聖書を語る (文春文庫 さ 52-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167900182

作品紹介・あらすじ

共にキリスト教徒(プロテスタント)、同志社大学出身の二人が、聖書をベースに宗教・哲学・社会問題と縦横無尽に語りつくす異色の対談集。第一章では、カルヴァン派の佐藤氏とバプテスト派の中村氏が、同じプロテスタントでありながら宗派によって異なる、他力本願と自力本願などの相違点、終末論など神学的な問題を語りあう。第二章のテーマは、村上春樹の『1Q84』とサリンジャーを読む。そして、「新世紀エヴァンゲリオン」など、文学やサブカルに見られるキリスト教の影響を読み解く。第三章は、3・11を契機に激変した日本社会を伝統宗教は救えるのかがテーマとなっている。不安定な世の中にはスピリチュアル的なものがはびこるが、本当の意味で自分と他者をつなぐことのできるものは何なのか。ライプニッツのモナド論など引用しながら考察する。

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤優×中村うさぎという私からしたら意外すぎる組み合わせに目をひかれ、ここ5年ほどキリスト教に興味津々なんで購入。佐藤さんは神学と読書の人というイメージがあり、中村さんは高校生だった頃の自分がそのまま大人にスライドしたような人というイメージだったんで同族として避けていた。
    この対談を読んで中村さんに俄然興味がわいてきた。
    村上春樹の読み方(批判)すごい。まさに、私が感じていた胡散臭さを言葉にしてくれていた。まぁそれでも時折読むんですけど(義務感)。

    あと今更だけど新劇場版エヴァのQって謎の福音書Qだったのか、と気づく。

  • 中村うさぎには生きてもらいたい。

  • 佐藤優の一連の自叙伝のファンだが、この本もおもしろかった。中村うさぎ、名前だけは知っていたが、教養の高い人なんだなあ。あの知の巨人、佐藤優と対等に対談しているのだから。対談の時期から、東日本大震災についての考えを語っているし、見方は参考になる。しかし、何よりおもしろかったのは、村上春樹とサリンジャーについての考え方。深く洞察するとそうなるのか、と改めて興味を持った。1Q84は読んでないのでぜひ読んでみようと思った。フラニーとズーイは、10年ほど前に途中まで読んだが完読できなかったんだよな。再読しよう。

  • どちらかというとバプテストの系譜で育った人間なので中村うさぎの考え方はかなりわかる、とともに自分の触れていたキリスト教の範囲の狭さに気付く。10年ミッションスクールに通っても何もわからない、わからないことが悔しい。

  • 常々読みたかった本。途中で挫折したのは何度かあり、今回やっと読み終わった(苦笑)。
    おもしろかった。

    キリスト教もグループで全然違うんだな。

    両人ともキリスト教の素地があって(敢えて信者とはいわない)考え方が刷り込まれていることを前提に自覚的に物事をとらえようとしている。
    カソリックがマリアをどうとらえているか、無原罪と原罪、「われ思うゆえにわれあり」のデカルト(座標軸を発見したの彼だったということは、初めて知った 苦笑)の世界をどう認識しているか、という話はとてもおもしろかった。
    春樹やサリンジャーが読んでみたくなった。エヴァンゲリオンを見たい。
    ヨハネの黙示録のこと、パウロという布教者の存在、聖書の世界は深遠だ。もっと知りたいことがたくさんでてきた。

  • 「聖書を語る」読んでる。今エヴァと村上春樹のトコ。もしやして一番面白い部分じゃなかろうか。中村うさぎ、言っちゃれ言っちゃれ。ニヒニヒしながらチューハイを友に読む。

    キリスト教に入りたい気はするんですよ。救われたいとかでなく考え方嫌いじゃない。葬式が仏式より簡単だというのも利点。でも「頬を殴られたら反対の頬を」は賛同できない。私は殴り返すか、それをしないまでも睨み付けると思う。宗教はむつかしいです。

    ”宗教とは全体主義である。”それに不満はないが、全体の中身を探ればやはり個である、などとも思う。個別でなれ合う。それでいいじゃん。ねぇ。

    聖書を語る」読了。中盤までは面白かったが、後半震災の話になるのでイマイチ。対談集なのでするすると読める。

  • 大変失礼ながらうさぎさんがこんなに賢い方であられるとは存じませんでした。佐藤氏より彼女の観点の方がすっと入る。

  • もうすごくすごく面白かった。
    中村うさぎってとても頭の切れる人だって初めて知った。
    フラニーとゾーイーやエヴァンゲリオンの考察、うんうんと頷きたくなる!
    佐藤氏は中村うさぎの言う通り、乾いていて本当に客観的な物事の見方をすると思うんだけど、そんな人がカルヴァン派の予定説を心底信じているってのは、なんというかちぐはぐな不思議な印象を受けた。

  • 佐藤優と中村うさぎの対談集。キリスト教のプロテスタントであるが、カルヴァン派とバプテスト派であり、互いの考え方の違いを分析した上で、聖書について、エヴァンゲリオンについて、村上春樹について、震災について話し合う。うさぎさんが終末遅延問題を「出るはずのものが出ない、便秘」例えるのが笑えて、とても分かりやすかった。あとアダムとイブが食べた「智恵の実」は自己と他者の存在の認識なのではとか興味深い。後書きのうさぎさんのブログの引用文で泣けた^^; 続編もあるそうなので、読みたいな。

  • [図書館]
    読了:2017/2/12

    どちらも頭の回転の早い人だから読んでて小気味良い。

    村上春樹の小説は「こんな女いねーよ」の8文字で終わると思ってるので中村うさぎの批判には同感。佐藤さんはポルノとしての消費、ディテールが評価されてる点、プロットを作ってないだろうという点に触れている。こちらも納得。

    p. 51 中村 つじつまが合わなくなると知らんぷり、か。
    佐藤 都合が悪いことについては黙る、というのが優れた神学者に求められる資質です。
    中村 政治家みたいだね。
    処女マリアは誤訳、問題について。ヘブライ語では単に「年頃の女」だったのに、ギリシア語では「処女」に訳してしまった。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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