の上手さといやらしさ(褒め言葉です)を感じました。

  • ご飯食べながら読んだことを後悔した。

    とにかく文字でここまで臨場感や緊迫感のある状況を描けるものなのかと感心した。学校でいざ皆殺しが始まってからは、読んでいる間ずっと動悸が止まらなかった、それが怖いのかドキドキしているのか楽しいのかもう分からない。多分、全てだろうけど。

    園田教諭の顔面ふっとばすだの、将大の首を捩るだの、1人ひとりの殺し方は残酷で読むに堪えられた行為ではない。だけど、こうやって学校という締め切った箱の中で人を人とも思わずにゲーム感覚で殺していく様はなぜか気持ちが良い。

    こんな風に考えてしまう自分が嫌だなあと思うのに、もっとやれ蓮実とページを繰る手を止まらせないこの本は本当ずるい。生き残るやつは想定の範囲内だったし、蓮実が捕まることも意外ではなかったけど、嫌な余韻を残してくれたものだなあ。

    面白かった。読んでから1ヵ月くらい経つけどまだ自分の中で様々なシーンが鮮明に蘇ってくる。これを超える本はしばらく無いかも。

  • 上巻をゆっくり読んだら、夢見がとても悪かったので、夜更かしして一気読みしました。
    それはそれでオススメしませんが(やっぱり夢見は悪かった)、下巻の持つスピード感は一気読みの方が味わえるのではと思います。
    学校という場所柄、生徒と先生の登場人物がとても多く、すべてのキャラクターが主役級ではないにせよ、複数人の「目立つ」キャラクターがいたにも関わらず、「こいつは生き残るかな?」と思ったキャラクターたちがことごとく去っていくのが悲しくも痛快でした。もう少し活躍して欲しかったなあと思うと同時に、あえて「立つ」キャラクターを退場させる作者の勇気にワクワクすると言いましょうか。
    個人的には、前島くんが頑張ってくれて、ほっとしました。彼と、某先生はとても良い人間でした。あ、でした、なんて言ったらネタバレでしょうか。生存者はいるので、彼らの可能性も残しつつ……。
    続編、するつもりなのでしょうか。蓮見シリーズ。読んでみたいような、もうおなかいっぱいなような。

  • 若干下巻のほうが★★★より。
    後半はひさすら殺。なので。
    そういう意味ではホラー。

    思い起こせば若かりし頃出会った「バトルロワイヤル」を
    はじめは想像していたけど、ちょっと毛色が違った。

    よく考えたら、今まで日本の作品で、こんなサイコパスな主人公がいただろうか。それを、伊藤英明が映像化でどう魅せるのか、そういう意味ではとても興味深い。とはいえ恐れていたこと。それは監督が三池さん。この惨状を惜しげもなく体現してくるかと思うと、スクリーンで果たしてわたしは凝視できるんだろうか・・・

    いずれにしても二階堂ふみちゃんの配役に納得。

    前後するが、学校・お化け屋敷・殺人・・・シチュエーションが絶妙。
    なにげに振り返ると、教師も胡散臭く、なにかしら人には言えないあれこれを抱え、なんとも言えない「陰」な空気を醸し出し、それもまたホラー。

    久しぶりに2日と間髪あけずに読みきりたくなる作品だった。
    やられた。

    そういう意味では今晩はゆっくり眠れそう。

  • 他の人のレビューを読んでいて、なるほどと思い当たったこと。
    あの最後のショートストーリーは、この長編の後味の悪さを吹き飛ばす為に著者が加えた、いわゆるお口直し的な話だろうと思う。
    でも正直のところ、ショートストーリーのオチにも勝る程の恐怖感をこの小説には味あわせて頂いたので、私個人としてまったくお口直しにはならなかった。
    むしろ読み終わってからしばらく恐怖感と凄い小説を読んだ興奮に見舞われて、肩がかなり力んでいて疲れた。

    久々にこんな刺激の強い作品を読んだ気がする。
    馬鹿みたいだけれど、蓮実が人を殺める度に自分も一緒に殺されたような気分になってしまってどうしても気が滅入った。
    しかし学校の怪物だ、と形容されている蓮実でも、手を下すことが出来なかったエピソード、殺人を躊躇う場面を読むと人間らしさを感じる。
    だから嫌いになれないのかもしれない。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学卒。96年『十三番目の人格-ISOLA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2023年 『梅雨物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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