かわいそうだね? (文春文庫 わ 17-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167840020

作品紹介・あらすじ

同情は美しい? それとも卑しい?私の彼は元彼女と同棲中……話題を呼んだ表題作と、女子同士の複雑な友情を描く「亜美ちゃんは美人」を収録。大江健三郎賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 女性同士の関係を描く中編2編。

    「かわいそうだね?」は彼の家に居候している彼の元カノとの関係。
    「亜美ちゃんは美人」は美しいけど中身が空っぽの親友との関係。

    どちらもスリリングで深くてエグくて面白い!

  • 『あの人かわいそう…』

    『かわいそう』。『あの人』の感情を無視して、それを言ったその人の価値観が『かわいそうな人』を目の前に作り上げるこの言葉。考えれば考えるほどに厄介とも言えるこの言葉。そして、その使い方ひとつでその人の人間性まで曝け出してしまう恐ろしいこの言葉。そんな風に感じていたこの言葉の最後に意味ありげに『?』がついたこの作品。『相手を憐んでから発動する同情心は、やはりどこか醜い』と主人公・樹理恵が感じる『かわいそう』という感情。この作品はそんな主人公・樹理恵が巻き込まれてしまった不思議な三角関係を、樹理恵のもどかしくも狂おしい心の動きがシニカルにリードしていく物語です。

    『私は地震がこわい。街なかで、職場で、地下鉄のホームで、いまここで地震が起こったらどうしようとおびえている』という樹理恵。『1995年の阪神淡路大震災を経験しているせいだ』というそんな彼女は『私を助けてくれるヒーローの存在。彼さえいればもう安心、はだしで駆けつけてくれるヒーロー』、それが『恋人の隆大』であると、脳内地震妄想の中で思い浮かべます。しかし同時に『隆大は非常時には頼りにならないかもしれない』とも思う樹理恵。『大震災が起きれば、隆大は私じゃなくてアキヨを助けにいくかもしれない』と感じている樹理恵の頭の中では『ねえ、あなたはどっちの女を助けるの』という言葉が響きます。『おれがアキヨを助けるのをどうしても許せないのなら、申し訳ないけれど、おれは樹理恵と別れる』という隆大。『別れ話は死刑宣告と似て』いると感じる樹理恵。『あなたは本当に私よりアキヨさんを選ぶの』と聞き返す樹理恵に『アキヨはいまの部屋を追い出されたら、住む場所がどこにもない。だから、おれがアキヨといっしょに住むことを樹理恵がどうしても嫌なら、別れるしかない』ときっぱり返す隆大。『どうしてアキヨさんのために、私たちが別れなきゃならないの。彼女とは別れたんでしょ』という樹理恵。『いや、愛しているのはもちろん君だけ』という隆大に、樹理恵は『理由はどうであれ、私は元彼女を自分の家に居候させようとしている男性とは、これ以上付き合えない』と答えてしまいます。『わかった。短かったけれど、樹理恵と付き合えたのは本当に楽しかった』と終局を伝える隆大、最後に『ここでなんか食ってくか』という隆大に、『食欲はちょっと無いかな。コーヒーにする』と答える樹理恵。それは『食欲があることをばらして私があまり悩んでいないと思われたくなかった』という『私の、精いっぱいの反抗だった』樹理恵。そんな樹理恵は隆大との想い出を振り返っていきます。

    『彼のアパートに元カノが同居している状況を思い悩む今カノ』。言ってみればこれだけのお話なのですが、今カノの妄想が全編に渡って炸裂しまくりな展開とその勢いにただただ圧倒されます。作品は冒頭の脳内地震妄想から始まりますが、興味深い台詞が次々に登場します。『いまの私は濡れた段ボール箱ほどの耐久性もない』と絶妙な例えを用いてすっかりしょげこんだ彼女の心境を表したかと思うと、『正月と同じくらいの巨大な行事に成長したクリスマスは、その年の通信簿を兼ねている』と一年をどう過ごしたかがクリスマスの日にその人がおかれる境遇として現れるという絶妙な例えを用いて、違う表現ながらやはりしょげこんだ彼女の心境を上手く表していきます。

    もう一点。これは考え方の展開のさせ方がすごいと感じた部分なのですが、『なにか気分転換を』と考える樹理恵は『叫べばいい?髪を剃ればいい?』とまず自問します。ここでいきなり『髪を切ってさっぱりなんて言うと、穢れを祓ったようで聞こえはいいけれど、本当はただの自傷行為だ』という考えをまず提起します。それは『過去のしみついた自分をざっくり切り落として、新しい自分に生まれ変わりたいと強く願っている』ということだという樹理恵。髪を切るという行為自体『いままでの自分を全否定している訳で、髪を切るというのは日常的な行為に思えても、実は非常に大きな自己否定でもある』と指摘します。そして感情が高ぶり『変わりたいと強く願いそれを実行するのは、いままでの自分を殺してしまいたいという願望だ』と断じます。そして、それ故に『髪に血が通っていないことで助かっている女の子はいっぱいいる』と髪を切って気分転換をする女性をチクリと皮肉ります。そして『髪なんか切るものか』という樹理恵。訪れた美容院で『「セシルみたいな髪の色に」とつぶやいた』樹理恵は髪は切らないで色合いだけを変えます。『髪型に私は満足だった。だから絶対に切らない』と色だけ変わった髪を見る樹理恵。そしてそんな自分の姿を見た樹理恵は『私自身が守り通すと決めたことを、アキヨの出現によって変えてしまうことだけは許さない』という強い決意に繋げていきます。この一連の展開、『気分転換で髪を切る』という身近にある行為をこんな風に語れるものなのか、ととても新鮮に感じました。

    『「かわいそう」という言葉は嫌われがちだ』と言う綿矢さん。『私たちの心には、この言葉に該当する感情が確実にあるのに、なかなか使いたがらないし、使われることも嫌う』と続けます。この言葉に潜在するどこか見下したような何かが使う場面を憚らせます。しかし、『困っている人を見かけたときに湧く、自然な同情の気持ちを”かわいそう”と呼ぶのは、間違っていないはず』という人の自然な感情の発露に目を向ける綿矢さん。『この気持ちがあってこそ、次の段階の”たすけたい”につながる。同情だろうが偽善だろうが、行動を起こすことで誰かが救われる』というその帰結点。偽善者と思われることは絶対に避けたいと思うのは人の自然な感情だと思います。一方で心の内には人が今まで生きてきた中での経験の積み重ねによって生まれた”かわいそう”という感情が誰にでも存在するはずです。大切なことはなんなのか、それは、その”かわいそう”という言葉を発することになる事ごとによっても違ってくるとは思います。でも、その一つの答えがここにあるように感じました。そして、最近自分自身の中で悶々としていた『かわいそう』という言葉についての思いの整理が、一歩前進したようにも感じました。

    文章ってこんなにも面白いんだ、と綿矢さんの作品を読んで文章というものが持つ可能性について、改めて興味がわきました。人の醜い部分をコミカルにサラッと描いてしまう綿矢さん。それでいて、よくよく考えるととても重いことを言っていることに驚愕してしまうこの作品。切れ味鋭く、そしてテンポよく展開するその先に待つ、ある意味で日本語で最強と思われる一言でストンと有無を言わさず物語を締めてしまうこの大胆な結末!思わず、これ、すごいなぁと感じた作品でした。

  • 綿矢りささん3冊目。
    やっぱりこの方の文章おもしろい。
    かわいそうだね
    修羅場が爽快!私も大阪なのでブチギレた時の関西弁あるあるわかります。
    さすがにあそこまで新喜劇寄りの切れ方をしている人を見たことはないが…。笑
    「本気で人を愛したら、絶望の音に耳を塞ぐことなんてできない」

    亜美ちゃんは美人
    世の中見た目だけ見れば不釣り合いなカップルはたくさんいる。一部ではあるがその心理が見事に描かれていておもしろかった。

  • 綿矢りさ 著

    綿矢りさサンの作品は、本当に面白い(゚∀゚)
    物語に登場する人物像が、あまりにもリアルだし、細かい心理描写も巧みで、それに関する一つ一つの物事に対する観察力と、その場面に応じて…彷彿してしまう出来事や感じた思い出にさえ、上手くリンクしており、人物像の観察力、描き方も、凄い!
    まるで、その人物の姿が見えるように…服装や食べ方の描写まで、その人となりをあらわしている
    その切り取り方抜群です(笑)
    例え方が絶妙なんです!
    「かわいそう」という表現の仕方は、
     ある意味難しいと思う。
    その意味合いにおいても、上手く表現されており、いちいち納得させられた。

    小さな子どもが、こけたり、怪我したら
    駆け寄って「かわいそうに…」って撫でたりするなんてことに、なんら違和感もない言葉のはずなのに…ひとたび、使う時と場合によっては、見下したような表現になってしまい、嫌われ、使いたがらない言葉になってしまう。
    この感情を別の言い方、言葉にすることって、あるなぁ
    確信をついているなぁと感じた。 

    しかしながら、「かわいそうだね」の作品で描かれている登場人物に対して 主人公の樹里恵の気持ちが、とても共感出来た。

    文中の主人公は28歳くらいだが、
    私は二十歳くらいの時に同じような経験をしている(^^;;ま、相手の(元カノ)女性は流石に同棲まではしていなかったが…
    その頃の彼氏は隆大のように 誰にでも優しくて頼りがいのある人に、自分にも見えた。
    今なら、この作品を読んで、そうだ!そうそう!って頷きながら読んでしまうが、しっかりしている女性を気取っていても、あの頃の自分は特に(若気の至りか?)好きな人には、心の片隅でいい人に見られたいって気持ちが先行してしまい、これって、ちょっと違うんじゃない?おかしくない?って思っても許してしまうような許容範囲の広い女に見られたがってた気がする。
    今なら、多分、そんなふうな見方をしないだろうとは思えるけど…^^; 懐かしい話だ。

    アキヨのような女性は、たしかにいた!
    一見弱々しそうに見えて、実は大胆な、狙い定めた男には、目を見張るほどの甘えた態度に出る(当時の自分にはあからさまに、いくら好きな人でも、甘え上手にはなれなかった)しかし…女性の方はグイグイと攻めてゆく 男の人って…隆大のような男の人って
    そんな、頼ってくる女性(アキヨ)には、
    自分が支えてやらなくっちゃって思うのかなぁ…
    いや、思うんだろう!
         (今なら声を大にしていえる)
    関係ないが、当時の彼に纏わりついて(笑)離れない彼女もそうであったように…
    誰に対しても優しい彼は、意味なく?よく
    「ごめんな。」って言ってた気がする
    歳は違えど、シチュエーションがあまりに似過ぎて笑えてしまった( ̄∀ ̄)

    結局、自分は若かった事もあり、酷く傷ついたが、逆に「私には、あの人しかいないんです!」って、ただの彼の友達と思ってた彼女から…言い放たれた時は、思わず引いてしまった(´⊙ω⊙`)
    そんな度胸も そこまで言い切る自信も私には、なかったのかもしれない。

    隆大じゃないけど、当時、私はその時の彼を
    誰にでも分け隔てなく、深く考えなくても、人に優しく出来る彼に、人間的に尊敬の念さえ抱いて好きだった。
    作品の中では、後輩の綾羽に色々諭されてるみたいな樹里恵だったが、私の場合は、先輩に相談してると 先輩は、
    「誰にでも優しいってことは、勿論、素敵なことだし、特別な人のように感じるけど…」

    「感じるけど… ?」「けど…何ですか?」

    「彼にとって、貴女はスペシャルじゃないっ
     てことだよ!」
    「え〜!そんな、、どーゆうことぉ⁉︎」 

    「人によって、優しさの意味は違うけど、
     好きな人には、努力しても、多少無理して
     も、優しくしたい、その人にだけは、
     他の誰より特に思いやりを持って接したい
     その人だけに持つ特別感って言うのかな」

    「努力しなくても、自然に誰に対しても、
     親切で優しく出来ることって本当の
     優しさなんだろうか?」

    「必死に、相手に気を遣って、優しい人間
     でいたいって取り繕ろってでも
     努力する優しさの方が本物じゃない?」

    返す言葉がなかなか見つからなかった
    努力しなくても誰にでも優しくできるって
    彼だけの特殊な能力というか
    彼に自然に身についてる
    ものなのか…、、
    「私は、彼にとってのスペシャルじゃないんだ…」
    何だろう 何か信じてたものが、揺らぐ気分
    分かっていたのは、彼に対する彼女の気持ちは、スペシャルだったってこと
    どんなことをしても手に入れたいもの

    「さめたふりをして 逃げごしはだめよ
    欲しいものは欲しいと云った方が勝ち〜♪」

    メロディはよく分からないが、突然 
    松任谷由美の歌詞が浮かんだ

    結局、「しゃーぁない」そこに落ち着くのよね。

    短編集でもあるこの作品の第二章というべき
    「亜美ちゃんは美人」では 対比したような
    見た目冴えないけど、したたかな女性から
    一変して、あまりの美人ゆえの波乱の人生
    いや、波乱なのはまわりか?
    美人で誰からも愛され、一目置かれる亜美ちゃんの親友さかきちゃんの目線で描かれている…奇妙だけど、しっくりくる友情物語とでも言おうか…。

    美人は美人で大変だ!(人ごとだけど…)
    関係ないが…よく美人は3日で飽きるとか言われる言葉を、きくが、実際そんな事はない気がする。

    私のまた、持論ではあるが、
    美しい人はやっぱり、うっとり…目の保養になるのではないか⁉︎
    ブスは実際には、慣れるとブスも愛嬌ってことになるんじゃないだろうか…ε-(´∀`; )
    ま、何にしても、美人であろうが、個性的な容姿であろうが、人の好みは多種多様
    好きずきだと思うし、美しいとか綺麗からいい!という基準じゃなく、好きな顔、苦手な顔って…人それぞれあるような気がする。

    しかし、友達の話で、あまりの美人なその子の友達が、美人がゆえにストーカー紛いの被害にあったとか?街歩いてると度々、スカウトされるとかって、自分には関係ないような話を聞いたことがある。
    美人でも、そういう苦労があるんだ 
    ま、スカウトされたことも、される予定もない私には関係ない悩みではあるが 光と闇ってどんな人の中にも存在する話かもしれない。

    こんな作品も面白可笑しく、さらっと描けてる作家、綿矢さんって、凄いと思う。

    リアルなのに物語性があって、どんどん読ませて納得させられてゆく 
    中毒性あり作家さんだ!

    • kurumicookiesさん
      hiromidaさん、こんにちは^ ^

      表紙の可愛い本で、とっても、気になります!やっぱり「これを読みたいなぁ」と思うものは、皆さんの評価...
      hiromidaさん、こんにちは^ ^

      表紙の可愛い本で、とっても、気になります!やっぱり「これを読みたいなぁ」と思うものは、皆さんの評価⭐︎の数ですなのですが、表紙の絵も重要です(よね?笑)

      楽しいコメントを拝見して、今、手元にある数冊が終わったら読んでみたいです!

      追伸: 本を読んでいる時に自分の頭の中に流れる音楽♫♬ ありありで、思わず「そえそう!」なんて声を出して同意してしまいました!
      2021/02/01
    • hiromida2さん
      Kurumicookesさん、こんにちは。
      コメント、ありがとうございます。
      何だか…好きなものの似通ってる感じがして
      (勝手に思っている)...
      Kurumicookesさん、こんにちは。
      コメント、ありがとうございます。
      何だか…好きなものの似通ってる感じがして
      (勝手に思っている)お互い、マイペースに
      本の世界を共有していきましょうね(^。^)
      綿矢さんの本は短編が多いので、読みやすいです。ホント、自分の心の声が聴こえるよう
      2021/02/01
    • kurumicookiesさん
      hiromidaさん、嬉しいお言葉〜♡
      hiromidaさん、嬉しいお言葉〜♡
      2021/02/01
  • いやぁ~面白かった!
    今年初めての小説で
    ひさびさに一気読みしたなぁ~(笑)

    変幻自在の表現力で
    キャラクターに命を吹き込む綿矢マジックは健在!

    奇妙な三角関係に揺れる1人の女性の苦悩を
    (妄想と言ってもいいのかな)
    ここまで面白く、最後まで読ませる技量はさすがという他ないですね(笑)
    (隠れた邦画の傑作「さんかく」のブラックさを楽しめた人なら、必ずハマります笑)


    女性に質問します。
    もし、あなたの彼氏が
    元カノが家がなく困っているので
    その元カノを仕事が決まるまで
    自分の家に住まわすと言ったら
    どうしますか?


    ゴキブリが出ても地震が起こっても、
    悲鳴をあげてはいけない
    「シッカリ者」という役割を宛てられた主人公の女性、樹理恵(じゅりえ)は、
    アメリカ帰りで「ヒーロー肌」の彼氏、隆大(りゅうだい)の不可解な行動に仕事も手につかなくなり、
    次第に心惑わされていきます。

    樹理恵の恋敵で、隆大の家に居候するアキヨという元カノの
    だらしなくて頼りなさげなのに
    ズブとさ満開な(笑)KYキャラがまた、

    読む者をイラっとさせると同時に
    どこか不気味で不安感を煽ってくれる強烈なモンスターぷり。


    そして「もし大地震に巻き込まれたら…」に始まり、
    「北欧風のお洒落なカフェで
    もしパフェのカロリーをアルバイトのウェイターに尋ねたなら…」
    など、主人公・樹理恵の
    妄想特急が暴走するシーンの痛々しさと可笑しさよ(笑)

    自分も含めて普段から妄想家の人たちならニンマリしつつも
    自分の姿をダブらせてドキッとしちゃうことでしょう(笑)


    自分の正義を貫くため
    彼女に無理難題を言う意味不明な男と

    男と別れたくないがために
    心を殺し、なんとかプライドを保とうとする女。

    憐れで愚かしいそんな二人の攻防は
    男の思考VS女の思考と見ることもできて、
    男女どちらが読んでも
    興味深いんじゃないかな。


    それにしても
    決して口には出さず樹理恵の脳内でだけ繰り広げられる
    心の声の切実さと、
    的を得た言葉のその切れ味の鋭さには
    ホント脱帽です(笑)

    時に笑い、時に震撼し、
    思いっきり共感してしまったし(汗)(°∇°;)
    (特に携帯メールを盗み見るシーンのリアルさと
    痛快無比な怒涛のラストバトルと
    後半、樹理恵が放つ含蓄深い名言の数々は特筆すべき点!)


    かわいそうは危険な言葉です。
    かわいそうから出た行動は
    人を貶め、優越感や自己満足しか生まない。

    明日は我が身!
    誰の中にも樹理恵や隆大やアキヨ的なモノは
    存在するのかもなぁ~(汗)(・・;)



    女の子同士の友情の「真理」を
    モテない女の子側の目線で鋭く描いた
    同時収録の『亜美ちゃんは美人』も文句ナシに面白かった!
    (それにしても今作の綿谷さんの言葉って
    、どれも確信に満ちていて名言に溢れてるし、大いに共感してしまったなぁ)


  • おもしろかった。

    あー、こういう女いるいる!ってのが第一の感想。

    かわいそうだね?
    間違いなく、恋人の携帯見てもいいことない!!
    元カノが彼氏の家に居候?
    あり得ない…
    アメリカン的なことなのかもだけど、逆の立場なら彼氏は許すのだろーな??

    亜美ちゃんは美人
    可愛いくチヤホヤされてる子って、ほんとそーいう彼氏を選ぶんだよなぁ。

  • 表題作の「かわいそうだね?」について。

    樹理絵は交際している彼氏がいる。その彼から突然、元カノを自分の家にしばらく泊めたいと打ち明けられる。元カノは仕事が無く、家賃が払えない状況。実家には「帰りたくない」と言う。そんな彼女を助けてやりたいという彼は善意の人だった。

    樹理絵は最初ショックを受けるものの、彼の優しさと元カノの不遇を想い、自分を納得させる。

    樹理絵は地震が苦手だった。ハイヒールやブランド品で身を固めたイイ女だった。仕事仲間からは頼られる「泣けない女」だった。彼氏から大事にされたくてタバコを辞めて、関西弁を封印した。

    物語で散りばめられた、樹理絵の属性の全てが伏線となる。物語は終局に向かいその加速度を上げていき、それまでの全てを吹き飛ばす。

    構成、キャラクター、文章力、日常描写、文量すべてが素晴らしい。文句なしに星5つ。2019年に読んだ小説の中で、ピカイチに良かった。

    (ネタバレ・各論・引用などは長くなってしまうので省略。書評ブログに書きましたのでそちらからどうぞ)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E6%B3%A3%E3%81%91%E3%81%AA%E3%81%84%E5%A5%B3vs%E3%83%8A%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%BA%E5%BD%BC%E6%B0%8F_%E3%81%8B%E3%82%8F%E3%81%84%E3%81%9D%E3%81%86%E3%81%A0%E3%81%AD_%E7%B6%BF

  • 最後が痛快だし、樹理恵の性格がいい。

    結局突撃しちゃう樹理恵が好き。更には携帯チェックしてまた突撃しちゃうのも好き。

    それにしても男が駄目すぎる。

    最後は大暴れでしゃーないw

    亜美ちゃんは美人は何か女同士の付き合いって大変なんやなぁって思った。

  • 表題作
    「かわいそうだね?」と「亜美ちゃんは美人」の
    2本立て。

    どちらの主人公も、かわいそうという表現が
    しっくりくる感じでしたね。

    個人的には亜美ちゃんは美人が好きですね。

    途中でなんで一人称じゃないんだろうと
    思っていたら、
    そういうことかと最後に回収してくれて、
    物語の全てが繋がった感じがしました。

  • 2編の物語。
    どちらも女性が主人公。
    もうおばさんになってしまった私が読んでも分かり味が強い(笑)
    女性ってこういう生き物なんですよって言いたい。

    ジェンダー平等、それはそれで良いと思うけれど、「違う生き物なんだ」と感じる瞬間は男女どちらの視点にもあると思う。
    それもそれで良いと思う。
    分からないから分かろうとするし、違うから面白いと思える(思いたい)から。

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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